2018年7月18日水曜日

3151(361ダイヤモンド)

磐田の新フォーメーション3151(361ダイヤモンド)

この表記から見えるのはWBをより高い位置で攻撃的に使いたいということ。
3バックも攻撃的に左右CBはサイドに近い場所まで広げて使い、攻撃サイドではWBと共に前に出て攻撃参加する。

4バックに対しての守備の課題は残っている。3421ではWBを引いてWボランチと4人ラインで中盤深い位置で奪う為相手SBの位置からCBの裏へのクロスに対応するのに遅れや守備の軽さが見られた。

WBを高く保ち相手SBに当てることでロングフィードを防ぎ、かつSBの裏のスペースを突くようにカウンターを仕掛けることができる。








左サイドからの攻撃時
左のWBとCBが攻撃参加
右CBが左にスライド
アンカーが下がる
右WBが下がる
右バランサーがシャドーとして上がる

              トップ

              ↖    ↗
● ↑            トップ下     ↑
左WB     ↓             右BL
     ↑   左BL
   左CB
             ↓            ↓
     ←右CB アンカー 中央CB 右WB



これをWBとバランサーの動きのみにしてみると

  ↑              ↑
左WB           右BL
      ↓               ↓
     左BL            右WB



これをレーンで区切ると

  ↑ |    |     |  ↑ |
左WB|    |     |右BL|
    | ↓  |     |    | ↓
    |左BL|     |    |右WB


WBはボールに対して同じように動く。
ボールサイドが上がり、逆サイドは下がる。

一方、バランサーは逆に動く。
ボールサイドはボランチとして、逆サイドはシャドーとして動く。

ボールサイドのアウトサイドと逆ハーフゾーンが連動して攻撃するということ。
これはボールを視界に入れようとするとハーフゾーンのレーンが死角になるから。
上手いFWの選手がDFの背後に隠れるのと同じ。
ボールウォッチャーになるDFの背後を狙う=シャドーの攻撃
味方のFW、トップ下が中央でDFにマークされやすいので死角に飛び出してくるバランサーが得点しやすくなる。
かといってバランサーにマークが散るとFW、トップ下が自由に動くことになる。

ボールサイドに守備がスライドすると逆サイドが空きやすくなる。
そのスペースを使ってバランサーが上がることが可能になる。



2018年7月17日火曜日

361ダイヤモンド

2018年ジュビロ磐田の新フォーメーション 361ダイヤモンド

3バック+アンカー+インサイドハーフ+WB+トップ下+1トップ

中盤の構成をWボランチ+2シャドーからアンカー+インサイドハーフ+トップ下に変更
ボックスからダイヤモンドにしている。

これだけの変化で大きな違いがあるのか。
相手はJ2、3位の山口。
結果は4-1の快勝。

守備面では361ボックスとほぼ変わりなし。
中央に4人いて中央を締めている。
WBは守備時に下がって両サイドを左右のCBと共に守備をする。
3バックは中央に集まる形ではなく、左右CBはサイドに広がる。
つまり中央のCBと左右のCBの間には空間が出来てしまう。
アンカーはこれを埋める。
攻撃時にWBが上がり、一緒に左右CBも上がる。
この時に逆のサイドのCBがスライドして上がったCBのスペースを守る。
逆サイドに空いたスペースはWBが下がって埋める。
アンカーが下がることで4バックの形にも変化している。
攻撃時を最大にするために守備をやりくりしている。

               アンカー
                |
左WB - 左CB - 中央CB -右CB - 右WB


左が攻撃サイドになると


左WB

  左CB

    右CB - アンカー - 中央CB - 左WB

このように攻撃サイドにスライドして全体の守備のバランスを取っている。


攻撃に関しては中央のインサイドハーフの飛び出しとトップ下の飛び出しの両方を使っている。
これは川辺のいた時のカウンタースタイルの一つ。

ここで利いているのがダイヤモンドにしたということ。
田口と上原という川辺の後釜を入れている。
インサイドハーフは下がればトレスボランチになって守備を堅くする。
一人が上がれば361ボックスの2シャドーのスタイルになる。

インサイドハーフの飛び出しはボランチの位置より高めになりより攻撃参加しやすい。
また、Wボランチだと攻撃参加にどちらが行くのかで穴が開きやすくなる。

多分、攻撃サイドのWBに大して逆サイドのインサイドハーフが飛び出してくる。
これは以前はWBが飛び出して逆サイドのロングボールをシュートしていたが、これでは体力が持たない。
ボランチやWBの攻撃参加の負担も考えるとインサイドハーフの飛び出しによる攻撃参加は全体のバランスをうまく整えている。
逆サイドのWBが下がって守備の穴を埋めることから、逆サイドの攻撃はインサイドハーフが担当した方が良いことになる。

トップ下は1トップに絡んだり、スペースに抜けだしたりとインサイドハーフと同じように飛び出して攻撃参加する。守備時は中央を守りプレスバックして4人で中央を制圧する。


新フォーメーションは今までの積み重ねが生かされている。
左右CBの攻撃参加は2018年前半において機能した攻撃。
左右CBはハーフディフェンダーとして守備だけでなく攻撃にも参加する。
現代サッカーの最新の動向を取り入れている。
WBのサイド攻撃によって中央、ハーフゾーンのインサイドハーフが中央でフィニッシュする。

左右CBの攻撃参加は今までのサイド攻撃におけるWBの単騎による攻撃がアダイウントンの個人の能力に依存していたことと、組織的守備に対して個人のサイド攻撃は脅威にならなくなってきている。
このために左右CBがWBと共にサイド攻撃に参加して連携しつつサイドを崩していくことができる。
すると相手の守備はサイドによってくるので、逆サイドの守備が空く。
攻撃時は逆サイドのWBは下がるが、インサイドハーフがこれに代わって逆サイドの攻撃参加をする。
ボールサイドのWB+左右CBの崩し、中央の1トップ、トップ下、逆サイドのインサイドハーフの3枚が前線に並んでサイドのWBからのボールを待ち受けている。

このフォーメーションは面白いし攻撃力もあると思う。
しかし、361ボックスの弱点であった4バックのSBからの裏への放り込みに対してはどのように対応するのか。
2シャドーでなくなったので中央からサイド奥へのプレッシャーが利かなくなり、相手SBが自由にボールを持てる状態だとまずい。
WB+インサイドハーフの2枚で対応するのか。

森下監督時に3142で攻撃的にし過ぎてJ2降格したのを考えると、1ボランチは博打になる。
インサイドハーフが田口、上原のスタミナタイプであるから上手くいっているのかもしれない。
この布陣ではインサイドハーフが攻守のカギになる。ボランチ役であり、同時にフィニッシャーでもある。
インサイドハーフがアンカーと共に3ボランチ気味に守ることもできるので中央の厚みはある。
それを抜けた場合は中央CBがカバーにいく。
中央を3ボランチ気味にできるからこそ左右CBは開いて攻撃参加が可能になる。
このあたりのバランスの取り方がこのフォーメーションではうまく機能している。

ビルドアップに関してはWB、左右CB、インサイドハーフの3人でサイドからの攻撃を活性化する。
WBの攻撃を内側のインサイドハーフと後ろの左右CBが支援する。

フィニッシュは1トップ、トップ下、逆インサイドハーフが決める。

2018後半バージョンの361ダイヤモンドがどれくらい活躍するのかを見てみよう。
このフォーメーションはかなり攻撃的だが、守備のバランスもとるようになっている。
リスキーな部分はもちろんあるが攻撃力は課題でもあった。
守備に関しては去年からの積み上げがある。
今年は攻撃の積み上げが見込めそうだ。