名波監督は2017に3-4-2-1で6位を勝ち取ったわけだが、その前年は4-2-3-1と3-4-2-1の両方を使って4バックと3バックの両方を試していた
その上で3-4-2-1を採用して2017年は6位をマーク
2018年は3-4-2-1から3-1-5-1にした時にうまくいかなかった
3-5-1-1と表記される場合もあるが実際の状態は3-1-5-1が多い
4-2-3-1で問題なのは前後分断、ボランチ脇、CB脇でこれは中央をボックスで守る+SBの攻撃とのミスマッチからくるものだと考えられる
2CB+Wボランチのボックスによる守備はセンターを固く守るがサイドに対しての守備が弱くSBの裏を突破されるとCBの裏まで一気に突かれる為にサイド攻撃に対しての弱さがある
4バックはバランスの良さが一つあるが、3バック/5バックに比べると攻守に特徴がないのが特徴、どちらも4人が上手に動く必要があり4人で機能するのが4バックといったところ
3バックの場合はWB/SBが必要でこれは4バックと同じこと、3CBの脇が弱くなるため、しかし3CBと人数がいるので1枚がサイドに出ても2枚が中央を守ることができるので2CBよりはサイドの突破に対しても少しは耐性がある、3枚いることで中央をシャットアウトできることと、3枚でとれる幅が2枚より広いのでより早くサイドへの対応をしやすい
3バックの方がWB/SBが攻撃に出やすく、CBの1枚プラスでサイドへの対応がしやすい、という部分があるので4バックより攻撃的な3バック/5バックを選択したかもしれない
守備面では5バックになれるので幅に対する対処ができ4枚のスライドによる疲弊も少なく長期のリーグ戦においては毎試合の体力の温存は結構大事、ここは戦略的な部分
3-4-2-1ではWBがすぐ前にいるので5バック形成が用意である
そこから考えると3-1-5-1へのシフトは余りにも大胆過ぎたのかもしれない
まず3バックであることは問題ないが、3バック/5バックシステムではない点、WBが3CBの脇を守らず前に置かれているので5バックへのシフトができない、縦のギャップがあるのでそこを突かれるのは4-2-3-1と同じことになる、つまり3バックの前の1ボランチの脇を守れていない
これは以前3-1-4-2でチョン・ウヨンがワンボランチをした時があったが、その時もウヨンが3バックの前のスペースを埋めることはできなかった
名波監督は1ボランチに宮崎を起用したが、これは宮崎のポジショニングの良さを生かした配置ということだった、しかし実際にはドリブルで突っ込んでくる相手に対してこれを止められなかった
名波監督としてはボールを握った状態を基本として考えていたと思う、だからロストした後に前線にボールが入るタイミングで宮崎が先に読んでスペースを潰しておくことを期待したのだと思う、あとは1列前の2CHの上原と田口をバランサーと呼んで釣瓶の動きをさせたいようだった、これは1人が攻撃に出た時にもう一人は下がって後ろの枚数を減らさないようにしたかったのかもしれない、これは宮崎の1ボランチだけでなく、Wボランチの形を作りたかったのかもしれない
3-5-1-1で使われたのは2018年7月18日の対鹿島戦で3-3の打ち合いで引き分け、鹿島は4-4-1-1の守備から速攻へとつなげる布陣
攻撃力は高いが守備面での問題点がみえる、4-4ブロックに対して両サイドの幅を使えるのでサイドチェンジが有効かつ2トップが縦に並んでいるのでサイドからのアーリークロスは有効だろう
2018年の陣形をみると複数の陣形を使用して模索している感じがある、何か打開策を探していたのだと思うが3-5-2に落ち着いた感じもあるがそこでもうまくいっていない
5つのフォーメーションをしようしているが半分は3-4-2-1、しかし失点が上回る
https://www.football-lab.jp/iwat/formation/?year=2018
このサイトのデータ的には3-1-5-1や3-5-1-1での記載はない
得点数、失点数から考えると3-3-2-2表記がそうだとすると、1勝3分け得点7失点6ということになる、この数字自体は悪くない
表記的には2トップ、2OH、CH、WB、CB、LSB、RSBの3-3-2-2なのだと思う
