2024年7月23日火曜日

なぜ町田が首位なのか

なぜJ1昇格初年度の町田が首位にいられるのか

それは町田の戦術がJ1の主流戦術であるゾーン圧縮を回避出来る為

J1の主流戦術は4-3-3の3ラインを1ゾーン内に圧縮した高密度ブロックを形成し、そのブロックごと前進してプレスをかけることで後方から組み立てるポゼッションサッカーに対して高確率でビルドアップを潰すことができる

4-3-3(4-1-2-3)は前線の枚数が多く、かつ中盤3枚のトライアングルが中央にいて中央突破を許さない、両サイドは3ラインを1ゾーンに圧縮しているのでSBとWG間が近く中盤のIHもいるのでサイドのトライアングルが形成しやすくサイドでの競り合いにも強い

対ポゼッションとしてかなり練り込まれた戦術なので後方でボールを回すと3トップ+IHの5トップで数的優位、数的同数を作り5レーン制圧するのでそもそもショートパスのパスコースがなくなってしまう、苦し紛れにハイボールで逃げても4バック+アンカーが後ろに構えているのでオフサイドか先に回収され押し込まれた状態から抜け出せない

通常のポゼッションではこの状況を打破できない

町田は「ピッチ外」を利用することでこれを大きく回避できる

それが「スローイン」という戦術

ロングスローを使うことでオフサイドトラップを回避できる

スローインはピッチの外なのでマークが付かずフィールド内1人少ない数的不利にはなるが両サイドに広がる必要が無いのでむしろボールサイドに寄せて効率的に布陣できる

ボールサイドに寄せるという事は逆サイドにスペースが発生し、ゾーン圧縮の利点のゾーン内の5レーン全てを制圧するという戦術をその時点で打破できる

スローインは「ピッチ外」からボールを入れることで「オフサイドトラップ回避」だけでなく「ゾーン制圧」という主流戦術自体を回避する

ジュビロの場合は後方から繋ぐ、という従来型のポゼッションをやろうとしているので主流のゾーン圧縮、ゾーン制圧戦術に嵌りやすい

町田はスローイン戦術というピッチ外戦術を使うことでゾーン圧縮ゾーン制圧による包囲戦術をすり抜けている

ジュビロがやるべきなのはいくつかあるが、後ろから繋ぐという従来のポゼッションをやる事だけは止めた方が良いということは変わらない

町田の戦術を利用するなら西久保を使ったロングスローの導入、これだけで主流のゾーン圧縮ゾーン制圧を回避しやすくなる

さらにジャーメインをトップにした裏抜けロングボールや両サイドをWGにしてサイドの深い位置への放り込みからのクロスかカットインしてのシュート

トップスピードの速い選手をWGに置いてサイドの深い位置へのロングフィードを使うことで押し込んでいける

SBからの対角パスでWGを上げるという形で良いと思う

サイドの深い位置へのロングボールはサイドアウトになりやすいが、重要なのは敵陣内の深い位置でのサイドアウトを意図的に作る事、これは敵陣内=ゴールが近い、相手のスローイン=フィールド内は1人足りない、という味方に有利な状況を作ることが出来るのが大きい、この状況でスローイン地点を中心とした包囲を作ることでボールを奪ってシュートに行ける


戦術的な流れとしては、ポゼッションとカウンターという2つの主軸に対して中間であるトランジッションという概念が生まれたことで、ポゼッション、カウンター、トランジッションという3つになった、しかし町田の戦術は4つ目のピッチ外のセットプレー、として組み込んで来た

これからの戦術はポゼッション、カウンター、トランジッション、セットプレーという4つの軸で構成されると思う

セットプレーは、フリーキック、コーナーキック、がメインだったが、ここにスローインという大きな概念が入り込んで来たことが町田の戦術的な革命

ゾーン圧縮ゾーン制圧というカウンター戦術に対してセットプレー戦術でそれをひっくり返したというのが面白く素晴らしい

サッカーに置いて手を使うプレーは禁止なので注目されないが、逆にいうと手を使えるGKやスローインをどれだけ戦術的に組み込んでいけるか、という余白がまだまだあるということ


ジュビロはゾーン圧縮ゾーン制圧に対してはゾーン圧縮という前後の幅が短いことで縦パスが通れば一発で背後を突けるという意識があると思うが、それはゾーン制圧の部分で否定される、よってピッチ外のセットプレーとなるスローインや立体的な背後へのボールで回避するのが一番合理的なのである

これを無理矢理縦パスでペネトレーション、貫通させようとするとそのパスをインターセプトされて逆襲を食らう事になる

重要なのはゾーン圧縮ゾーン制圧しているという陣形をどう崩すかなので、スローインの状況を作りワンサイドに寄せて逆サイドを空けさせるなど陣形自体を崩させる

まずは主流戦術のメタからスタートして順位を上げなければ残留出来ない

とにかく戦術が分からない監督やコーチはいらないってこと

戦術には必ずトレンドがあり、それは前のトレンドを克服することで新しいトレンドとして確立される、なので勝ちたければまず今のトレンドがなぜそうなっているのかを考える事

今は弱くなったが川崎や横浜が強かった時の戦術はハーフレーンを使ったペネトレーションだった、つまりこのペネトレーションへの対抗策が今のゾーン圧縮ゾーン制圧ということ

だからジュビロが後ろでポゼッションしてペネトレーションで突破しようとするのは今の主流戦術の「餌」でしかないということ

まずはそこが理解できないと何やっても無駄

ロングボール蹴るな、とか言ってる時点で戦術ゼロ確定なので出来る限り早く辞任して頂きたい


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