掲示板では縦パス(スルーパス)は肯定するのにハイボール、ロングボールを否定しがちな人の意見が見られるが、これってやっていることはほぼ同じで、ただ状況が違うだけの話し、ということなんだが、そういう理解はなさそうな感じがする
今のジュビロは60分くらいまではハイボール、ロングボール狙い、60分以降は縦パスを混ぜた攻撃、を使う
理由は複合的だが
1.現在のサッカーの守備のスタイル
2.ハイラインプレスと体力
これら相手の状況が見えれば使い分けの意味が分かる
まず、現在のサッカーの守備スタイルは使い分けになるがブロック守備とマンツーマンがある、ブロック守備の場合、ハイラインプレスを含むゾーン制圧型のブロックを敷くパターン、フィールドを自陣、中盤、敵陣の3分割してゾーン1,2,3とするエリア認識の状態で1つのゾーンに10人が入ることで横幅をカバーしつつ最終ラインから前線までを短い範囲に収め、スペース消し=コース消しと密集守備による距離感の近さ=プレス速度を活かした守備がある
このゾーン制圧型ブロック守備に対してはポゼッションで崩す、という方法は一番の悪手になる、そもそも密集していてコースがなく、かつ密集しているから相手との距離が近くプレス速度が異常に速くワンタッチでも間に合わなくなり、ミスする確率が非常に高い、相手はそれを狙って高い位置で奪ってゴールを狙うのがショートカウンターの戦術になっている
このゾーン制圧型ブロック守備に対してジュビロはまず両WGやCFに対してロングボールを蹴ることでまず最終ラインを押し戻す、上手くすれば背後のスペースを突けるので1v1という絶好のチャンスを演出できる、いわゆる擬似カウンターという戦術を使っている
これに対して相手は守備ラインを下げて対応すると、中盤に大きなスペースが生まれやすい、こうなるとブロック守備は意味が無くなるオープン展開になる
オープン展開だと最終ラインから前線へのフィード、相手守備ラインの跳ね返しとセカンド回収、という状況が生まれやすい、ボランチに守備強度のある選手や走れるスタミナのある選手が必要なのはこの状況でセカンド回収してポゼッションを維持できる選手になる
また、60分以降の状況になると相手もハイラインプレスではなく守備ラインが下がった位置になりがちなのでオープン展開の状況になりやすい、この状況だと中盤にスペースがあるので上原や中村のような強度は劣るが正確なボールを刺せる選手が活きてくる
60分までは相手も体力があるので守備がそうそう崩れないので互いに体力の削り合いになる、その為のハイボール、ロングボールで背後に入れて背走させるというのはゲーム全体での戦術としても実用的
60分以前のゾーン制圧型ブロック守備の相手に対して見境なく縦パスを刺そうとするのは無謀であり、そういう場面のほとんどは相手にインターセプトされてカウンター起点になっている
前線にボールを入れるのは同じなのだが、「状況によりより有利な手法を選択する」ということが出来ているので、それを理解できないとスタイルが滅茶苦茶だ、と言いたくなるだろうが、「より合理的な選択肢」を選択できている、というサッカーIQの高い攻撃戦術をこなせている良いチームである、という認識を持ってほしい
相手の守備のもう一つ、マンマークに対する攻撃手法としては、ロングボール、ハイボールで守備ラインを下げながら、CFの偽9番を使った中盤スペースでのポスト、という組み立てができない、マンマークなのでCFの下がりにもついてくるのでポストするタイミングでも潰されやすい
しかしこれに対してもジュビロは偽9番についてくる相手CBを中盤スペースに釣り出しておいて両WGがダイアゴナルに中央へと侵入するCBとSBの縦ギャップを利用して中央を攻撃するスタイルもこなしている
通常はCFがステイして2CBをピンしつつ、WGがSBを前に釣り出して後ろの2CBと前のSBの縦ギャップをWGが突く「縦ギャップサイド攻撃」を使うが、CFの偽9番にCBが釣り出された時は「縦ギャップ中央攻撃」をすることでCBとSB間のスペースが広くなるのでそこにWGやトップ下が入っていくスタイルができている
サッカーはスタイルが重要なのではなく、柔軟な選択肢を持って相手の予測を裏切ることで先手を取る、というのが大事になる
ジュビロはボールポゼッションに対して守備の重要性をやっと理解したし、それによりポゼッション率が上がっている状況で攻撃もできて複数得点を得ることが出来ている、非常に強い時のジュビロのスタイルに近い
この状態を維持し常に相手の状況を判断しつつ最良の選択肢を出していくことが出来れば千葉に追いつける可能性はある
今のスタイルを維持できるような補強ができるかどうかも大事な部分だと思う、特にボランチが金子、CBが江崎の荷が重すぎる気がするので今はまだいいが、シーズン中に負傷や不調になる場面は必ずやってくる、その時にこられの選手と同等のタスクをこなせる選手がいるかいないかは大きな違いになる
夏の補強で守備面の穴が無くなるようになってくれると良いと思う
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