2025年4月30日水曜日

ポゼッション戦術をどう軸にするか

まずポゼッション=ボール保持と規定する

ボール保持状態を仮に1とした場合
ボール非保持状態を0とする

すると、0 -> 1 の状態の変化が必要になる

これをボール奪取と規定する

また 1 -> 0 の状態をボールロストと規定する

つまり

0: ボール非保持
1: ボール保持
0ー>1: ボール奪取
1->0: ボールロスト

である

この状態の変化をきちんと理解した上で、これを戦術的にどう軸になりうるかを考える

まずゲーム開始直後、状態はオープンだとすると両チームが0/1をお互いに繰り返す状態にある

量子学的な見方をするとシュレディンガーの猫で観察するまでその状態はわからない

1のボール保持になったとしても、ゲームが0-0の状態ではそもそも1であるボール保持の優位性は「限りなく0に近い1」、と言える

では先制した後、先制された後、で考えた場合はどうか

先制した後のボール保持は、相手はボールを奪って得点しなければならない、段階的には
ジュビロ: ボール保持 -> 得点(追加点)
相手: ボール非保持 -> ボール保持 -> 得点(同点)
と段階を踏む必要がある

逆に先制された後のボール保持はどうか
ジュビロ: ボール保持 ー> 得点(同点)
相手: ボール非保持 -> ボール保持 -> 得点(追加点)
と先制されたとしても段階的には有利な場面を想定できる

ポゼッションの優位性はゲーム全体でみると確かに有利を維持できる戦術ではある

では0->1の無い状態ではどうか

先制された後の状態を分けると
ボール保持 -> 得点(同点)
ボール非保持 -> 相手のボールロスト -> ボール保持 -> 得点(同点)

ボール奪取が出来ない場合、相手のボールロスト待ちになり、その分だけ時間がかかる、つまり同点に追いつくまでにかなりの時間を無駄にしてしまう

ポゼッションにおいて先制点によって有利な状況を作った場合、更に有利な状態を継続できるのが利点である

しかし、先制された状態、かつ、ボールロスト待ち、という場合、逆にポゼッションによって自分達の首を絞めることになる

ポゼッションが堅守速攻の上にしか成り立たない理由はここにある

まず先制点を取れる速攻、そしてボールロスト時に即ボール奪取によるポゼッション回復というレジリエンスがなければポゼッションはその効果を半減させてしまう

まずチーム作りの第一段階は堅守速攻、それが出来た時=常にボール保持、となることでポゼッションが活かされる

ポゼッションの意味はボール保持ではなく、ボール奪取の部分、その意味は攻撃のリターンとリスクで説明できる

攻撃=シュートすることでボールをロストする可能性が高くなり、ポジションが無効化されることが多くなる、このスクランブルの状態をいかにコントロールしてボールを回収するか、というのがポゼッションのキモの部分でもある

ポゼッション = ボール回収/ボール奪取
ポゼッション ≠ パスサッカー

この2つの差を理解していないとポゼッションを活かすどころかチームを殺すことになりかねない

ある意味ポゼッションとはボール回収/ボール奪取の「結果」に過ぎない、という部分を理解できないと、ボール回して保持し続ける、ロストした後は知らね、という態度では全くポゼッションの意味をなさない

ここを読んでいる諸兄ならボランチの重要性、ボランチの強度、ボール奪取の重要性をよく理解されていると思うが、いつになったらジュビロはこの大きな差に気が付くのだろうか…


ポゼッションとカウンターはお互いをどう見て戦うのかを考えてみる

ポゼッションはボールを保持し、常にゴールを狙えるように攻撃したい

カウンターはボールを持たせて、押して来ればリトリート圧縮密集してスペースとコースを潰し強度を活かして奪い取る、バックパスで引くなら前にプレスに出て押し込んでゴールに近い場所で奪ってゴールを狙う

カウンターの場合、リトリートしてロングカウンター、プレスしてショートカウンターと使い分けられる
ポゼッションではどうか、自陣ポゼッションで裏を狙うか、敵陣ポゼッションで力押しするか
自陣ポゼッションで裏を狙う=擬似カウンターを使う場合、カウンター側はプレス速度の速さが重要でゆっくり押していてはキックで前に出されてしまう
敵陣ポゼッションでブロックを割る場合、サイドチェンジで逆サイドを狙うか、強引にドリブルでPA内ファールをもらうか、サイド深くからゴールへ迫って狭い裏のスペースからマイナスを狙うか、少しテクニカルなことやパワーのいる状況になる

ジュビロでは自陣ポゼッションからのロングボール、いわゆる疑似カウンターを使わないで繋いでいこうとする考えがあるが、これはカウンター側としては願ったり叶ったりでプレスによって敷いた包囲網を相手が空中戦で抜けない事を意味する、つまり地上の包囲戦が一方的に決まってしまうという事

自陣ポゼッションするなら疑似カウンターを使う事、疑似カウンターを使わないなら自陣ポゼッションは使わない事、両方同じ意味になるが、ジュビロでは自陣ポゼッションしながら疑似カウンターしないという最悪のケースを戦術の核にしている時点でプレスディフェンスに対してほぼ無力と言っていい

これを強要するならチームとして終わっている、余りにも戦術レベルは低い
地上戦で包囲網を抜けようとするなら必ずゲート+1の数的優位をDFラインとMFラインで作らないと前進できない、これに対してもいつも同数程度で+1を作れないのでゲートを攻略できない

ゲートとは2人で平行に並んだ守備の状態をいう、ゲート=門、という意味
ゲート理論ではゲートの距離が重要で狭くして迂回するか、広くして中央を通すかする
相手が2トップの場合、3バックもしくはGKを含めた3バックを構築し、2トップでできる中央のゲートを左右に迂回するか、中央を通すか、というパスコースを構築する
この為常に相手のトップ+1の人数が必要になり、パスを受ける側も同じ理由で同数が必要になる

この時点でジュビロでは2CBが開いて2トップの外側に逃げるコースを作るのだが、中央に人がいない、GKを含める3バックを作るとCBとGKが低い位置でラインを作ってしまうので深さが少なく前進できる距離も短くたとえパスを繋いで前進したとしても自陣を抜けられるような距離まで到達しない

一度リスタートで低いラインから始めてしまうと、相手のブロックが自陣深くまで入っている状態となり、自陣、ゾーン1に人が密集してしまうことでスペースとコースが無くなり、相手のマークする距離が短くなるためにショートパスを繋いでそこを抜けようとするのは至難の業になってしまう

つまりジュビロのやっていることは自分達で難しくしているだけで、合理性から分析すると何の理屈も通用しないプロがやってはいけない典型的なミスを戦術の軸にしている、といえる

ジュビロはもっと戦術の根本というか深く広く戦術を学ぶ必要がある、「パスサッカーありき」という考え方をまず破壊しなければ無理

黄金期の「誤認」も酷く、評価されるべき「真の」ボランチが評価されてない
ボール奪取力こそポゼッションの核心
紙ボランチを何人並べてもポゼッションはできません

まず目を開いて事実を認めてくれ

2025年4月29日火曜日

2025 第12節 H山口戦

やっぱりWボランチ平行が良くない
なぜ平行に置きたがるのか分からないが2トップに消されてるのでCBとGKの3枚で2トップを分けて中央開けても肝心のボランチがそこにいないからGKから縦に刺せない

DFラインとMFラインは相手の数+1で作らないと駄目だよ
常に+1取れれば必ず空くコースがある
MFラインまで行けば人数の足りない相手DFが中盤位置まで上がてってくるので味方FWの枚数が足りなくてもSBの背後とか裏とか狙えるチャンスがある

DFラインとMFラインの人数差で必ずMFラインまで進軍出来ればそこから相手DFラインに向かってドリブルで進めるわけだからFWの人数不利はMFのライン上げで対応すればいい

平行Wボランチに監督がこだわっているなら監督の問題

平行Wボランチだと結局CB間に下がることが出来ない
逆にGKが上がるか、開いたCBがGKラインまで下がらないといけないのでラインを下げることになってボールが進んだとしても相対的には前に進んでいない

1ボランチがCB間に落ちるようになればCBの位置はGKラインまで下がらなくていいので位置をキープできてかつGKからボランチに繋がるコースができる

相手の守備は必ずボールホルダーに正対するのだから味方は斜めの位置にポジションを取るべき

平行WボランチだとCB間に落ちることが出来ない上に落ちるとしてもCBが開き過ぎくらいに開くかWボランチが極端に近い位置まで近づかないと落ちることが出来ない

こういう構造的な問題なのに放置してるから改善されない、それは当たり前のこと、フォーメーションが構造的に悪いのにこれでどうにかしろってのは選手がかわいそう

ジュビロの七不思議の一つなんだが、大勝しても何故か継続せずに誰かの声に従うようにぱったりとその戦術を止めるんだよね…絶対にフラッシュアップせずにちゃぶ台ひっくり返すように勝てない方向に方向転換する

