サッカーは完全性が低いので完璧なフォーメーションは存在しない
しかしながらサッカーの競技性やルールによってより安定したフォーメーションは存在する可能性は高い
まずフィールドの大きさと形から考えると2つの考え方がある
1つは全体を使う動的なサッカーをする場合
この場合はよりオープンな展開になるので初期配置=ポジションの分散度、再配置の速度などが必要な項目になる
もう一つはゾーンやレーンに区切られた静的なサッカーをする場合
現代サッカー寄りで全体を使わずにより狭い範囲に限定して選択肢を減らしたうえでコントロールをしようとするもの
この場合は強度、密集度、連携度が重要になる
フォーメーションは動的か静的かに限定する場合と限定せずに可変する場合がある
動的なフォーメーションの場合、初期配置が重要になるので縦列配置や中央、サイドの分散度が重要になる、基本的には縦にボールを繋ぎ、横に動く
静的なフォーメーションの場合、横列で各レーンへの配置やゾーンの制圧をする
ボールを横に繋ぎ、前後に移動する
可変型の場合はどの位置でボールを横に繋ぐか、縦に繋ぐかで縦列と横列の配置が異なってくる
3バック4バックの違いなどはアウトサイドの枚数をどう配置するかによって異なるのと、同じ4バックでもアウトサイド2枚か1枚かの配置の違いがある、3バックではアウトサイド1枚だが可変による入れ替わり、ローテーションなどで枚数は変わらないがポジションを入れ替えるなどの工夫があったり、3-4-3系のサイド1枚3枚可変などもある
動きの素早いJリーグでは静的なフォーメーションから動的なフォーメーションになりつつあり、動的=縦列をメインにしながらも横列への可変を含むものが採用される
3-4-2-1、ミシャ式はそのスタイルで4列構成でアウトサイドはWB1枚を置いて幅を取りながら横の広さを使った展開力を持ちつつ、中央レーンにしっかり人数を置いた縦列型なので守備も堅く安定している
押し込んだ攻撃ではWBが上がって5トップ気味の超攻撃型にもなり、引いては5バックの超守備的なスタイルにも可変する
3-4-2-1と言っても2-1の部分は2シャドー1トップなので3トップ気味の攻撃にもなるし、守備では2シャドーWボランチのボックスで中央をしっかり守る堅い守備を維持することもできる
攻守に安定し、かつ超攻撃型、超守備型に可変できる戦術の幅の広さがある
サッカーの歴史をみるとやはり3-4-3系をベースにするのが強いのではないのかと感じる
最初はWMフォーメーションで3-4-3ボックス型
ボランチの語源となったボランテはこのWMフォーメーションの右ボランチに相当するが実際はやや斜めなのでダイヤモンドとも言える
3-4-3ダイヤモンドだと3バックの前にアンカーもしくはワンボランチがいることでスイーパー4バックと同じ形式になる
3トップ、ダイヤモンド、3バックでサイドがWBのみの1枚、WGとCBを含めた3枚の可変ともいえるので、サイドの枚数でも優位を作ることが出来たり、中央ラインが4枚なのでサイドチェンジをさせないワンサイドカットの守備形式を使うことができ戦力差を作りやすい
3-4-3ダイヤモンドを3-6-1の形にすると
WGをインサイドの2列目に下げて中央に逆三角+1の形を作りアウトサイドにWBを配置した形を作ることが出来る
3-4-2-1の3-6-1との違いはボックス系ではなくトライアングル系で可変しやすいという部分
2シャドー、センター、WB、アンカー/ワンボランチ という構成になる
___IH____IH___
______CH______
_WB___DH___WB_
WMや3-4-3ダイヤモンド、3-4-2-1の特徴は中盤中央の多層化にある
そしてN-BOXも同じ
中盤中央の多層化が何故強さを生むのか、というのは
「差し込み」ができるから
サッカーは当たり前だがボールホルダーと受け手、レシーバーがいる
4-4-2の3ラインに対して3-5-2(3-1-4-2)が対抗策になったのは2トップに対して4バックの2CBによる1v1を止めて3バックにして1枚を余らせ、その1枚を中盤に押し上げることで枚数有利を手に入れた為だ
同時に3ラインに対して1ボランチが差し込まれることで4ライン構成になりボールの出し手と受け手の中間に1枚を差し込むことができ、この1枚でカバーシャドーだけでなく前のラインのカバーができ、それによって後ろの受け手を引き受けているDFが前のラインのカバーに釣り出される必要がないことが重要になる
中盤の多層化はN-BOXも顕著で、2シャドー、CH、Wボランチの3層化がされていることで中央の1枚が差し込みの位置を取ることが出来る、また前後に動けば2枚の中間を埋めることで2枚が左右に展開できる
このCHの位置取りの妙は非常に重要、全体が見えている、中央のスペースを埋めている、移動することで人数差を作ったりスペースを埋めて味方の展開を補助する、ということができる