______川又______
______松浦______
___上原____田口___
小川____宮崎____桜内
__新里__大井__高橋__
この3-1-5-1、3-5-1-1は夏のタイミングだったがその後に大量失点の試合が何試合かあった
2月25日 川崎戦 0-3(開幕戦)
7月18日 鹿島戦 3-3
8月15日 浦和戦 0-4
9月1日 名古屋戦 1-6
10月7日 清水戦 1-5
多分、名波監督としては攻撃力を上げたかったが守備とのバランスが上手く取れず打開策には向かないと思ったのかもしれない
しかしフォーメーションはどの選手を置くかや運用の仕方で全く異なるもの、もう少し時間とアイデアがあれば変わっていたのではないかとも感じる
開幕戦の3失点から前半戦は守備とのバランスを取っていたが戦績はほどほど、そこでより攻撃力の高いスタイルを目指しての3-1-5-1、3-5-1-1導入だったのではないかと思うわけだが、その後バランスを失ってコントロールできない状態になって言った感じがある
2017年の6位を取れたのは3-4-2-1でもカウンター主体にした戦術だった為、首脳陣としてはより攻撃的なスタイルで上位チームに対抗するという考えはあったはず
しかし初戦で川崎に3失点完封負け、どうしても守備的にならざるを得なかった
この年の最終順位を見ると、川崎1位、鹿島3位、ジュビロ16位となった
自分としてはこの名波監督がトライした3-1-5-1、3-5-1-1で鹿島に3-3引き分けという結果は悪くなかったと思う
宮崎の1ボランチや2CHの釣瓶などの部分をもう少しアレンジすればむしろもっと結果を出せたのではないかと思う
問題点なのはやはりWBを高い位置に置きたいという部分に対して3CBとの縦のギャップが埋まらない問題
名波監督としては「中締め」という中盤中央を制圧する守備をメインに考えていた為に中央に2CHと1ボランチの3枚を置いて縦の2トップでシャドーを頂点にしたダイヤモンドを中央に作ることで中央を固めつつ攻撃的に行きたかったのだと思う
多分これは間違っていないと思う
ちなみに当時のメンバーは
______川又______
______松浦______
小川_上原_宮崎_田口_桜内
__新里__大井__高橋__
______カミ______
という構成
両サイドに突破とクロスが得意な選手、トップは裏狙い、単騎で突っ込める川又、シャドーにPA内で強い松浦、攻撃陣はそこそこ機能しやすいと思う
新里も良いDFだし高橋もロングフィードの上手さもあり後ろからの組み立て、攻撃では機能していた、大井もロングフィードが上手いしセットプレーでは強かった
やはり3センターの問題は出てきてしまう
3センターの問題は中央だけを守備すればよいわけではない
WBの両サイドが攻撃に出た時に3CBの左右がサイドを見る場合、どうしても縦のギャップができるので対応しにくくなる
WBとCBとの距離が離れるほどそのスペースが使われてしまう
これは4-2-3-1ではSHとSBの関係と同じ
だからCBの脇をボランチ、CHがケアする形を取るのが無難
これはポゼッション時のパスでも同じでWBが高い位置を取る時CBから長い距離を作りすぎるとインターセプトされやすくなる、そこでボランチ、CHが中間に入ってつなぐことで縦のギャップを埋める作用をする
守備する時は横方向に並ぶ形でグラウンダーのパスを防ぎやすいが攻撃時は横から縦に可変するのでその縦のギャップを埋める必要がある
3CBを幅を守る為に広げて中盤が中を守る形を取った場合、サイドからの崩しに対して結構弱い
WBの裏にスペースが多くCBが出てくるとCBの枚数が少なくなり中央で守れなくなる
これは3-4-2-1でも同じでこの年のジュビロはこのCBがサイドに出ている守備を変えられずに失点が多くなった印象がある
なので問題点はやはりボランチの枚数や位置取りになる
Wボランチでは中央だけしか守れずサイド突破に弱い、3CBの前に3枚並ぶ必要があるしサイドへの対応はより前側から行っていくのが良く、WB、ボランチ、CBの順で対応するべき
つまりは左右とセンターに対して3人ずつを並べて縦のギャップを作らないことが大事