だからジュビロは勝てない、多分監督以下コーチや選手レベルじゃなくてチーム役員とか株主とか従わないとならない所からの天の声で勝てないようにされてるとしか思えない状況がずっと続いている

チームというより会社として致命的なんだよね…

ボランチの所狙われてるじゃん、ミドル打たれてるのボランチの所とその後ろじゃん


66分 山口先制 0-1
サイド崩され裏取られて正面でズドン

そのまま逃げ切られたか…

2025年4月26日土曜日

ジュビロの色々

何度もここで言っていることがけど、ポゼッションの前提は堅守速攻ができること
これができないとポゼッションは無理

理由
1.ポゼッションはボール支配で優位性を作る、の状況が一番有効な場面は先制した後
2.ポゼッションはボール支配、つまりボールを持たなければポゼッションは無理、よってボール奪取が必須
3.先制点を取るには開始5分までの奇襲攻撃が重要になる、この場面ではゲームはオープン展開なのでいかに守備から速攻して相手の背後を突けるかが重要になる

以上の理由でポゼッションサッカーは堅守速攻の土台の上にしか成り立たない、とここでは説明している

で、今のジュビロはどうか、まぁ予想通りの結果である

理由は物凄く簡単
1.堅守速攻がないのでボール支配しても奇襲攻撃が出来ない
2.ロングボールを背後に入れないので相手ラインが上がってプレーエリアが狭くなる
3.選手間が密となってコースがなくなる
4.距離が近いのでマークがきつくなる

以上の理由で先制どころかハイラインプレスをまともに喰らってボールの逃がし所が無くなる、結果ボールを奪われるかファンブルやパスミスからオウンゴールを生む

ジュビロの良くないところは「目的と手段が逆」になっている
勝つ為にポゼッションをするなら堅守速攻の土台を作る必要がある
結果がどうだろうとボール支配率が高ければいい、「内容は良かった」「選手はよくやった」という上辺の言葉で敗退を誤魔化すなら強くなるわけはない


ボランチについて

これも何度も書いているが、ボランチの起源は「カルロス・ボランテ」という人名であり彼のプレースタイルから来ている
WMフォーメーションの中盤の底の右が彼のポジションだが、中盤の四角形がやや傾ているのでボックスとダイヤモンドの中間的な感じだったと思われる
フォーメーションから考えられるのは3バックの前にいるワンボランチ、もしくはWボランチ、3バック+1と考えると3バックの中央はスイーパー、つまり3+1のスイーパー4バックということ、ボランチ=中央のストッパー役、というのが第一の役割
ストッパーとして相手を止める事でボール奪取ができる、後ろの3人の誰かがカバーするのでカウンターに移行できる

ボランチ=舵、というのは後付けであり、ジュビロの解釈はこの後付け解釈に過ぎない、だからボランチに地蔵パサーを置きたがるがここでも間違いを犯している

なぜ地蔵パサーが機能しないか、というのは物凄く簡単なこと
まず、サッカーの守備の基本は相手の正面に正対して正面のコースを防ぐこと、正対して立つことでカバーシャドーのエリアが広くなる
中央にいる選手は自陣ゴールをカバーシャドーで守る必要がある、アンカーが中央から動かない理由はバイタル封鎖=ゴール前をカバーシャドーで封じる、コースを限定する為

この守備の原則をもとに攻撃側からの視点で見ると、中央はFW、ボランチ、CBと多重にカバーシャドーされるのでサイドからの攻撃を考える、この時サイドプレイヤーは相手のサイドプレイヤーと正対するので正面にコースが無い、ここで中央にいるボランチがサイドプレイヤーに寄って斜めや横のコースを作ってパスを繋ぐ必要がある、ボランチがボールを持つことで相手の守備は中央を堅く守るためにマークがボランチやセンターラインに移る、これによりサイドプレイヤーは相手サイドプレイヤーのマークを受けずにアウトサイドを迂回して背後に移動してパスを受ける側に回ることが出来る
ボランチは味方サイドプレイヤーによってワンツーの壁役、中央へのヘイト誘導、逆サイドへのサイドチェンジの中継点、場合によるが相手の中央が空いている時は縦パス、という中央にいるから出来る選択肢を使うことができる、ここがゲームメイクしやすい場所である理由、しかし前述の守備の理由からただパサーであるだけでなく、ボール奪取できる役割である必要性がある、つまり個人の強度の重要度が高い、ここを誤認してボランチ=舵として地蔵パサーを中央に配置してしまうと攻撃ではサイドが孤立、守備では簡単に中央を突破される、という最悪の事態を招いてしまう

ボランチの誤認と同じく、ゲームメイクとゲームコントロールの違いを考えたい
舵取り役=ゲームメイク、というのは分かりやすいが、トップ下やパサーボランチではこのタイプで良いが、ゲームコントロールという点では正式な第一ボランチの意味でないといけない
ゲームメイクはオンザボールでの配給を意味しがちだが、ゲームコントロールはオフザボールを含めた90分間のゲーム支配、つまり守備も含めてどうゲーム展開を進めていくか、ということ、パスしかできないボランチはゲームメイクは出来るがゲームコントロールは出来ない、コントロール=制御=相手を制すること、つまりは守備、相手の攻撃をいなして反撃できる能力を持たない時点で守備の出来ない強度の無いボランチはゲームコントロールできない


ジュビロ最高のボランチは世界一位を取ったドゥンガに他ならないが、時点では日本一を取った服部こそが日本人としてジュビロ最高のボランチだったと思う
福西は強度、秀人はスピードとスタミナ、名波は精度
服部はそれらを全て持ちかつキャプテンとしてチームをまとめた
全てをコントロールした最高のボランチは彼だと思う

ジュビロに必要なのは服部タイプであって名波タイプでも福西タイプでもない
以前にも書いたがN-BOXはタスク的に4-4-2の変形としても認識できる
その場合、服部はSB、現代サッカーの偽SBをN-BOXでは既にやっていた
スピード、スタミナ、強度、精度、どれも兼ね備えていたので中盤をキープできたしボール奪取からの反撃が可能だった

ジュビロがやっていたパスサッカーとはN-BOXであり、それは縦陣形によるワンサイドカットからのサイド追い込みとボール奪取、そこからオープンサイドへのサイドチェンジと中盤密集型のショートパスカウンターによる中央攻撃だった
要するに堅守速攻ベースでボールが持てたからこそのポゼッションとパスサッカーだったわけ
ここをただパス繋いで崩して~というポゼッションサッカーと見誤ると全てが崩れる
長年ここで解説しているがジュビロ自身が理解度や解像度が低く未だに理解の域に達していない

ジュビロ低迷の原因は認知の差
間違った認知の下に努力と金を積み上げてもその塔は崩れる
正しい認知に修正した上で必要なタスクを割り出し、そのタスクをクリアできる能力を計算し、それを持つ選手を選考する必要がある

設計図が間違っているのだから何度立てても上手く行くわけがない

早く悪夢から目覚めることをお祈りします

2025年4月25日金曜日

2025 第11節 H大分戦

今日は見なかったが結果は0-3だったようだ
流石に上位維持はできなそうだね…

2025年4月22日火曜日

戦術談義

掲示板の戦術談義で言い合いできる時代になるとは、以前は戦術への興味など全く感じられなかったがここ最近は戦術の理解のある人達が話しできる程度になりつつある

「ただ」

戦術は0か100かではない、かつ、色々な考え方、方法論、個人の意見はあって良い
それが正しいかどうかは別に関係ない
大事なのは、それぞれが自分の意見を言い合えること、同時にそれをリスペクトしながらも別の角度の意見もある事を許容し合えること

それが大事だと思う

何故なら、そもそもサッカー自体、ミスのスポーツであること、完璧というものは存在しない、フィールド、天気、審判、選手層、サポーターの民度、監督、スタッフ、全ての要素がさまざまなものを含んでいるからこそ複雑に入り混じって出来上がっている

なので、あれが駄目だから全否定、とする必要はなく、あれの目的は何で、それが上手く行ってないのはどこが問題なのか、ではそれについてのヘルプはどのようなアイデアがあるか、という風に問題をリファインしていけばよいわけで、そのアイデアが実現可能かどうかの賛否はあるが、サッカーは完全でないスポーツだからこそ突拍子もないアイデアが刺さるかもしれない、そういう面白さもある

