前節広島戦は3421のミラーマッチであったわけだが、相手ボランチの青山を自由にしてパトリックへのコースを全く防ぐことが出来なかった。
次節仙台も3421でミラーになるわけだが、名波は前節の負けを嫌って4231にするようだ。
しかし、4231で3421に有利になるか?というと逆に不利になる可能性が高い。
3421ミラーの場合、中央ラインはマッチアップ、サイドはお互いにフリーになるのでサイドが陽動したりサイドからの放り込みができやすい状態にあった。
3421に対して4231だとほとんどマッチアップ状態になり、フリーなのは3421側だと左右CBとボランチ、4231だと両SB+CB。ここで重要なのはお互いに1トップに対して2CBをつけるとすると、3421側では3バックなので左右どちらかのCBのみフリー+ボランチ。4231だと両CBがつくのでSBのみフリー。3421側は司令塔のボランチがフリーとなるが4231側はSBのみがフリーとなってしまう。SBはそもそもマッチアップしにくいポジションで脅威とはならない。一方でボランチは最重要ポジションであり、そこがフリーになるのは非常に危険なことになる。
名波としては3421に対して4231で1対1のマッチアップを増やして前からディフェンスをして両WBを後方に押し込めておきたいということなのだと思う。例えこの戦術が上手くいったとして、そもそも3421で重要なのは中央であってサイドではない。むしろWBがサイド後方に押し込められるのは守備的には何の問題にもならない。むしろWBが突出して前に出た時の3バックの両サイドのスペースのケアが無くなるために守備に大きな穴が開くことの方が危険なのである。そしてマッチアップからはずれたボランチが自由になるため中央でボールを運びやすくなる。4231だとサイドに4人がいるので中央では2人足りなくなる。相手は2人多い状態でさらにボランチがフリーとなり中央攻撃が有利になる。4バックでは2CBで中央が薄い。
もし4231の2列目が中央に絞ってWボランチに3人で潰しに行くと両WBが上がることになる。しかしボールの出し手であるボランチを抑える上にフリーのSBが対応するので穴はなくなる。しかし2列目がWBを押し込めようとワイドにポジションを取るなら、ボランチがフリーになり中央でシャドーやトップへとスルーパスを入れやすくなる。ここをどのように防ぐのか。トップ下1人でWボランチの両方を見ることはできない。守備時に0トップにしてトップが一つ下がってWボランチにマッチアップする形を作らないとボールを自由に回されてしまう。
相手のフリーのボランチは4231の弱点のWボランチの脇を突いてくることになる。相手の2シャドーに対してのスルーパスを中央で入れてしまうと1トップへもつながってしまう。2CBとなる4バックだと中央突破が弱点。4231だと2列目のSHの位置取りが悪いと簡単に崩されてしまう。ワイドに開くとトップ下は孤立する。ワイドに開かずに3センターの形で中央を制圧した方が良い。相手WボランチとWBに対して絞ったSHとSBがマッチアップするので攻撃の構築を阻害できる。
前節広島戦のミラーはシャドーの守備が出来ていないためにボランチの青山が自由にパスを出せたことが大きい。そしてWボランチの守備力がなかったこと。対人への強さがなければ外国人選手の中央へのドリブルを止めることはできない。去年の宮崎、上田をボランチにした時に何度も見た光景だ。その為にムサエフを取ったわけだし、藤田、櫻内のように対人に強いタイプをボランチに置くのは絶対条件であってそれができなかった前節の起用に問題があった。それを布陣の偏向でどうにかしようというのは無理な話だ。少なくとも4231では3421の中央攻撃を止める所かサイドに分かれすぎで守備できない。
4231で守備するなら、3CBか4CBの形で左右の守備を少なくすること。SHがWBに対してマッチアップし、中央攻撃に対してはSBが中央に絞ってサポートする必要がある。もしくはSHが絞ってWボランチを抑えつつSBがWBとマッチアップする。
攻撃に関してはSBとSHを使ったロングパス、サイドチェンジを多用して相手の中央守備を左右に引き裂く必要がある。SBはSHをオーバーラップするより、SHとトップ下、ボランチとの間にカットインした方が効果的。オーバーラップを使うならSHが中に絞って相手の守備を中央に押し付けないと意味がない。安全なサイドでクロスを上げるためにSHが絞ってSBがオーバーラップからクロスとなるが、相手の守備は中央に固まっているのでむしろ中で弾かれることになる。
SHが十分にワイドに開いて守備をサイドに引き出しておくなら、割れたインサイドにSBがカットインして入ることで中央のトップ、トップ下、ボランチへのショートパスを入れることで守備の縦のギャップを使うこともできるし、サイドに引きはがしているので薄い守備になりこちらの中央攻撃が有利になる。
攻撃時は相手の守備をできる限りサイドいっぱいまで引き出して守備を薄くすることが重要になる。守備ラインを長くすることで守備の間隔を広げることで縦のパスが通りやすくなるからだ。サイドからのクロスはSHが外に開いてSBがカットインしてインサイドに守備を引き付けた時にSHから中央に上げるのが良い。4の字パスでまずSBのカットインで縦に、そこから斜め後ろのSHに渡り、SHから中央へとクロスが上がる。4の字パスは相手を動かしつつこちらの攻撃を通す為に必須。
4231の両SHを絞ってWボランチに対して3人で抑えると相手は両WBを上げて余ったCBからボールをWBにいれようとする。このパスの精度と長さを考えると、余ったボランチの方が脅威であり、CBからのWBへのロングボールはむしろ低強度となり、SBがマッチアップしつつ、SHやボランチが長いパスをインターセプトする方がカウンターの起点になるので良い。
守備で重要なのは最短かつゴールを広く狙える中央をまず防ぐことであり、サイドはあくまで陽動である。中央攻撃こそが重要。ファールをもらえばゴール正面でのFK、PKをもらえるが、サイド攻撃ではゴールが狭くなる角度でしかFKはもらえない。同じように3421に対してはどれだけ中央攻撃を防いでサイド攻撃させつつカウンターするかが重要になる。WB1枚のサイド攻撃は諸刃の剣だからだ。その為にはSHを張ってWBを押し付けるより、ボランチを潰しつつWBを上げさせて弱点をさらけ出させる。その上でWBをSBで潰して弱点の3バックのサイドをカウンターで狙うべきだ。名波にはこの視点があるのかどうか。単純に前節広島戦のミラーマッチでの中央での負けに対して押し込んで守るというポゼッション的な考えで4231を選んだなら両SHをサイドに張ってWBをくぎ付けにしてサイド攻撃するが全く決まらない。中村のFKの回数が増えるだけという戦術を取るだろう。今までの名波の判断からするとこのパターンになる可能性が高く連敗の可能性が高い。
名波は麻薬のように危険だ。既に首にできないだろう。だからこそ磐田が上位定着するためには名波の経験や判断の無さを修正する為に優秀なコーチスタッフ陣が必要になる。しかしながら最終決定者が名波である為にどれだけ良いお膳立てをしても名波の好みですべてが崩される可能性が非常に高い。名波ほど磐田を危険にさらす者はいない。現に去年のセカンドは2勝のみで降格してもおかしくなかった。その采配の酷さをフロントがムサエフを移籍させたことでようやく穴をふさいだくらいだ。名波が自分の能力の無さを自覚して自分から退陣することを認めなければいつまでもこの綱渡りを続けることになる。もっとまともな監督なら磐田はすぐに上位定着する。監督が名波である為にそれが非常に苦しいのだ。名波のこだわりが磐田の足枷になっていることを名波は全く自覚していない。
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