また中央にいることで全体を見回してバランスを取ることができ、また中央で1枚浮いていることで余剰戦力の展開が素早くできる
ここが重要になる、左右対称に分割して配置してしまうとポジションが硬直してしまうことと、左右に配置されることでワンサイドカットされた時に逆サイドの戦力は死んでしまう
これに対して中央に密集を作り余剰戦力を中央に置くことで中締めの常時守備を維持しつつ、ボールサイドに余剰戦力を動かすことで戦力の欲しい場所にデリバリーができる
3-4-3系の戦力の均等分散による広い展開を維持しながら中央からフリーマンとしてバランスを取りつつも詰めるタイミングでは動く、という戦略戦術級の動きが可能になる
Wボランチだとスペースは埋まるが逆に低い位置に戦力を置き過ぎてしまうことになる
ワンボランチ/アンカーの前にセンターを置き、その前に2シャドーを置くことで1トップ+2シャドーの中央攻撃の集中が可能であること
逆トライアングルからシャドーのサイド展開+WBをダイアゴナル侵入によるトライアングルをひっくり返し相手サイドの裏を突く攻撃ができる
基本形
______FW______
___IH____IH___
______CH______
_WB___DH___WB_
__CB__CB__CB__
縦型陣形で中央で相手を左右分断、ワンサイドカットしてサイドチェンジさせない、ボールサイドを限定することで相手戦力を減らし、サイドで3v2を作る
WB ⇨ シャドー ⇨ FW の大きなトライアングル=攻撃ライン
シャドーのサイド展開+WBのダイアゴナル侵入
______FW______
_IH__WB__IH___
______CH______
______DH___WB_
__CB__CB__CB__
相手WB/SBを釣り出してCBとの縦のギャップを作りシャドーがサイド裏に侵入、強度のあるWBがダイアゴナルに中央に入ることで中央でミドル、高さ勝負、強度勝負で決定力を高める
シャドーが中の勝負で勝てない場合、サイド展開してWBが代わりに中で勝負する、シャドーは外に配置されサイドで動く
DH/CH ⇨ シャドー 大きな逆トライアングル
WB ⇨ FW の大きなトライアングルからの変化
ボールの出し所、受け所を 外 ⇨ 中 から 中 ⇨ 外 に変更する
3-4-2-1のボランチが縦に並ぶことでシャドーの位置を押し上げ中央を縦に支配する
シャドー、WB、ワンボランチ/アンカーで作るトライアングルの中央にCHが移動することでトライアングル+1の形を作る
シャドー+CHがWB+ワンボランチ/アンカーの中間に落ちてN-BOXをボールサイドに作る
もしくはWBが中を締めて中央にN-BOXを作成する
N-BOXを作りやすい陣形なので縦列でワンサイドカット⇨ボールサイドにN-BOX形成、でボール奪取からショートカウンターを狙いやすい
縦列なのでカウンター時にパスを縦に繋ぎやすい
相手の帰陣が早く遅攻になった場合もWBは低い位置からフリーでクロスを上げやすい
WBが低い位置をキープするのでカウンターに強くポゼッション時も左右展開がしやすい
ワンボランチ/アンカーとWBの3枚が3バックの前にいるので、3バック+WBの5バック、3バック+ワンボランチ/アンカーの4バックの使い分けがしやすい
中央に2シャドー+CH+ワンボランチ/アンカーの4枚がいるので中央を制圧しやすい
中央が3層なのでシャドー⇦CH⇦DHのようにカバーがしやすいので前からチャレンジにいける
2列目の2シャドー+CHの3枚のスタミナ、強度、戦術眼、テクニックなどが大事になる
守備は3バック、WB、ワンボランチ/アンカーの6枚で対応するが2列目3枚も詰めるとN-BOXが出来るのでかなり強力な守備を維持できる
WBとFWで大きなトライアングルを作り、縦のギャップをできるだけ作る
中央4枚が中央支配
攻撃は中央に集中することで決定力をアップ
CHやWBが4人目としてレイトで入って来てミドルを打ったり、シャドーが割れた時にCHがトップ下として中央に出てくるなど2列目~3列目の最後の一押しがあると更に決定力が高くなる
フィールド全体を広く使ったオープン攻撃、ワイドを使った両サイドからのブロード攻撃、縦陣形を活かした速攻、中央3トップによる集中攻撃、ワンサイドカットとN-BOXを使った強固な守備、3バック4バック5バック可変の柔軟な対応力、中央4枚中締めと多層化差し込みの厚い守り
中央の密集と中央サイドの分散配分のバランス
柔軟な可変力と対応力
安定した守備力
広い展開力と集中した攻撃力
これらを複合できるフォーメーションが強いものだと言える
ただし絶対はない
最強のフォーメーションは存在しないが柔軟かつ安定性のあるフォーメーションはより強いと言える
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