ファンタジスタが好まれるのも同じで、できないことをやってしまうから注目される、だとしたらどんな戦術でもアイデアは色々あっていいし、それが運用上どれくらいの確率で可能かの問題はあるにせよ、刺さるタイミングはどこかにあるし、むしろそれが刺さるように準備するというのも一つのアイデア、確率が低いアイデアだからこそ相手はそれを想定しない、確率論ガチガチに考えると逆に切り取った枝に活路があるのは将棋やチェスでも同じ、定石ベースで考えるだけでなく自由な思考でアイデアを出し、確率論だけで運用するのではなくそれが使えるチャンスをどう作るかもサッカーの醍醐味でもある

戦術談義はいいが、熱くなって人格否定したり戦術やアイデアを全否定せずに緩い感じでそういう可能性もワンチャン、くらいの考えでいられる方が楽しいアイデアが出てくるだろう
戦術は多層的だから一つが刺さっても対策されたらすぐ使えなくなる、だから行く層にもアイデアを重ねて2手3手先にどうなるかを考えてパスや人の動きをデザインしていく、それがゲームメイクやゲームデザインの面白さでもある

ハッチ監督の現在の形はWボランチが中央で2トップとWボランチに挟まれる死に駒の状態を作るが、開いたCB、上がったSB、高い位置のWGの3枚が両方に存在し、そこを繋げる攻め方をしている
CB → SB → WG と縦に繋げる場合、SBが相手SHと対面しているのでWGに繋ぎにくい、そこでSBをインサイドにスライドさせることで相手SHを中に釣ってCBからWGへのコースを空ける、これでCBからWGへと直接長い縦のボールが繋がり、WGが相手SBと1v1で勝負をかけられる、ということになる、相手がブロック守備ではなくマンマーク守備の場合SBへのマンマークを釣ってコースを作る、ということ

この戦術ではボランチは中央の囮役として2トップとボランチに挟まれてパスを受けられない、2人が死に駒になるが相手4枚をピン(止め)しておくことで+2枚の優位を別の場所で作ることが出来ている、と考えれば差引プラス

逆にボランチが死に駒になることで戦術の幅が狭くなることで全体の流動性が無くなる部分はマイナス

どちらの意見も正しい

問題点の一つになっているのは決定力、得点力
よく言われるのはペイショットの問題
相手側からすると2m近い高さで前線に基点を作られるというのは非常に厳しい、よってペイショットへのマークは相当厳しい場合が多い

ジュビロ側から見るとポストするより倒れる回数の方が多い頼りない9番に見えるが、相手から見るとバイタルや中央でポストされて散らされると非常に厄介であり、そこを潰さないとジュビロに自由にコントロールされてしまう、という部分がある

しかもファールすればそこからFKになるので相手から見て低い位置でのファールは決定機を生み出す基点となるので非常にやりにくくなる、出来れば敵陣であるジュビロ陣内に追い出してファールで止める方が自陣内ファールよりよっぽどいい、ペイショットが降りて受けるのは楽だが、敵からすると自陣内ファールの確率が低くなるのでいない方が守備しやすい、ということになる

ジュビロからするとボールポゼッションを維持するならペイショットが降りてポストした方がマークが緩くなるのでコントロールしやすい一方で前線中央に脅威がないので広く守られてしまい両WGへのマークやトップ下へのマークの方がよりきつくなる可能性が高くなる
そう考えるとWボランチの死に駒戦術と同じでペイショットを敵陣中央、バイタルなど高い位置をキープさせて1v2、1v3などで中央エリアにピンさせておく方がWGやトップ下の動けるエリアは広くなる

ハッチ監督の戦術で重要なのは両WGとトップ下の2列目3人で、ここがどれだけ動いて得点に絡めるかが大事になる

前線4枚のうち、ペイショットがピン要員だとすると、2列目3枚がどう動くかになるが、両WGがクロス要員でアウトサイド張り付きになってしまうと中央の人数が少なくフィニッシャーがいない、特にトップ下の角や川合がインサイド、ポケットへと侵入してしまうとゴール前やバイタルにいる選手がほぼいない、ペイショットが素早く詰めることはできない

アイデアとしては速攻か遅攻かで分類されるが
速攻の場合、ペイショットではなく裏を狙える走れる選手をトップに起用する、もしくは佐藤のようにポストもできるが動ける選手を置く
トップ下がポケットに入るタイミングで同じように逆サイドのWGがファー裏に飛び込み、トップもラインの裏に飛び出して2人がフィニッシュに絡めるようにする、上手く足に当たれば得点できるし、裏に流し込むのでDFのオウンゴールも狙える、前にクリアされた時のことを考慮するとSBやボランチが回収ラインを中央に組んでセカンド回収からミドルシュート、ここまでデザインされていると1次攻撃2次攻撃とできる、相手の守備が堅く壁が厚いとミドルの打つ隙間がないので一旦サイド展開する遅攻に移行するなどリズムを取る選択肢もある

完全に遅攻でポゼッションを維持する場合、相手もラインを下げるのでゴール正面側からのシュートを打つには厳しい、5バック攻略の方法から流用すると、サイド深くへと侵入してライン裏からマイナスに打って相手DFのオウンゴールを狙う、というのがある、この場合アウトサイドから回り込むので両WGが張り付きからスタートし1v1でラインの背後へと入らなければならない、ただこの攻撃のボーナスとしてはセットプレーが取りやすいのでペイショットのように高さはあるがスピードの無い選手がトップの場合は両サイドが背後狙いからのシュート、クロス、セットプレー奪取、辺りを狙った戦い方ができる、両サイドに振って両サイドから背後を狙うことで敵の守備を1ライン化させて、薄いバイタルからミドルを打つ、という副次的効果もある

ハッチ監督的には遅攻で長い時間相手陣内で攻撃を続けるというのがプランとしてあるのかもしれない、できるだけ相手陣内の深い位置でプレーをして圧力をかけ続けてこじ開ける

ただ実際のゲームではこじ開ける所まで行けてない事が多い、という点でプランが完全ではないので、もう少し戦術の深みや幅を作る必要がある段階、という感じなのではないだろうか

ゲーム自体は先手はとられやすいが挽回できて徐々にポゼッションを上げられるが失点が早くどうにかこじ開けても同点止まり、という感じ

多くのチームがポゼッションにこだわらないことでメリハリのある状態やトランジッションを活かすゲームをやる一方でジュビロはポゼッションにこだわりトランジッションを極力なくすゲームを指向している、という違いはあるかもしれない

それがどう出るのかはシーズン通してみた結果がでないことにはどうとも言えないが、他のチームはトランジッションという「運動」をベースにしているのでよく走れる、ジュビロとしてはボールを使って相手に運動させることで体力差を作り後半の体力ギャップを使った攻撃をしたいわけだがこれは横内監督時代でも同じような考え方があってやはり交代枠5つというルール変更を考慮するリソース管理と戦術が密接であることが浮かび上がる

ボールを極端に同じ場所で動かした場合を想定する、例えば、ジュビロが放り込みだけに特化して前線にボールを蹴り続ける、体力を消耗するのはジュビロのFWと相手のDFになるので交代枠はジュビロのFWと相手のDF、お互いに得点の無い場合、ジュビロはフレッシュな攻撃的選手を投入できる一方で相手はフレッシュなDFしか投入できない、この差は得点するというゲームの勝利に対して攻撃側が有利であり、守備側が不利な状況を生み出すのではないか、だとすると相手のゴール前に徹底的にボールを蹴り込むことが重要なのではないか、もちろんセカンドの回収で有利な状況を作ることが前提ではある

この考えをベースにすると、2トップ3トップを中央に限定、MFはコース限定、回収、ミドル重視、DFはインターセプト、クリア、前線へのロングボールを徹底、出来る限りボールを相手のゴール前で動かす、という戦術に特化

交代枠が多いので体力を減らすという戦術は「誰の体力を減らしてどこのポジションを交代させるか」、逆に交代枠が使われていないスタメンのいる場所を徹底的に狙うなど狙いを一点に狙う事も出来る

どういう戦術を取るのかはチーム、監督、選手のプレー、その他多くの状況から選択肢ができるのでこれが最強、というものは存在しない、ただ具体的な因果関係が分かっている部分を狙うというのは戦術の基礎ではある


2025年4月20日日曜日

2025 第10節 A秋田戦

千葉+13、大宮+8、今治+7と得失点差が大幅にプラスな上位陣

唯一ジュビロが+2という低い値で5位以下と同じレベル

このままいくと千葉、大宮、今治の3つで2枠を争う流れになりそうだ

失点10は千葉9、大宮7、今治7と比べるとやや多めだが、それ以上に得点12に対して千葉22、大宮15、今治14と千葉の攻撃力が圧倒的、大宮、今治とはやや得点が劣り、やや失点も劣る、という状況

