2025年4月22日火曜日

戦術談義

掲示板の戦術談義で言い合いできる時代になるとは、以前は戦術への興味など全く感じられなかったがここ最近は戦術の理解のある人達が話しできる程度になりつつある

「ただ」

戦術は0か100かではない、かつ、色々な考え方、方法論、個人の意見はあって良い
それが正しいかどうかは別に関係ない
大事なのは、それぞれが自分の意見を言い合えること、同時にそれをリスペクトしながらも別の角度の意見もある事を許容し合えること

それが大事だと思う

何故なら、そもそもサッカー自体、ミスのスポーツであること、完璧というものは存在しない、フィールド、天気、審判、選手層、サポーターの民度、監督、スタッフ、全ての要素がさまざまなものを含んでいるからこそ複雑に入り混じって出来上がっている

なので、あれが駄目だから全否定、とする必要はなく、あれの目的は何で、それが上手く行ってないのはどこが問題なのか、ではそれについてのヘルプはどのようなアイデアがあるか、という風に問題をリファインしていけばよいわけで、そのアイデアが実現可能かどうかの賛否はあるが、サッカーは完全でないスポーツだからこそ突拍子もないアイデアが刺さるかもしれない、そういう面白さもある

ファンタジスタが好まれるのも同じで、できないことをやってしまうから注目される、だとしたらどんな戦術でもアイデアは色々あっていいし、それが運用上どれくらいの確率で可能かの問題はあるにせよ、刺さるタイミングはどこかにあるし、むしろそれが刺さるように準備するというのも一つのアイデア、確率が低いアイデアだからこそ相手はそれを想定しない、確率論ガチガチに考えると逆に切り取った枝に活路があるのは将棋やチェスでも同じ、定石ベースで考えるだけでなく自由な思考でアイデアを出し、確率論だけで運用するのではなくそれが使えるチャンスをどう作るかもサッカーの醍醐味でもある

戦術談義はいいが、熱くなって人格否定したり戦術やアイデアを全否定せずに緩い感じでそういう可能性もワンチャン、くらいの考えでいられる方が楽しいアイデアが出てくるだろう
戦術は多層的だから一つが刺さっても対策されたらすぐ使えなくなる、だから行く層にもアイデアを重ねて2手3手先にどうなるかを考えてパスや人の動きをデザインしていく、それがゲームメイクやゲームデザインの面白さでもある

ハッチ監督の現在の形はWボランチが中央で2トップとWボランチに挟まれる死に駒の状態を作るが、開いたCB、上がったSB、高い位置のWGの3枚が両方に存在し、そこを繋げる攻め方をしている
CB → SB → WG と縦に繋げる場合、SBが相手SHと対面しているのでWGに繋ぎにくい、そこでSBをインサイドにスライドさせることで相手SHを中に釣ってCBからWGへのコースを空ける、これでCBからWGへと直接長い縦のボールが繋がり、WGが相手SBと1v1で勝負をかけられる、ということになる、相手がブロック守備ではなくマンマーク守備の場合SBへのマンマークを釣ってコースを作る、ということ

この戦術ではボランチは中央の囮役として2トップとボランチに挟まれてパスを受けられない、2人が死に駒になるが相手4枚をピン(止め)しておくことで+2枚の優位を別の場所で作ることが出来ている、と考えれば差引プラス

逆にボランチが死に駒になることで戦術の幅が狭くなることで全体の流動性が無くなる部分はマイナス

どちらの意見も正しい

問題点の一つになっているのは決定力、得点力
よく言われるのはペイショットの問題
相手側からすると2m近い高さで前線に基点を作られるというのは非常に厳しい、よってペイショットへのマークは相当厳しい場合が多い

ジュビロ側から見るとポストするより倒れる回数の方が多い頼りない9番に見えるが、相手から見るとバイタルや中央でポストされて散らされると非常に厄介であり、そこを潰さないとジュビロに自由にコントロールされてしまう、という部分がある

しかもファールすればそこからFKになるので相手から見て低い位置でのファールは決定機を生み出す基点となるので非常にやりにくくなる、出来れば敵陣であるジュビロ陣内に追い出してファールで止める方が自陣内ファールよりよっぽどいい、ペイショットが降りて受けるのは楽だが、敵からすると自陣内ファールの確率が低くなるのでいない方が守備しやすい、ということになる

ジュビロからするとボールポゼッションを維持するならペイショットが降りてポストした方がマークが緩くなるのでコントロールしやすい一方で前線中央に脅威がないので広く守られてしまい両WGへのマークやトップ下へのマークの方がよりきつくなる可能性が高くなる
そう考えるとWボランチの死に駒戦術と同じでペイショットを敵陣中央、バイタルなど高い位置をキープさせて1v2、1v3などで中央エリアにピンさせておく方がWGやトップ下の動けるエリアは広くなる

