2017年8月3日木曜日

ジュビロ2017システム

磐田のシステムは3421に落ち着いたようだ。
3412のツートップも名波はやっていたが、選手の方がバランスを考えて1トップ2シャドーの3421を要求したようだ。

以前から書いている通り、中村のトップ下では守備は安定しない。相手のダブルボランチに対して一人のトップ下では抑えることができないし、中村がポジションを離れるこで相手のボランチ、司令塔が自由になってしまう。

2シャドーの利点は相手のダブルボランチに対して1対1で対応できること。中央が4人のボックスになり中央の守備が堅くなること。その副作用として相手は中央突破をあきらめてサイドにボールを渡すが、そのサイドに対してもWB、ボランチ、シャドーの3人で囲むことができること。以上の利点がある。これが戦術にそのまま反映され、中盤の厚い布陣からのショートカウンターが基本戦術になっている。

布陣を分析すると、中央ラインの鉄壁さがうかがえる。まず中盤中央の4人ボックス。その後ろに3バック、さらにカミンスキーと中央ラインに数と質の両方をそろえている。しかもボックスの利点は中央を囲むだけでなく、サイドに対して壁を作ることができ、簡単にサイドチェンジさせない。サイドにWB一人かつ3バックの磐田ではサイドチェンジは大敵。サイドに追い込んだら確実にボールを奪取してカウンターにつなぐ必要がある。

2トップによるチェックはボールを押し込めるような気になるが、1シャドーなのでトップは深追いしてしまい、ダブルボランチにわたると1シャドーで対応できずに前に繋がれることになる。1トップだと左右をどちらかに動かすことだけに専念でき、その後はボールサイドのシャドーに受け渡すことになる。シャドーは中へのコースを切りながら外に運ばせる。WBが前を切りながら、ボランチシャドーが中を切ってコースを限定する。

中央ボックスの利点はパスコースのほとんどを切ることができる点にある。中へのパスを潰して中央を制圧できる。もし中へのパスが通っても3バックが中央をふさいでいるので2段構えで中央の守備は堅い。中央ラインとはゴールへの最短コースであり、ゴール正面は一番コースのある選択肢の広い攻撃側が有利な場所。それを中央ボックスと3バックで徹底的に潰し、直接コースのほぼない外でボールを奪うことでリスクコントロールをしている。

磐田がショートカウンターを選択している利点はロングカウンターでは終始押し込まれて守備に体力を使ってしまい攻撃するタイミングをつかめないことが多いからである。またジェイのように一人で得点できる選手が必要になる。また相手がピッチのほとんどを制圧してしまいコントロール下に置かれることでこちらのボール運びは限定される上にセカンドボールも制圧されてしまう。

ショートカウンターの利点はロングカウンターの弱点を補うことができる。ポゼッションでなくカウンターだが、フィールドはショートカウンター側が制圧している点が異なる。ボールを持たずにフィールド中央を制圧しているので相手はボールを持っても最短の正面を攻めることが困難になる。サイド攻撃に対してはWBとスライドした3バックが抑え、ロングボールにはコンパクトになっている最終ラインがトラップを仕掛けることで裏への攻撃を封じている。

そもそもカウンターは守備戦術ではなく、攻撃戦術であり、ポゼッションは守備戦術であって攻撃戦術ではない。それを理解しない限り磐田のショートカウンターによる堅守速攻の利点は理解できない。守備戦術は3421という布陣である。中央を徹底的に制圧することで相手の攻めをサイドに限定してリスクを減らしつつ、攻撃時には薄い守備の中央を攻め切ることによって高い得点を挙げている。サイド攻撃をさせることで中央の人数を減らし、それが守備の人数を減らすことにも貢献している。中央制圧の効果は相手の攻撃を左右のサイドに分断させること、それによって中央の守備は極限に薄くなる。磐田が攻撃する時には相手の守備は中央に数人いるだけであり、ほとんどはサイドに分かれている。磐田の攻撃は中央最短なのでサイドから斜めに走って守備に回るにはすでに遅いのである。

J2から上がったが4231の酷い布陣、レフティーばかりの守備のできないメンバー。そうした名波の思い込みの酷さがあったが、ようやくそれを捨てて改善できた。弱い部分に対してしっかりと対策を立てることで強固な守備と攻撃の厚みを手に入れることが出来た。やっと土台が出来て来た。今年の最終順位が上位であることと、来年以降今のスタイルに対するメタが出て来た時にどこまで対応できるか。また川辺の完全移籍ができるのか、それとも川辺を戻して川辺に変わる誰かを入れることが出来るのか。この辺りは非常に重要な部分。今の磐田躍進には川辺の存在が大きい。ボランチ=守備的ミッドフィールダーではない、ほぼセンターハーフに近いタイプの選手。藤田俊哉のような攻撃性を持っているいい選手である。周りが良く見えているし、流れからのタイミングを測ることのできる能力がある。

3421は広島のWBを上げたスタイルが強かったが、磐田の運用スタイルは広島とはまた違ったスタイルで出来上がっている。かなり強い布陣に仕上がっているので後半これからの上位争いが非常に楽しみ。松井が移籍して枠も余っているのでそれをどう生かすか。

磐田の3421ショートカウンターのメタになりそうなのは442。SBから大きく上がったSHへのピンポイントでのロングボールがトラップにかからずにあげられること、SH同士やSBから逆SHへの鋭いサイドチェンジができること、サイドをパスで縦に使いながら中央の守備を広げてギャップを作るようなパス回しができるかどうか。今のJリーグのパス主体チームはほとんどショートパスがメインでロングパスを回せるようなチームは少ないだろうから大丈夫かな。442で2トップがウィングとして開いてSBからの縦のロングパス、逆SHからのサイドチェンジを受けつつ、後ろのSHが斜めにゴール前に走り込んできてシュート。この攻撃だと磐田の布陣では防ぎきれないかもしれない。サイドに3人置きつつ、磐田の中の守備をサイドに開かせておいて斜めに切り込む。逆サイドのSHの切り込みもあり得る。むしろ死角を考えるとそちらが本命になりうる。

磐田の守備が深追いするかしないかで変わってくる。少なくともサイドで縦のパスが通るなら最終ラインを下げさせて押し込める形にすることは可能になる。磐田としてはサイドの突破をいかに潰して通させないかが重要になる。3421の利点としては中央に人数もいるが3バック+WBの5人のラインとWB+ダブルボランチの4人のラインがあること。5人のラインは間隔が狭いのでカバーがしやすくパスを通しにくい。また4人ラインで前でチェックしつつ、3バックのスライド+逆WBの下がりによる4バック化で34が43に変化する。サイドを限定していない場合は前でサイドを抑えられる34にしつつ、サイドが限定されたらそのサイドをきっちり守れるように43に移行して一方のサイドを抑えつつ中央の人数も減らさない。非常に計算されている。

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