攻守のバランス、全体の連動を修正していく必要がある

やはり失点10が足を引っ張ってる感じ、他のチームは得失点比が2:1に近いがジュビロは1:1に近い、得点を倍にするか、失点を半分にするか、少なくともどちらかにしなければ上位キープは難しくなる

2得点以上の差で勝負をつける必要があるが、今の所失点が先に来て追いつく、というような流れが多い、今治は得点が多いが引き分け4と勝ち点の取り方で失敗しているが、それが修正されて勝ち切るゲームが出来たらすぐにジュビロを追い抜いてしまう、ジュビロが千葉、大宮の上位を捉えるのは厳しく、逆に今治に追い抜かれるのは時間の問題になりつつある

1/4が終わり上位に残ってはいるがここから先の暑いシーズンを乗り越えられるかが大事になってくる、失速せずむしろ好調に2/4~3/4を消化出来たら上位に残り続けられるはずだ

最初の1/4は気候も良いシーズンで走れるが、これから初夏~晩夏までの長いシーズン走るのは相当大変、さらにカップ戦もあるのでチーム全員が好調でないと残るのは難しい

今日はアウェイでも北の秋田なので気温は低く走るのには問題ない、J2は北から南まであるのでアウェイは過酷なロードになりやすい、ホーム戦に体調を合わせるか、長距離のアウェイ戦をどう戦うか、など戦略的なリソース管理が必要になる


秋田は4-4-2予想、センターラインの2CB、Wボランチ共にマークされやすいのでそこをビルドアップでどう変化を加えていくのか

前半

SBの位置を低めに調整している感じ、以前はSBがだいぶ前だったが序盤の失点対策なのかSBのいちはほぼCBと同じライン

やはりいつも通り2トップの背後にWボランチが消されてボランチが絡まずにボールはSBから裏狙いのクルークスにロングボール

中村のCKは強い風に流されてしまう

為田繋ぐ為に中にパス出したがあの選択は厳しい、阿部が反応してくれたから蹴り出して助かったがゴール正面方向に繋ぐパスはピンチになりやすいから選択肢としては微妙

為田中に絞ってクルークスへのコースを開けて前でクルークスから受ける動き、これは良い戦術

風の強い日はキック精度が良くないが、逆にそれを利用してGKへのファンブル狙いなど「何かある」ことを狙うのも1つ

相手2トップに対してWボランチが堅くなに横並びで2CBが開いてるのに降りる選択が遅い、結局外回り選択肢かできない

右CBが囲まれるがチップキックで浮かせて左へ繋ぐ、こういうテクニックがあれば囲まれても少しの隙で逃げることはできるが囲まれない繋ぎができればそれに越したことはない

CB江崎が痛んだが大丈夫か…

16分で上夷に負傷交代

クルークスにイエローカード

ペイショットのポストはファール狙いで潰しに

右サイドに寄せているが1人左アウトにアイソレーションしている、倍井か松原? ゲームに絡まないから余りアイソレーション狙っても微妙ではある

松原は低めキープしているのでアイソレーションは多分倍井か

倍井のドリブルでサイド突破しつつ松原が角に繋げてCK

前線では角が勢力的に左右インサイドに顔出してつなげようと奮闘

守備からのカウンターで倍井が持ち上がり秋田陣内ポゼッション

CKからペイショットのヘッドは枠を逸れる

徐々にボールポゼッション上げてきている感じもある

自陣に引いて凌いでいるが押し込まれている状態で繋ぐことが目的でそこから抜け出せない状況を自分達で作りつつある、ポゼッションが悪い方に作用するとこれから抜けられなくなり墓穴を掘る

手段と目的を間違えないと良いが

金子がサイド展開して中にドリブルで入ろうとして挟まれてファールを誘う

中村がバックチャージ、ノーファールで奪ってから速攻選択で走るが味方はポゼッション選択で連携できず

ポゼッションをキープしてセットプレー中心の遅攻を選択

ポゼッションで前後左右に逃がしつつ背後にスペースを作って角が裏抜け

相手のプレスを誘って前に引き出しつつ裏のスペースを作って縦に狙う、ポゼッションを活かした「釣り野伏」がきちんとできてる

クロスをペイショットがヘッドで流すがこれも枠を逸れる

ゲーム全体としてはジュビロがコントロールしている

ネガティブトランジッションも全体がしっかり下がって守備

ペイショットはマークがきつい

秋田は局面を限定して人数をかけての戦い、質で劣る分人数をかけて制圧を試みる

秋田のFKは何か策があったような動き、全体を広く散らしていた

Wボランチのロックが解けず倍井が降りて流動性を作る

角が中央に入るがサイズが足りない、セットプレーよりオープン展開の方がスピードが活きる

前半終了


後半

倍井の上手いのは単純にトラップするのではなくトラップをしない、遅らせる、流す、などタイミングを相手に分からせない部分、よく「止める、蹴る」というが、上級者は「止める」場面を狙って奪いに来る、よって「止めない+体の向きでフィエク」などを使って蹴るタイミングを相手に分からせない方法を取る、非常にテクニカルなプレーをする

カウンターをリカルドが止めるがイエロー、スライディングを見てボールを先に蹴ったので足に行ってしまった

クルークスのシュートもギリギリ枠に飛ばず

秋田もシュートチャンスを作るが枠に飛ばず

角がゴール前に入り込んでシュートもGKにはじかれる

為田が拾ってサイド奥に展開するが意図が合わず

秋田は60分目安で交代か

左サイド松原の裏を狙われシュートされるがギリギリ枠

秋田のチャンスが続く場面

ここを凌いで流れを変えたい

秋田のシュートが枠を捉え始めてきたのでここで大きく流れを変えないと厳しい

秋田が3枚替え交代で流れを掴みに来た

ここを凌げるか…

ペイショットへのマークはホントにきつめにくるな

ジュビロも3枚交代

秋田が先制1-0

阿部の頭の上を飛び越したチップキック

GKからの出来事、70分手前で均衡が崩れた、何が原因だったのか…

GKのロングボール、ハイパントで高いバウンドのボールが深い位置に入ってFWに繋がってしまった、ラインを高く保とうとして阿部も高い位置に出てしまった、逆に考えるとジュビロがラインを高く保とうと阿部含めて全体が押し上がった状態なのを見て秋田のGKがハイパントを蹴った、と見るべきか

秋田は4バックを引いてカウンターのみに切り替えか

倍井が右奥を狙ったがゴールライン割る

佐藤のインターセプトでチャンスが出来たが繋がらず

阿部の守備でポスト叩いた程度で済んだ

クルークスのクロスから追いついた

1-1

負けは回避したが決勝点を決められるかどうか…

クルークスのクロスが直接入ったようだ

同点にしたことでまたポゼッションを回復してきたか

敵陣ポゼッションでチャンスを探る

左右に振って相手守備を左右に伸ばし1ライン化、その背後を狙う

左の松原、川﨑の崩しからゴールを狙うが枠を逸れる

ポゼッションしつつ幅を取ったり深さを作ったりと上手にボールは動かせている、あとは結果だ

ポゼッションの難しさは自分達が攻めている状態が普通、基準だとそれ以上に良い状態は得点する以外になく、むしろネガティブの深さの方が大きい、カウンターを狙う側は基準が守備状態なのでそれより悪いのは失点することだけ、ボールを奪えれば良い状態になるのでポジティブの方が深さがある、この違いがポゼッションの難しさをより難しくしている

倍井が低い位置でロストしそのままミドルを決められてしまう

これはシューターが上手かった

やはりポゼッションは決めるべき場面で決めきれないとメンタル的にも難しい戦術だな

ボールを持っているだけでは勝てない、相手を崩しきって得点できないとポゼッションは不安定になる

特に手段が目的化しやすい、勝つ為にどうするか、のはずが、ボール持っていれば有利、だからパス回すだけ、で終わってしまう、得点という結果が出ていないのにやった気になる、よくある「内容は良かった」というありがちな言い訳が使えてしまうという罠がある

結局2-1で負け

やはり先制されて追いついたが追加点を入れられる、という流れ

得点、失点、得失点差に現れている通りの展開になっている



2025年4月19日土曜日

技術を活かす知性

テクニックをベースとしたチームを現在のフィジカルベースの時代に強いチームにできるのかどうか

1つは技術は技術だけでは弱い、技術が活きる状況を先読みして生み出す必要がある、その為にはサッカー脳、知性をどれだけ生かせられるかが重要になる

例えば1v1の状況で強度不足が問題になるなら1v1でない状況をチームで生み出す、必ず2v1や3v1になるように最短で移動、常に状況を確認し、相手のパスコースを潰す、もしくは限定して奪いやすいコースのみ残す、などわなを仕掛ける