ハッチ監督の戦術で重要なのは両WGとトップ下の2列目3人で、ここがどれだけ動いて得点に絡めるかが大事になる

前線4枚のうち、ペイショットがピン要員だとすると、2列目3枚がどう動くかになるが、両WGがクロス要員でアウトサイド張り付きになってしまうと中央の人数が少なくフィニッシャーがいない、特にトップ下の角や川合がインサイド、ポケットへと侵入してしまうとゴール前やバイタルにいる選手がほぼいない、ペイショットが素早く詰めることはできない

アイデアとしては速攻か遅攻かで分類されるが
速攻の場合、ペイショットではなく裏を狙える走れる選手をトップに起用する、もしくは佐藤のようにポストもできるが動ける選手を置く
トップ下がポケットに入るタイミングで同じように逆サイドのWGがファー裏に飛び込み、トップもラインの裏に飛び出して2人がフィニッシュに絡めるようにする、上手く足に当たれば得点できるし、裏に流し込むのでDFのオウンゴールも狙える、前にクリアされた時のことを考慮するとSBやボランチが回収ラインを中央に組んでセカンド回収からミドルシュート、ここまでデザインされていると1次攻撃2次攻撃とできる、相手の守備が堅く壁が厚いとミドルの打つ隙間がないので一旦サイド展開する遅攻に移行するなどリズムを取る選択肢もある

完全に遅攻でポゼッションを維持する場合、相手もラインを下げるのでゴール正面側からのシュートを打つには厳しい、5バック攻略の方法から流用すると、サイド深くへと侵入してライン裏からマイナスに打って相手DFのオウンゴールを狙う、というのがある、この場合アウトサイドから回り込むので両WGが張り付きからスタートし1v1でラインの背後へと入らなければならない、ただこの攻撃のボーナスとしてはセットプレーが取りやすいのでペイショットのように高さはあるがスピードの無い選手がトップの場合は両サイドが背後狙いからのシュート、クロス、セットプレー奪取、辺りを狙った戦い方ができる、両サイドに振って両サイドから背後を狙うことで敵の守備を1ライン化させて、薄いバイタルからミドルを打つ、という副次的効果もある

ハッチ監督的には遅攻で長い時間相手陣内で攻撃を続けるというのがプランとしてあるのかもしれない、できるだけ相手陣内の深い位置でプレーをして圧力をかけ続けてこじ開ける

ただ実際のゲームではこじ開ける所まで行けてない事が多い、という点でプランが完全ではないので、もう少し戦術の深みや幅を作る必要がある段階、という感じなのではないだろうか

ゲーム自体は先手はとられやすいが挽回できて徐々にポゼッションを上げられるが失点が早くどうにかこじ開けても同点止まり、という感じ

多くのチームがポゼッションにこだわらないことでメリハリのある状態やトランジッションを活かすゲームをやる一方でジュビロはポゼッションにこだわりトランジッションを極力なくすゲームを指向している、という違いはあるかもしれない

それがどう出るのかはシーズン通してみた結果がでないことにはどうとも言えないが、他のチームはトランジッションという「運動」をベースにしているのでよく走れる、ジュビロとしてはボールを使って相手に運動させることで体力差を作り後半の体力ギャップを使った攻撃をしたいわけだがこれは横内監督時代でも同じような考え方があってやはり交代枠5つというルール変更を考慮するリソース管理と戦術が密接であることが浮かび上がる

ボールを極端に同じ場所で動かした場合を想定する、例えば、ジュビロが放り込みだけに特化して前線にボールを蹴り続ける、体力を消耗するのはジュビロのFWと相手のDFになるので交代枠はジュビロのFWと相手のDF、お互いに得点の無い場合、ジュビロはフレッシュな攻撃的選手を投入できる一方で相手はフレッシュなDFしか投入できない、この差は得点するというゲームの勝利に対して攻撃側が有利であり、守備側が不利な状況を生み出すのではないか、だとすると相手のゴール前に徹底的にボールを蹴り込むことが重要なのではないか、もちろんセカンドの回収で有利な状況を作ることが前提ではある

この考えをベースにすると、2トップ3トップを中央に限定、MFはコース限定、回収、ミドル重視、DFはインターセプト、クリア、前線へのロングボールを徹底、出来る限りボールを相手のゴール前で動かす、という戦術に特化

交代枠が多いので体力を減らすという戦術は「誰の体力を減らしてどこのポジションを交代させるか」、逆に交代枠が使われていないスタメンのいる場所を徹底的に狙うなど狙いを一点に狙う事も出来る

どういう戦術を取るのかはチーム、監督、選手のプレー、その他多くの状況から選択肢ができるのでこれが最強、というものは存在しない、ただ具体的な因果関係が分かっている部分を狙うというのは戦術の基礎ではある


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