守備の基本は密度であって、密度が薄い=スペースがある=スペースを突かれるということ
なので基本は3枚横並び+前の3枚の左右が下がることで5枚を作る、というのを基本にすると中央に3枚並びで厚い守備を作ることができ、左右には前から斜め後ろに下がることで中央から外に誘導して中を守る形を作る
ボランチに走れない選手が多いもの問題点、状況判断して早めに動くという方法論はあるがそれはサイドチェンジをさせない戦術と一緒でないと意味がない、ボールサイドに即チャレンジし、その後ろの選手がカバーする体制を維持しないとチャレンジに行かない=制度のあるボールを自由に蹴られる=サイドチェンジ、アーリークロスが簡単に通ってしまう、ということにつながる
なので特に左右に並ぶ選手はできる限り走れる選手を並べる必要がある
______FW______
__WB__OH__WB__
__DH__CH__DH__
__CB__CB__CB__
この場合、2枚のDHは走れる選手の方が良い
かなり守備的な構成ならSBタイプとDHタイプの混成
______FW______
__WB__OH__WB__
__SB__DH__SB__
__CB__CB__CB__
SBを偽SB=ボランチ化してWBの背後の守備をする
WBが幅を取って攻撃する場合、インナーラップで前線に攻撃に出ることもできる
中盤はスペースができやすいのでポジションチェンジもしやすい、それを利用して中と外の入れ替え、前後の入れ替え、サイドの入れ替えなどのローテーションができると戦術的な幅で広がる
WBとSBがアウトサイドとインサイドに配置し、互いに入れ替わることでマークを外してボールを受けるなどということもできる
松本のようなポリバレントな選手はこうした動きができるので重宝する
単純にフォーメーションにおけるポジションの入れ替えが機能する、ということではなく、流動的なポジションチェンジにおいて機能するという部分が重要
ボランチが左右に開いてサイドでプレーできるというのは結構大事でCBを中央で機能させることができる上にWBの背後を守ることができる、そして何よりパスの出しどころ、安全な受けどころとして機能するという点、WBがSH的な立ち位置、ボランチがSB的立ち位置になることで攻撃の基点として機能する、単純に中央にいるだけのアンカー的な役割ならむしろCBに任せる方が良く、パスの出し手受け手として機能するならサイドに出て相手のプレッシャーの薄い場所で正確なボールを蹴った方が機能する
ジュビロはボランチにプレースキッカーの部分とアンカーの部分とを混ぜて認識しているが実際のタスク的にはそれらを切り分けて機能させるような感じが余り見られない、結局地蔵パサーが量産されてしまいサイドのスペースから正確なボールを供給するということがなくむしろ攻撃が機能しなくなる、強度の無いパサーを中央に置くことで攻撃も守備も停滞してきたのでもうちょっとその辺りの考え方を改善した方が良い
レジスタとして考えているのだとしたらWボランチでは機能せず3枚編成でないと守備が薄くなりすぎる上に中盤の制圧力はそれほど高くならない
3-3-2-2表記、WBが低い位置で守備する3バック/5バックの形式、ロングカウンター向き
両WBを攻撃参加させてしまうと守備が厳しくなる
______FW______
______OH______
____CH__CH____
WB____DH____WB
__CB__CB__CB__
名波監督が攻撃時に想定していたと思われる状態、両WBを上げて幅を生かしたサイド攻撃、CHのうち1枚が上がって3-2-4-1を作る状態も
______FW______
WB____OH____WB
____CH__CH____
______DH______
__CB__CB__CB__
名波監督がやったわけではないが、守備面も考慮した場合の仮想の想定
3-5-2/3-5-1-1、WBを攻撃的にして3ボランチが縦横のギャップをカバーする
中盤でレーンを埋めて反撃するショートカウンター向き、中央で受けた場合はWBの中締め、OHのプレスバックで中盤の囲みこみ、ゾーンプレスで奪う
______FW______
______OH______
WB__________WB