強度はあくまで1v1での勝負の質で重要になるが、数の勝負、連携、全体に対しては個は埋没してしまう、つまりフォーメーションやポジションを最適化し、常に面で圧倒する、という思考を持つ必要がある

局所に人数をかけるのでもちろんその網から抜けた場合はピンチになるのでしっかりと網にかけて奪う、もしくは網の粒度をコントロールして奪われない位置を取る、という位置と連携をキープする

どれだけ個の質が強くてもボールより早くは走れない、だからポジショニングやパスの精度、スピードがより重要になる、フィジカルサッカーが面白くない、ファンタジスタが死ぬ、というのなら、チーム全体のスキル、テクニック、インテリジェンスをリーグトップにしなければならない

それができるトレーニングメニューを組めるのか、というのが最大の問題、知性が高くテクニックもある選手を選抜、移籍させられるか、フィジカルに対してどれだけ知性と技術で対抗できるのか

現在は既にフィジカルだけでなくフィジカルの密集を利用した戦術で局面打破やゾーン、エリアを限定した強度重視の奪い合い、というのが標準化されてきている、この状況で常にボールを広く回せる技術やスペースをどこに作るか、どう作るか、どう利用するか、2手3手先までチーム全員が共通理解できるメソッド、トレーニングを構築できるか、という問題になる

多分これは非常に難しい挑戦だと思う、なので今はフィジカル重視の時代に沿っていくとしても、チームの戦略としてテクニックを重視したいのなら同時に高い知性、戦術眼、フィールド全体を認識できる選手のみを採用しなければいけなくなる、たった一人の個の技術だけでどうにかできる時代ではない、逆にチームの中で自分の知性と技術がどう生かせるかを考えないといけない

もちろんポジションを取り直す走力は必要になるし相手をかわす技術、騙す技術、など多くの能力があればあるほど良い

チェスでキングは全ての方向に動けるがたった1マスしか移動できない、近い場所だけは最強だが距離が離れれば最弱でもある

逆にクイーンは最強のエース、キングと同じく1つしかない駒であり全ての方向に長距離移動できる、だから最強、サッカーでは正確なロングパスをどの方向にも出すことができ、同時にスタミナと知性があるので先読みしたポジショニングで広いエリアをカバーできる、という感じ、キングのように裸の王様になるか、クイーンのように最強の駒になるか、ただ棒立ちでパスを出すパス出し地蔵の時代はとっくに終わっている

パスを活かすならカバーシャドーを活かして背後を1人消し、目の前の2人の中間ポジションで2人同時にカバーできる、というようなポジショニングまでできる知性を持たないといけない、パスを出すだけでなく、パスをどれだけ消せるのか、というのはパスを出すのが上手いからこそできるはずの能力、そうでなければ、パスを出すところにやってこい、という裸の王様プレーで終わる

知性は技術が活きる場面を判断する能力、どの場面でどの技術が活きるのか、それが分からないとどんな時も同じことをして失敗する、はまった時は上手く行くがそうでない時は上手く行かない、これはギャンブルみたいなものに過ぎない、知性があればこの場面ではこちらの技術が活きるがこちらは合わない、という事を判断できる、だからこそフィールド全体を見る能力、ボールや選手全体の移動の先をイメージできる、これから狭くなる場所、広くなる場所を予測できる、その場所に近い選手は誰なのか、その選手がそのスペースに入るにはどういう角度からボールが入ると良いのか、など、今の状況を延長して未来の状態を予測してパスや移動の選択ができること、そしてそれが一人の選手ではなくチーム全体で同じ場面を共有できるかどうか

チーム全体の知性のレベルを高めることがチームの技術をよりフィットさせることにもなる

中盤の王様問題

福岡に育成レンタルに出ていた藤原が戻り、そしてまた栃木に育成レンタルに出された

これはジュビロの「伝統的構造問題」とも言える重要課題の一つでもある


これが根深いのはジュビロユースからの生え抜きとして育ってきた選手がトップに入ると活躍出来なくなる問題、とも言える

この問題点の背景はジュビロが評価する指標として肉体的優位性より技術的優位性を評価しやすい、という部分が根底にある、そしてその評価が高かった選手がユースで活躍してトップに上がる、しかし肉体的優位性の低い選手は強度面で劣りトップ環境では耐えられない

特に近年のリーグ傾向の変化によって強度重視への転換がはかられており、トップリーグではまず肉体的優位性が重視される

もう一つの問題点はこの問題の延長にもなるが、中盤の王様を置く場所や、その補完をする為の選手の人数や配置、つまり選手のタスクやフォーメーション、の部分

中盤の王様、というといくつかタイプがあるが、ファンタジスタのようなテクニカルタイプと本田のようなフィジカルタイプもいる

まずボランチ=中盤の底、要、としての中盤の王様はフィジカルタイプ一択、まずバイタルの守備が完璧にできること、そもそものボランチはアルゼンチンのカルロス・ボランテのプレースタイルに起因する

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81

つまりパサー、リンクマン、という意味の「舵」を意味するボランチは後付け

第一ボランチ、第二ボランチ、レジスタなど多くの呼び方があるが

第一ボランチはカルロス・ボランテと同じ「守備的MF」で守備重視のプレースタイル、読みと強度重視、読みが良ければパスをインターセプト、強度があれば力づくで奪い取る

第二ボランチは攻守に動ける汎用タイプ、スタミナがありBoxtoBoxで走れるセンタータイプ、機動性重視

レジスタは一番パサー、リンクマンに近いタイプ、ミドル、ロングパス、サイドチェンジ、スルーパスなど戦術的なパスを武器にするパスを軸にする

中盤の底と言ってもいくつもタイプがいる

一番問題なのはジュビロのフォーメーション選択

「Wボランチ」ということは、3種類の中から2種類しか選べない、ということでもある

ちなみに中村はレジスタタイプ、上原は第二ボランチタイプ、金子は第一ボランチタイプ、レオ・ゴメスは第一ボランチ、第二ボランチタイプ、藤原はレジスタタイプ

こうしてみるとジュビロが選択するのは常にレジスタや第二ボランチタイプが主流、これは「攻撃サッカー」の軸として考えられている為

どうしても「第一」ボランチである守備的MFが選ばれない

この為、守備のタスクとそのリスクが大幅にCBに投げられてしまうという問題がかなりの長期間に渡ってジュビロを苦しめてきた

これらの大きな問題はチームの戦略にも関わり、「守備でボールを奪えない」という問題がかなり大きい、この問題はチーム戦術にも大きく影響している

幸い、ハッチ監督は「ボール即奪還」=「ポゼッションの基盤」ということを理解している数少ない監督であり、守備の修正、長時間のボールポゼッションを許さない姿勢、ネガティブトランジッション時のボール奪還に対する強度を見せている、これらの成果としてジュビロがかなりのボールポゼッションと文字通りの攻撃的サッカーが出来ているのは監督の理解によるものだと考える

ジュビロの幹部がレジスタタイプをユースで重用するならトップでもレジスタを活かす為の戦術、フォーメーションを採用しなければならない、その問題点は強度不足であり、それをチーム全体で補わなければならなくなる、このねじれ現象をどう解決するのかはジュビロの考え方次第、あくまで技術を活かす、という立場を変えないのならそれを最大限に生かし勝ち切るサッカーをどう構築するのかを考えなければならない、それをしない、というのならば、ユースから上がってくる選手でも低いディビジョンに移籍していかざるを得ない、ということになる

育てたユースをトップチームで活かす戦略を取るのか、移籍させる戦略を取るのか、さてどうするのか

2025年4月13日日曜日

2025 第9節 H熊本戦

 同じポゼッションスタイルの熊本との一戦

データ的には熊本のボール奪取2位インターセプトを軸にボールポゼッションを維持する

ただジュビロは被攻撃回数1位と少ない

この差がどうでるか、熊本がガッツリボールを奪いながらもジュビロがいなして回収する受ける形になるか

ジュビロは攻撃回数19位と攻撃が少ないが、熊本は被攻撃17位と低いので途中で回収されることは少ないと思う

先手熊本、後手ジュビロでジュビロが序盤で受けながらも盛り返す形の展開を予想

熊本は攻撃的なチームだが打たれ弱い部分もあるのでそこを突きたい

AGIxKAGIを見るとジュビロは低く熊本は高い、ジュビロは全体を前後に動かすタイプだが熊本は中盤支配型で余り動かない感じかもしれない、ゾーン2にブロックを敷いてインターセプトからのショートカウンター、敵陣ポゼッション、という感じか、この辺りはデータでもそう出ているので熊本がセンターラインで待ち構えてジュビロが自陣ポゼッションから裏狙いの得点、熊本がジュビロ陣内に押し込んで得点、という戦い方、しかし雨予想なのでデータ通りになるかどうかは不明、ジュビロは雨の日の勝率が高いので有利になるかもしれない

