2025年4月30日水曜日

ポゼッション戦術をどう軸にするか

まずポゼッション=ボール保持と規定する

ボール保持状態を仮に1とした場合
ボール非保持状態を0とする

すると、0 -> 1 の状態の変化が必要になる

これをボール奪取と規定する

また 1 -> 0 の状態をボールロストと規定する

つまり

0: ボール非保持
1: ボール保持
0ー>1: ボール奪取
1->0: ボールロスト

である

この状態の変化をきちんと理解した上で、これを戦術的にどう軸になりうるかを考える

まずゲーム開始直後、状態はオープンだとすると両チームが0/1をお互いに繰り返す状態にある

量子学的な見方をするとシュレディンガーの猫で観察するまでその状態はわからない

1のボール保持になったとしても、ゲームが0-0の状態ではそもそも1であるボール保持の優位性は「限りなく0に近い1」、と言える

では先制した後、先制された後、で考えた場合はどうか

先制した後のボール保持は、相手はボールを奪って得点しなければならない、段階的には
ジュビロ: ボール保持 -> 得点(追加点)
相手: ボール非保持 -> ボール保持 -> 得点(同点)
と段階を踏む必要がある

逆に先制された後のボール保持はどうか
ジュビロ: ボール保持 ー> 得点(同点)
相手: ボール非保持 -> ボール保持 -> 得点(追加点)
と先制されたとしても段階的には有利な場面を想定できる

ポゼッションの優位性はゲーム全体でみると確かに有利を維持できる戦術ではある

では0->1の無い状態ではどうか

先制された後の状態を分けると
ボール保持 -> 得点(同点)
ボール非保持 -> 相手のボールロスト -> ボール保持 -> 得点(同点)

ボール奪取が出来ない場合、相手のボールロスト待ちになり、その分だけ時間がかかる、つまり同点に追いつくまでにかなりの時間を無駄にしてしまう

ポゼッションにおいて先制点によって有利な状況を作った場合、更に有利な状態を継続できるのが利点である

しかし、先制された状態、かつ、ボールロスト待ち、という場合、逆にポゼッションによって自分達の首を絞めることになる

ポゼッションが堅守速攻の上にしか成り立たない理由はここにある

まず先制点を取れる速攻、そしてボールロスト時に即ボール奪取によるポゼッション回復というレジリエンスがなければポゼッションはその効果を半減させてしまう

まずチーム作りの第一段階は堅守速攻、それが出来た時=常にボール保持、となることでポゼッションが活かされる

ポゼッションの意味はボール保持ではなく、ボール奪取の部分、その意味は攻撃のリターンとリスクで説明できる

攻撃=シュートすることでボールをロストする可能性が高くなり、ポジションが無効化されることが多くなる、このスクランブルの状態をいかにコントロールしてボールを回収するか、というのがポゼッションのキモの部分でもある

ポゼッション = ボール回収/ボール奪取
ポゼッション ≠ パスサッカー

この2つの差を理解していないとポゼッションを活かすどころかチームを殺すことになりかねない

ある意味ポゼッションとはボール回収/ボール奪取の「結果」に過ぎない、という部分を理解できないと、ボール回して保持し続ける、ロストした後は知らね、という態度では全くポゼッションの意味をなさない

ここを読んでいる諸兄ならボランチの重要性、ボランチの強度、ボール奪取の重要性をよく理解されていると思うが、いつになったらジュビロはこの大きな差に気が付くのだろうか…


ポゼッションとカウンターはお互いをどう見て戦うのかを考えてみる

ポゼッションはボールを保持し、常にゴールを狙えるように攻撃したい

カウンターはボールを持たせて、押して来ればリトリート圧縮密集してスペースとコースを潰し強度を活かして奪い取る、バックパスで引くなら前にプレスに出て押し込んでゴールに近い場所で奪ってゴールを狙う

カウンターの場合、リトリートしてロングカウンター、プレスしてショートカウンターと使い分けられる
ポゼッションではどうか、自陣ポゼッションで裏を狙うか、敵陣ポゼッションで力押しするか
自陣ポゼッションで裏を狙う=擬似カウンターを使う場合、カウンター側はプレス速度の速さが重要でゆっくり押していてはキックで前に出されてしまう
敵陣ポゼッションでブロックを割る場合、サイドチェンジで逆サイドを狙うか、強引にドリブルでPA内ファールをもらうか、サイド深くからゴールへ迫って狭い裏のスペースからマイナスを狙うか、少しテクニカルなことやパワーのいる状況になる

ジュビロでは自陣ポゼッションからのロングボール、いわゆる疑似カウンターを使わないで繋いでいこうとする考えがあるが、これはカウンター側としては願ったり叶ったりでプレスによって敷いた包囲網を相手が空中戦で抜けない事を意味する、つまり地上の包囲戦が一方的に決まってしまうという事

自陣ポゼッションするなら疑似カウンターを使う事、疑似カウンターを使わないなら自陣ポゼッションは使わない事、両方同じ意味になるが、ジュビロでは自陣ポゼッションしながら疑似カウンターしないという最悪のケースを戦術の核にしている時点でプレスディフェンスに対してほぼ無力と言っていい

これを強要するならチームとして終わっている、余りにも戦術レベルは低い
地上戦で包囲網を抜けようとするなら必ずゲート+1の数的優位をDFラインとMFラインで作らないと前進できない、これに対してもいつも同数程度で+1を作れないのでゲートを攻略できない

ゲートとは2人で平行に並んだ守備の状態をいう、ゲート=門、という意味
ゲート理論ではゲートの距離が重要で狭くして迂回するか、広くして中央を通すかする
相手が2トップの場合、3バックもしくはGKを含めた3バックを構築し、2トップでできる中央のゲートを左右に迂回するか、中央を通すか、というパスコースを構築する
この為常に相手のトップ+1の人数が必要になり、パスを受ける側も同じ理由で同数が必要になる

この時点でジュビロでは2CBが開いて2トップの外側に逃げるコースを作るのだが、中央に人がいない、GKを含める3バックを作るとCBとGKが低い位置でラインを作ってしまうので深さが少なく前進できる距離も短くたとえパスを繋いで前進したとしても自陣を抜けられるような距離まで到達しない

一度リスタートで低いラインから始めてしまうと、相手のブロックが自陣深くまで入っている状態となり、自陣、ゾーン1に人が密集してしまうことでスペースとコースが無くなり、相手のマークする距離が短くなるためにショートパスを繋いでそこを抜けようとするのは至難の業になってしまう

つまりジュビロのやっていることは自分達で難しくしているだけで、合理性から分析すると何の理屈も通用しないプロがやってはいけない典型的なミスを戦術の軸にしている、といえる

ジュビロはもっと戦術の根本というか深く広く戦術を学ぶ必要がある、「パスサッカーありき」という考え方をまず破壊しなければ無理

黄金期の「誤認」も酷く、評価されるべき「真の」ボランチが評価されてない
ボール奪取力こそポゼッションの核心
紙ボランチを何人並べてもポゼッションはできません

まず目を開いて事実を認めてくれ

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