久しぶりにジュビロの戦術について書いてみる。
去年2016年の陣形は4231ワイドで後半戦はほとんど負け。
今年2017年は3421、3412で上位陣に対して完封、3~4得点とかなりの戦果を挙げている。
まず、去年はポゼッション、サイドアタックが戦術の基礎にあった。
今年はカウンター、センターアタックとなっている。
ポゼッションもカウンターもよく間違われるが、
・ポゼッションは守備戦術
・カウンターは攻撃戦術
である。
ポゼッションはボールを保持する時間を長くすることによって相手の攻撃の時間を少なくする守備戦術。
カウンターは守備陣形を整え、相手が前がかりになり手薄になった守備の裏を突く攻撃戦術。
この基本がわかっていないとやっていることのチグハグさがわからない。
去年のチグハグさはポゼッション、サイドアタックでの攻撃サッカーという意味不明だったから。
今年はショートカウンターセンターアタックによって堅守速攻というシンプルでわかりやすい動きになった。
まず新生ジュビロがどのように改善されたかを辿ってみる。
大井、カミンスキーの加入によって守備陣が非常に強固になった。
カミンスキーはジュビロのGKの中で最高の能力を持った選手。
スカウトはよく連れて来た。
国内のGKの能力に比べると格段に高い。
判断力、瞬発力、フィードの正確さが高い。
アダイウトンは1対1に強いがスペースのない場所では活きない。
連携の弱さなどがあった。
陣形ポジションの問題もあって今年になってから良い形になり始めた。
ジェイは能力も高く良いフォワードだった。
得点能力の高さが物語っている。
ムサエフの加入によって問題点だったボランチが収まった。
ボランチ、CB、GKの中央ラインが堅固になり、守備レベルも格段に上がった。
川辺はムサエフの加入によってさらに良くなった。
ムサエフも川辺も守備的なだけのボランチではなく、チャンスには前に出て得点に絡む動きができる。
パサータイプのボランチではなく、ミドルシュートや時にはゴール前まで押し込む攻撃的な動きもできる。
ムサエフと川辺は攻守のバランス感覚がとてもいい。
基本は守備で中央の穴を空けずにしっかりと鍵をかけている。
奪ってからは縦への意識が非常に高く、パス一本で川又やアダイウトンを狙っている。
また、守備時に常にインターセプトを狙う良い感覚を持ち始めている。
守備=攻撃の起点、という感覚だ。
田中誠が守備コーチとして加入したことによって守備レベルは格段に上がっている。
陣形は4231でサイドに4人のサイド重視が3421、3412のサイド2人に変更して中央メインに。
サイドに4人、しかも縦に離れて並んだ状態を去年は生かせなかった。ピッチを広く使ってボールを回すスタイルが合うはずだが、サイドを縦に突破するスタイルを選択したために縦並びは前が詰まって意味がない。中央は守備が薄くなり、対人に弱いパサー、スペースを生めるタイプのボランチ起用で中央を突破されることが多かった。今年はボランチを対人に強いムサエフにしたことで強固になった。中央重視はセカンドボールの取り合いでも有利になる。サイド重視だと人数の少ない中央でのセカンドボールの取り合いで負けてしまう。中央に人が集まっているので前後に動くセカンドボールを取りやすくなる。
3バックにより3CB+2ボランチで中央を堅くした。3バックの弱点のサイドはWBを置くことで穴を空けないようにしている。WBが縦に突破しようとしすぎると穴が開くので3バックが広くカバー。その分をボランチがやや下がり気味になり最終ラインの穴を埋める。3CB+WBの横のラインで広い守備ランを作り、縦に攻めるボランチとトップの中央攻撃によって攻守が効率的になっている。攻撃時は後衛の広さを生かしてサイドチェンジすることで相手の守備を中央から左右に広げ、攻撃陣の中央攻撃をサポートする。
カウンター戦術にしたことによって失点が減り、負けが減ったことで引き分けによる勝ち点アップにつながっている。また攻撃がシンプルなので選手のアイデアという他人任せで意思統一の難しくなる選択肢の多くなる方法をやめた。川又、アダイウトンのどちらかを生かす、スペースへの縦パスによってスピードを生かす、という具体的な選択肢を作ることができた。それをベースにしてボランチ、WBの押し上げるサポートによって攻撃の厚みを作る。
中央攻撃が有効なのは相手の守備が激しくなるほど相手のファールが多くなる。つまり中央ゴール前でFKを得られる。これによって中村のFKが得点しやすい位置で得ることができる。サイド攻撃の場合、FKもサイドに偏るため有効な選択肢となるコースが極端に少なくなる。
去年の名波は自分のコピー、レフティーパサーを集めたが結局守備の要のボランチが全く機能せず、中央を割られて負けるケースが多かった。サイド4人にした上に守備の弱いボランチを選択したためだ。去年の弱かった部分を着実に埋めてきた成果が最近出始めて来た。
現在のところ中位圏を維持できているので、1シーズン制の今年はこの状況を維持しつつ、下位に対する取りこぼしをなくすことが重要になる。上位を食えるような時もあるので、下位に対する戦い方をどうするかが問題となる。
下位のカウンター戦術に対する対策をどのようにしていくのかが問題になる。解決策としてはボールを大きく回すことになるかもしれない。つまり4231ワイドかつ、ワイド、SBにパサータイプを置くとこ。正確なサイドチェンジとサイドの縦のロングパスでピッチを広く使い、相手の守備を引き出す必要がある。守備の網がゆるくなれば1対1の個人の能力になる。3421、3412ではツートップ、ツーシャドーが左右に開いた形で、WBからの縦パスを受ける。開いた中央をトップ下、ボランチが入って中央攻撃する。もしくは、CBが開き、左右のCBから縦に移動したWBへの縦パス。四隅のスペースを使ってボールを広く回すことで引きこもった守備を広げることが必要になる。
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