熊本は3-3-1-3予想

前半

植村自分で一気に持ち上がってシュート、熊本のインターセプト狙いを崩す為にドリブルで持ち上がってのシュート

しかし左サイドを突破されて中央1v1で阿部が出たが止め切れず失点

0-1

ゴール前のシーン1v1だけで数的に足りない状態だったのが問題ではあるが、そこまでサイドに引っ張った熊本の作戦勝ちか

松原のインターセプトからポゼッション

予想通りジュビロの自陣ポゼッションに熊本はゾーン2制圧しつつのショートカウンター狙い、データ通りの展開

倍井のプレスバックインターセプトから敵陣ポゼッションへ切り替え

攻撃陣の守備参加でボール奪えるのは助かる

CKゲット、ここは追い付くチャンス

トラップすると見せかけてタイミングずらして幻惑、相手が奪う狙いをずらすことでインターセプトしにくい受け方をしている

倍井倒されファール、足は大丈夫か

相手GKを引き出すことが出来たが間に合わず、クリアされる

PAサイドギリギリ狙うのいいね、GKも引き出しできてワンチャン作れる

ボランチ横並びだとタイプの違いを上手く運用できないだろ、中村が少し前、金子が少し後ろで前後関係作らないと

ペイショット1v2で倒される、かなり警戒されているか

ペイショットがジュビロの得点源だしかなり警戒はされているだろう

その周囲の倍井、角が得点決めて行かないと

熊本は3トップだからWボランチが定位置だなぁ…

熊本のトップ下の脇にWボランチが嵌ればそこから、と考えるが3バック、アンカー、WBに囲まれたスペースしかないんだよなぁ…

かなり大きくボールを動かさないと厳しいね

大きく動かして場面転換したが敵陣でロスト

やはりショートパスつなぐだけだとショートカウンターされる確率が高くなる

松原またインターセプト

熊本はやはりゾーン2にブロックを作る、一度引いてプレスを引き出してから背後に入れるが3バック+アンカー+WBの3+3なので5バック+アンカー相当で跳ね返される、WBの引き出し+裏狙いを同時にやらないと抜けるのは難しそう

トップ下脇キープでWBを引き出してそのスペースに中央からスライド、ダイアゴナルなどで飛び出して受けてクロス、というのが良さそうだが…

プレスをいなすのは出来ているがそこから前につけるのが上手くいかない感じ、やはり5バック化されてしまうのでそこを崩してから出ないと攻め口がない

クルークスがWB,CBを引き出してその裏にドリブルで入り込み逆サイドに展開、倍井が落とすが繋がらず、狙いは凄い良かった

両サイドに振りながらWBの飛び出し、CBのスライドをサイドに引き出してから逆サイド展開で狙うというのは合理的な攻撃

やはり相手トップ下1なのでアンカーが止めつつ、相手アンカーとWBの中間位置をセンターが使う、というボランチの縦関係を作った方が良いのでは?

ペイショットの左流れ+クルークスのカットインで中央にチャンスを作ったが上手くいかず

徐々に崩しは上手く行き始めているはいるが前半中に攻略しきれるかが問題だな

倍井がトップ下アンカーの脇をついてカットインから中央にチャンスを作りに行くがロスト

前半0-1で折り返せばいいか…それとも前半中に追いつけるか…

カウンターでどうにかCKゲット

ここは沈めておきたい

ペイショットはオフサイドか

倍井シュートの一つ前、引いて中盤にスペース作ってから刺す、後ろからゆっくり持ち上がってしまうとWGが降りて中盤スペースがなくなってしまう、なのでDFラインで持つ時に引き気味にしてWGを引き出してトップ下アンカー脇のスペースを十分に作ってから縦に刺す、というのが出来ていた、WGを押し込んでしまうとトップ下、アンカー、WBにWGまで加わり中盤にスペースがなくなってしまう、上手く引いて相手を引き出して背後のスペースへ縦に刺す、というのが3-3-1-3や4-2-3-3などには有効

3-3-1-3なんだから4バックが3トップ、アンカーがトップ下を抑えればよく、ジュビロのトップ下が相手アンカーと1v1になるかWボランチの1枚が上がって相手アンカー+WBの3に対してトップ下+センターの2枚で2v3作るかでも違いが出てくる、アンカーだけに対してなら2v1を作れるから角がボールサイドのアンカー脇を使うなら中村がアンカーの空ける中央から逆サイドに忍び込んで受ければ中央割れるのにな、攻守の組み合わせのWボランチなのに横並びにしてしまったら活きない、金子の問題というか陣形のミスマッチを活かして中央の優位を活かすポジション取らないとせっかくの攻撃が止まってしまう

角を囮にして中村がシャドー的に動くことで中央割る動きをみせて逆サイドのWBが中村を抑えようとして中に入れば倍井が逆サイドでフリーになる、その辺り上手くスペースメイクしていければ得点に繋がると思うんだが…

後半

クルークスCKゲット、追い付くチャンス

んー、熊本のインターセプトにやられてる感

60分で熊本も足が止まってきているがお互いに交代枠使用

パスアンドゴーで人もボールも動くことでスペースメイクは出来ている感じ、しかし体力消費もあるから決める場面決めないと厳しくなる

川﨑GKの背後狙ったが残念、追い付いた

金子値千金の同点弾!!

1-1

川﨑のクロスも良かったし、金子もしっかり中央の良い場所に入って待てた

これ上手くすれば逆転勝ちの流れ作れるぞ

角は交代か、足ヤバそうだな…

ペイショットにきついマーク着いてるな…

ペイショット届かなかったけどあれ触れてたら勝ち越し点だったのに

佐藤強烈なシュートだが枠に飛ばず

ジュビロが押せてる状況だから押し切って欲しいな

サイドでマーク薄いから簡単にクロス上げられてゴール前触られてる

ちょっと危ない

クルークスがサイドに張り過ぎで逆サイドにボールがあってもサイドに張るから中央にチャンスボール入っても届いてない

ペイショットのヘッド流石にスリッピーで上手くそらせなかったか

金子降ろしてレオか

金子得点できたしまぁ

レオいきなりミドル狙い、いいね、勝ちに行く姿勢

クルークスはオフサイドポジションでプレー関与できず、あそこポジション取り直せてたらワンチャン作れたかも、おしい

カウンターチャンスギリギリ残ったが逆カウンターくらいかける

ペイショットと中村の動き悪いと言われるが、ペイショットに関しては相手のマークが徹底されてる

中村は攻撃の軸でカウンター時のリンクマンとして必須、その分スタミナと守備力で優れる金子やレオをコンビに置いている、というハッチ監督の判断ではないか?

熊本がボールを持つ時間が長いと考えるとカウンターでポストとなるペイショットや攻撃の軸になる中村を変えられない、という感じがするけど

その分ほかのポジションで動ける選手を入れ替えて運動量も確保してるしペイショットの高さと中村の技術と視野は他の選手に替えられない質がある、という判断なのかもしれない

FK与えてしまったがここのカウンターで勝ち越し点欲しい

残念、GKにキャッチされてしまう

FKは相手が全員自陣に入ってくるのでカウンターできれば決まる確率は高くなる、運動量ある交代枠選手が一気に攻め込んで欲しい

またFK、ゴールライン割ってゴールキックだが繋ぎ選択か…

ここロングボールで攻めたい

カウンターやはり攻め切れない

中央に速攻決めてくれればいいんだけどなぁ

終わった

ホーム1-1引き分け

まぁ負けずに済んだからまだいいか

川﨑金子の活躍で負けは回避できた

ただ戦術的な精査して何が攻撃停滞の原因だったかを分析した方が良いかも

熊本自体も上手くて攻撃を遅延させられたり奪取されたりと言う雨紛もあるだろうし、こちらの攻撃の連携ミスとかもあるだろうし

まぁまだまだこれからだね、調子は悪くないと思うけど


2025年4月11日金曜日

YBCルヴァンカップ 清水戦

開始直後に失点してどうなるかと思ったが

終わってみれば2-1勝利

内容も序盤はかなり清水に押された感じが強かったが、徐々に押し戻して得点、さらには優位な状態を維持できた勝利だった

清水は3-4-2-1だったが守備時5-2-3に可変するミシャ式に近い形式を取ったがジュビロのSBを抑えることが出来なかった感があった

序盤ではスタミナを活かした前からのプレスでジュビロのビルドアップを阻害する形は出来ていたと思う、しかし清水の前線3枚がプレスに出る一方で5バック状態で中盤ボランチ2枚だけが残る形でサイドにスペースが出来たり、WBが一枚に対してジュビロのサイド2枚を活かしてWBを釣り出してインサイドからWBの裏に斜めスライドして入る動きをしたり、など攻め口を色々と変化させながら崩せる場所を探っている感じだった

