ここでは何度も取り上げているが、相手のトップの数+1をキープする可変守備のプランを実際に使って高い成果を上げているチームがある
アスルクラロ沼津
監督はゴンこと中山雅史、いわずとしれたジュビロ黄金期のレジェンド
今週水曜日に行われたYBCルヴァンカップ、ホーム柏戦
J1上位の柏レイソルは9人入れ替えていたようだがポゼッション66%、シュート10(枠9)という攻撃力
これに対してアスルクラロは失点1の0-1で敗戦
この試合で注目されたのが元鹿島ユースのCB篠崎選手
何故ならゴールエリアに下がって3点分を止めたからだ
アスルクラロは守備時に4-4-2で守備ブロックを作るが中盤4枚がセンター2枚、インサイド1枚ずつという構成で中央3レーンを4枚で塞ぎ中央の縦パスをシャットアウトするデザイン
これにより空いているアウトサイドのレーン経由から1トップにパスを入れるという攻撃を誘導している
しかしアスルクラロは「縦の2CB」であるリベロ+スイーパーシステムの4バックに可変する
通常は2CB+2SBの4枚がフラット気味に並び、中盤4枚の背後を2CB、アウトサイドをSBがそれぞれ担当する
レイソルは3-4-2-1の1トップで2CBが1トップを抑える仕組み
サイドのスペースから1トップへのボールはリベロが飛び出してパスカット、インターセプトしてカウンターに転じる
この基本形はフラットな4バック=並列4バックなのだが、2CBが縦関係、ストッパー役のリベロとスイーパー役の分担がなされているのでリベロが飛び出してインターセプトしてカウンターの基点になる「攻めの守備」と、守備のサブプランとしてスイーパーが残ること、もしくは下がる「受けの守備」の両方が実装されている
この基本「横の2CB」がスクランブル時には「縦の2CB」になることで「前からの守備」と「カバーの守備」の二重性を作ることで高い守備力を生んでいる
レイソル戦ではスイーパーである篠崎がゴールエリアに入ることでボールサイドに寄ったGKのいないスペースをカバーし、相手のシュートを3本防いでいる
この縦関係のCBは攻撃時でも同様で、スイーパー+2SBの3バックでボールを保持、リベロが0.5列上がって1ボランチ気味になることで中央のパスコースを作り相手のFWやボランチを引きつける役割をしている
リベロがいることで中盤センター2枚がWボランチではなく2センターとして高い位置を取って機能することが出来るのが強みでもある
4バックがあくまで守備を基本とするDF本来の機能を高く持っていることで守備における安定性がかなり高い
もちろん中盤が大きな規制をかけていることもチーム全体の守備デザインとして貢献している
ジュビロはデザインされた守備が皆無であり誘導や獲り所、カウンターの基点などがない
アスルクラロは守備のデザインは良かったが逆に攻撃面では相手が3-4-2-1で中央ボックスで堅いのにも関わらずカウンターで中央を狙い過ぎたことでロストを繰り返すという状況やマッチングを考慮しない状態だったので選手としては速攻の意識が強すぎて中央最短を狙い過ぎた感が否めない
中盤サイドを上手く利用して相手の中央ボックスを迂回した攻めが出来ていたらレイソルに肉薄していたと思う
せっかくスイーパー4バックが機能して守備力が高いので中盤の攻撃デザインが上手く回ればかなり強くなるチームだと思う
やはり戦術はチームのデザイン力が重要、「アイデア」という思い付きはその場限りで終わるが、強いチームほど「重層化されたデザイン」の強さを理解している
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