__DH__DH__DH__
__CB__CB__CB__
名波監督は3-3-2-2の形からWBを上げてCHの片方の下げでバランスを取ろうと思っていたようだが予想以上に守備が機能しなかった
両WBを上げる代わりにセンターをしっかり下げた3-5-1-1の形が攻撃と守備のバランスが取れているのではないかと思う
______FW______
___OH____WB___
WB____DH______
__DH______DH__
__CB__CB__CB__
ボールサイドにOHと逆WBをシフトさせた3-4-2-1状態、2トップから3トップにすることでニアのハーフレーンとファーのハーフレーンを抑えて決定力を上げる、中央のDHが攻撃参加することで中央ミドルも狙う
______FW______
______OH______
WB____WB______
___DH_________
DH____DH______
__CB__CB__CB__
ワンサイドカットしてからのN-BOX形成、3-5-1-1からワンサイドに追い込んでから逆サイドを放棄して中盤をN-BOXにして厚みを生かして奪い取るゾーンプレス
3-5-1-1は縦陣形と横陣形のハイブリッドなのでどちらの要素も入っている、縦陣形は中央攻撃の速攻向き、横陣形は守備面の安定性と幅を使った攻撃、しかし1ラインしか作れないのでラインを越えられると弱くなってしまう、その為にラインを越えられないように前からチャレンジしていく機動性と運動量が必要になる、縦横に区切られるので相手の戦力は分断されるので嵌ればかなり効果があるはず、網のかけ方、罠のはめ方をしっかりすれば堅い守備力と高い攻撃力の両方を生かせる可能性はある
中盤に人数をかけているのでサイドへのカバーが広く取れることと厚みのある状態とを切り替えられる点が強み
初期状態はパーとグーの状態でサイドに追い込んだ時だけグーを出す、というスタイル
初期状態のままではやや弱さがあるので適切な可変によって強みを出すことが重要
しかし選手の質が良ければ初期状態でもしっかり結果は出せるはず
可変した方がよりオプションが増えて相手への対応の幅が増えるので攻撃の幅、深さがでてくる、いわゆる「厚い」攻撃が可能になる
WBを高い位置に置くのはWB得意のサイドの深い位置まで攻撃する遅攻を生かせるため、WBの初期位置が高いので、そこからトップへのアーリークロスを狙うのが1.5次攻撃としてあるが、そこからトップ下、OHのミドルの2次攻撃、ハーフレーン侵入のつなぎからWBがオーバーラップしてコーナーへの侵入となるとハーフのOHがサイドの崩しをつなぐいつものジュビロのサイド攻撃の形になる
しかしこれをやるにはWBとCB間を埋める必要があり、それはセンターを固める形を取ると無理なのでセンター3枚をラインに配置することで幅をカバーしてWBとCB間の縦と横のギャップを埋める
DHがWBCB間を埋めることでポゼッション時におけるボールのつなぎ、逃がしも上手くいくし、守備時のWBの背後、CBの脇、の両方を埋めることができる
多分名波監督は結構いいところまで模索していたのだと思う、ただそれが出るまでに至らなかったのと、「攻撃のジュビロ」という呪縛もあったのだと思う、本当にもう少し時間があればどうにかなったかもしれない
横内監督は4-2-3-1でどうにか昇格を決めたが、やはりフォーメーションとしての弱点に関して埋め切れていないのとSBの負荷が大きすぎて2024でのSBがどうなるかも少し不明な部分がやはり厳しい点ではある、名波監督は4-2-3-1も3-4-2-1も使って3-4-2-1にしたのでそれは結果としてジュビロはそちらが向いていたということではある
やりたいサッカーと勝てるサッカーは違う、強いジュビロ復活には勝てるサッカーをベースにしつつ、やりたい部分を追加できるかどうかだろう、やりたいサッカーが強いとは限らない、何故ならトレンドは常に変化する、だからやりたいことをやった結果が2022のJ1最多失点でJ2降格という結果だったことを忘れてはならない
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