ボランチの寄せが良くてまずボール奪取が良かったのでポゼッションを維持できていたのと、ビルドアップでもパスの受ける位置やパスを出した後の動き直しなどこまめに位置を調整してボールの逃がし所が常にキープできていたので清水はジュビロのボールを捉えきれなかった、結果清水側は長い時間守備的な状況を強いられた

ジュビロの良かったのはロストやクリアされたセカンドボールに対しての速くて強い寄せが出来ていた、2列目3列目の中盤勢が良く動いてボールをキープしてくれたのでそれがそのまま試合の流れを優勢にしてくれた

掲示板では先手を取れていたので攻撃は最大の防御だ、と書かれていたが、そのボールをまず手に入れなければ攻撃はできないんだよ、だからボール奪取というタフな仕事をまずクリアしないとポゼッションを活かしたボールキープと攻撃の継続はできない、ハッチ監督の良い所はネガティブトランジッション、ボール奪取の部分でチーム全体が一気に動いてしっかりとボール奪取してキープしポゼッションを維持する、というテーマができるように仕込んでいる事、横内監督時代ではボール奪取ができずに結局引いてブロックを組んでロスト待ちやインターセプト狙い、という感じだったので守備時間が長かったし先手が取れなかった、なので選手の入れ替えと監督の入れ替えで動かないチームから動くチームに作り変えてくれたのは非常に頼もしいことと言える

レオのシュートが下手だ、という意見があったが、レオは右利きでボールは中央側から左側に流れていた状況でレオは開いていくボールを追わなければいけなかった、ボールが開いていく、というのはゴールへの角度が少なくなる、という意味、さらに聞き足ではない左でけらなければいけなかった、また、あそこでレオがシュートではなくトラップして繋ぐことを選択することも出来たと思うが、それだと逆に空いてが前向きに押し上げてきてしまうので一度プレーを切ってカウンターにならない状態にするにはシュート選択で良かったと思う、状況や選手の得意不得意を考慮せずにシュートが枠に飛ばなかったから下手、というのは簡単、でも選手は運動しながら判断しなければならずその時間は非常に短い、シンプルな選択と行動を選ぶことが重要になる、レオのシュートは流れをシュートで終わらせる、という点では問題ない判断だと思う


ダービーで久しぶりの勝利は手放しで喜ばしい事、しかもスタイルの基礎基盤となるボール奪取がしっかりでき、かつパスを繋ぐためにポジションの取り直しを細かくできている、スタイルの基礎がきちんとできているのが非常に良い、いままでの「なんちゃってポゼッション」とは完全に質が違うのはプレーを見ていればわかる、以前のジュビロは選手は動かない、ボールだけを動かすだけ、ボールを奪えない、止まったボールを蹴るキック精度が良いだけ、という非常に限定的なプレースキッカー優位なだけのスタイルで配球重視でその前提となるボール奪取を全く無視したスタイルだった、それに比べて今のハッチ監督体制ではポゼッションに必要な能力、技術を持った選手と戦術で統一されてきている、ビルドアップが良いのもあるし、2列目の運動量が高くファーストディフェンスが速いことで中盤でのフィルターが早めにかかる、これでボランチやSBも防衛の準備が整うし2列目が止めた勢いを3列目以降がさらに詰めてボール奪取まで持っていけているというのが大きな違いでもある、中盤の機動性、スタミナ、強度が非常に高く強かった時代のジュビロに繋がる強さが垣間見れる

藤田SDのテコ入れで新しい選手や監督が入って来てかなり大がかりな改造になったが、結果としてチームがやりたい本当のスタイルを体現できるようになった、と言ってもいい

サブも含めて競争がしっかりできておりチーム内の選手層は厚い、ただ一部ポジションの配分はまだ適性ではないので夏に追加や変更などがなされる可能性はあるだろう、今の状態ならJ1昇格してもおかしくない、ただ怪我による離脱や疲労などだけは避けようがないのでサブの量と質の高さは重要になってくる、カップ戦で勝てているということはタイトルを取る可能性があると同時にサブも活躍の場があり、リーグ戦カップ戦共に戦う場があるので選手のレベルアップ、経験値の蓄積にはもってこい、今の状態が非常に良いのでJ1昇格したら1年で落ちることはまずないと思う、ただこの質を維持しなければならないのでそれはそれで大変ではある

来年以降の新人選手なども今の選手層に劣らない人選をしなければならず、J1復帰してもJ1残留は簡単ではない、ただ今はチームとして非常に良い状態にあると言えるので、これをどれだけ維持できるかがジュビロの黄金期復活の鍵にもなってくる

2025年4月7日月曜日

強いフォーメーションとは

サッカーは完全性が低いので完璧なフォーメーションは存在しない

しかしながらサッカーの競技性やルールによってより安定したフォーメーションは存在する可能性は高い


まずフィールドの大きさと形から考えると2つの考え方がある

1つは全体を使う動的なサッカーをする場合

この場合はよりオープンな展開になるので初期配置=ポジションの分散度、再配置の速度などが必要な項目になる

もう一つはゾーンやレーンに区切られた静的なサッカーをする場合

現代サッカー寄りで全体を使わずにより狭い範囲に限定して選択肢を減らしたうえでコントロールをしようとするもの

この場合は強度、密集度、連携度が重要になる


フォーメーションは動的か静的かに限定する場合と限定せずに可変する場合がある

動的なフォーメーションの場合、初期配置が重要になるので縦列配置や中央、サイドの分散度が重要になる、基本的には縦にボールを繋ぎ、横に動く

静的なフォーメーションの場合、横列で各レーンへの配置やゾーンの制圧をする

ボールを横に繋ぎ、前後に移動する


可変型の場合はどの位置でボールを横に繋ぐか、縦に繋ぐかで縦列と横列の配置が異なってくる

3バック4バックの違いなどはアウトサイドの枚数をどう配置するかによって異なるのと、同じ4バックでもアウトサイド2枚か1枚かの配置の違いがある、3バックではアウトサイド1枚だが可変による入れ替わり、ローテーションなどで枚数は変わらないがポジションを入れ替えるなどの工夫があったり、3-4-3系のサイド1枚3枚可変などもある

動きの素早いJリーグでは静的なフォーメーションから動的なフォーメーションになりつつあり、動的=縦列をメインにしながらも横列への可変を含むものが採用される

3-4-2-1、ミシャ式はそのスタイルで4列構成でアウトサイドはWB1枚を置いて幅を取りながら横の広さを使った展開力を持ちつつ、中央レーンにしっかり人数を置いた縦列型なので守備も堅く安定している

押し込んだ攻撃ではWBが上がって5トップ気味の超攻撃型にもなり、引いては5バックの超守備的なスタイルにも可変する

3-4-2-1と言っても2-1の部分は2シャドー1トップなので3トップ気味の攻撃にもなるし、守備では2シャドーWボランチのボックスで中央をしっかり守る堅い守備を維持することもできる

攻守に安定し、かつ超攻撃型、超守備型に可変できる戦術の幅の広さがある

サッカーの歴史をみるとやはり3-4-3系をベースにするのが強いのではないのかと感じる

最初はWMフォーメーションで3-4-3ボックス型

ボランチの語源となったボランテはこのWMフォーメーションの右ボランチに相当するが実際はやや斜めなのでダイヤモンドとも言える

3-4-3ダイヤモンドだと3バックの前にアンカーもしくはワンボランチがいることでスイーパー4バックと同じ形式になる

3トップ、ダイヤモンド、3バックでサイドがWBのみの1枚、WGとCBを含めた3枚の可変ともいえるので、サイドの枚数でも優位を作ることが出来たり、中央ラインが4枚なのでサイドチェンジをさせないワンサイドカットの守備形式を使うことができ戦力差を作りやすい

3-4-3ダイヤモンドを3-6-1の形にすると

WGをインサイドの2列目に下げて中央に逆三角+1の形を作りアウトサイドにWBを配置した形を作ることが出来る

3-4-2-1の3-6-1との違いはボックス系ではなくトライアングル系で可変しやすいという部分

2シャドー、センター、WB、アンカー/ワンボランチ という構成になる


___IH____IH___

______CH______

_WB___DH___WB_


WMや3-4-3ダイヤモンド、3-4-2-1の特徴は中盤中央の多層化にある

そしてN-BOXも同じ

中盤中央の多層化が何故強さを生むのか、というのは

「差し込み」ができるから

サッカーは当たり前だがボールホルダーと受け手、レシーバーがいる

4-4-2の3ラインに対して3-5-2(3-1-4-2)が対抗策になったのは2トップに対して4バックの2CBによる1v1を止めて3バックにして1枚を余らせ、その1枚を中盤に押し上げることで枚数有利を手に入れた為だ

同時に3ラインに対して1ボランチが差し込まれることで4ライン構成になりボールの出し手と受け手の中間に1枚を差し込むことができ、この1枚でカバーシャドーだけでなく前のラインのカバーができ、それによって後ろの受け手を引き受けているDFが前のラインのカバーに釣り出される必要がないことが重要になる

中盤の多層化はN-BOXも顕著で、2シャドー、CH、Wボランチの3層化がされていることで中央の1枚が差し込みの位置を取ることが出来る、また前後に動けば2枚の中間を埋めることで2枚が左右に展開できる

このCHの位置取りの妙は非常に重要、全体が見えている、中央のスペースを埋めている、移動することで人数差を作ったりスペースを埋めて味方の展開を補助する、ということができる

また中央にいることで全体を見回してバランスを取ることができ、また中央で1枚浮いていることで余剰戦力の展開が素早くできる

ここが重要になる、左右対称に分割して配置してしまうとポジションが硬直してしまうことと、左右に配置されることでワンサイドカットされた時に逆サイドの戦力は死んでしまう

これに対して中央に密集を作り余剰戦力を中央に置くことで中締めの常時守備を維持しつつ、ボールサイドに余剰戦力を動かすことで戦力の欲しい場所にデリバリーができる

3-4-3系の戦力の均等分散による広い展開を維持しながら中央からフリーマンとしてバランスを取りつつも詰めるタイミングでは動く、という戦略戦術級の動きが可能になる

Wボランチだとスペースは埋まるが逆に低い位置に戦力を置き過ぎてしまうことになる

ワンボランチ/アンカーの前にセンターを置き、その前に2シャドーを置くことで1トップ+2シャドーの中央攻撃の集中が可能であること

逆トライアングルからシャドーのサイド展開+WBをダイアゴナル侵入によるトライアングルをひっくり返し相手サイドの裏を突く攻撃ができる



基本形

______FW______

___IH____IH___

______CH______

_WB___DH___WB_

__CB__CB__CB__

縦型陣形で中央で相手を左右分断、ワンサイドカットしてサイドチェンジさせない、ボールサイドを限定することで相手戦力を減らし、サイドで3v2を作る

WB ⇨ シャドー ⇨ FW の大きなトライアングル=攻撃ライン



シャドーのサイド展開+WBのダイアゴナル侵入

______FW______

_IH__WB__IH___

______CH______

______DH___WB_

__CB__CB__CB__

相手WB/SBを釣り出してCBとの縦のギャップを作りシャドーがサイド裏に侵入、強度のあるWBがダイアゴナルに中央に入ることで中央でミドル、高さ勝負、強度勝負で決定力を高める

シャドーが中の勝負で勝てない場合、サイド展開してWBが代わりに中で勝負する、シャドーは外に配置されサイドで動く

DH/CH ⇨ シャドー 大きな逆トライアングル

WB ⇨ FW の大きなトライアングルからの変化

ボールの出し所、受け所を 外 ⇨ 中 から 中 ⇨ 外 に変更する


3-4-2-1のボランチが縦に並ぶことでシャドーの位置を押し上げ中央を縦に支配する

シャドー、WB、ワンボランチ/アンカーで作るトライアングルの中央にCHが移動することでトライアングル+1の形を作る


シャドー+CHがWB+ワンボランチ/アンカーの中間に落ちてN-BOXをボールサイドに作る

もしくはWBが中を締めて中央にN-BOXを作成する

N-BOXを作りやすい陣形なので縦列でワンサイドカット⇨ボールサイドにN-BOX形成、でボール奪取からショートカウンターを狙いやすい

縦列なのでカウンター時にパスを縦に繋ぎやすい

相手の帰陣が早く遅攻になった場合もWBは低い位置からフリーでクロスを上げやすい

WBが低い位置をキープするのでカウンターに強くポゼッション時も左右展開がしやすい

ワンボランチ/アンカーとWBの3枚が3バックの前にいるので、3バック+WBの5バック、3バック+ワンボランチ/アンカーの4バックの使い分けがしやすい

中央に2シャドー+CH+ワンボランチ/アンカーの4枚がいるので中央を制圧しやすい

中央が3層なのでシャドー⇦CH⇦DHのようにカバーがしやすいので前からチャレンジにいける


2列目の2シャドー+CHの3枚のスタミナ、強度、戦術眼、テクニックなどが大事になる

守備は3バック、WB、ワンボランチ/アンカーの6枚で対応するが2列目3枚も詰めるとN-BOXが出来るのでかなり強力な守備を維持できる


WBとFWで大きなトライアングルを作り、縦のギャップをできるだけ作る

中央4枚が中央支配

攻撃は中央に集中することで決定力をアップ

CHやWBが4人目としてレイトで入って来てミドルを打ったり、シャドーが割れた時にCHがトップ下として中央に出てくるなど2列目~3列目の最後の一押しがあると更に決定力が高くなる


フィールド全体を広く使ったオープン攻撃、ワイドを使った両サイドからのブロード攻撃、縦陣形を活かした速攻、中央3トップによる集中攻撃、ワンサイドカットとN-BOXを使った強固な守備、3バック4バック5バック可変の柔軟な対応力、中央4枚中締めと多層化差し込みの厚い守り

中央の密集と中央サイドの分散配分のバランス

柔軟な可変力と対応力

安定した守備力

広い展開力と集中した攻撃力

これらを複合できるフォーメーションが強いものだと言える

ただし絶対はない

最強のフォーメーションは存在しないが柔軟かつ安定性のあるフォーメーションはより強いと言える

2025年4月5日土曜日

2025 第8節 A山形戦

14位山形

前節からボランチの中村上原がハードワークして良い形が出来てるので継続するのがテーマになるがどうなるか


前半

山形は広くプレスしてくるようだ

ロスト後にブロックを組んで対応

PA内で危険な場面があったがギリギリ繋いで前進

倍井と松原のローテーションからサイドチェンジ

サイドからのクロスにも倍井や上原が詰めてコース切るようにしている

サイドでフリーにしてクロスを正確に上げさせないようにすることで中央は守りやすくなる

GKが阿部になってから後ろのケアが広く安定したビルドアップになっているのはジュビロの強み

川島もセーブ力があるのでどちらのタイプも活かせる戦力があるのはジュビロの良さだよなぁ

倍井ホールドから松原の展開、クロスいいね

上原がこまめにサポートしてるな、良い傾向

ボランチが動くのはバランス的に難しいけどよくコントロールしている

攻め上がる時にクルークスと倍井の両サイドが前に入って来てスピードのある速攻で行けるの良いね、角も含めて2列目の速度が速攻できるから少し守備的な入りでも反撃の形があって攻め上がれる

ボール持っても持たなくても速攻できるという選択肢があるからどちらもいけるのは大きい

ワンサイドの追い込みから奪ってショートカウンターできてる、切り方、追い込み方がいい

しっかり中央押し出してサイドチェンジさせずに同サイドで奪って押し出した中央を使った攻めができる

倍井の動きいいね、受けてフェイントしつつサイド変えながら自分は中央前に進んでフィニッシュに備える

上原リンクしつつ前向いて攻撃の基点にもなってる

以前と違ってプレイスタイルが良くなってる、よりストロングになって良さが出てる



後半

山形ファール覚悟で潰しに来るなぁ…

クルークスの少しインサイドに入ってのパスいいね、逆足サイドだから少し角度があれば前に出せるのいい

段々ラフになって来たな…ジャッジしっかりコントロールして

山形の前からプレスも上手くかいくぐって敵陣まで進む

倍井がしっかりターンして周囲を確認して右のクルークスに繋ぐ

みんな冷静にプレイできてる

植村からクルークス、ペイショットのところで潰されることが多いな…

山形はドロー狙いかな?

ペイショットと佐藤がガン詰めするからクリアボールがクリアじゃなくて敵陣までプレスしにいって大きなプレッシャーになってるな

一瞬でも相手がロストすれば得点するチャンス

裏抜けループされたけどオフサイドか…危ない危ない

DF1v2で厳しかったが阿部ナイスセーブ

やはり守備がかなり安定した分怖い試合が少なくなってるね

GKとDFは良い仕事してるよ

あとは攻撃陣が決めてくれればいい

プレスバックもいいし、しっかりカットして反撃抑えてる

押し崩せ

セカンド回収も速い

山形に仕事させてない

ネガティブトランジッションでも全員しっかりコントロールしてる

これだけハードな試合で動き止めないの凄いね

マジ今のスカッド物凄くレベル高くなってるよ

クルークス速過ぎ

ドローで終わってしまったが悪い試合じゃなかった

勝ち点も積めたし次勝とうね