2023年10月9日月曜日

清水戦の問題点

局面解説から

ジュビロのゴールキックの場面、三浦とCB2枚がPA内でビルドアップ選択の陣形からのリスタート

三浦は右の槙人に渡し、乾がプレッシャーをかける

槙人がロング-ボールを蹴るが守備ラインと競るジャーメインまで行かずにその手前の山田の付近に落ちる

清水のボランチとCBの2枚の高さでこれを跳ね返し

この時点で清水はボランチが縦並び+CBの飛び出しでボランチ1枚が山田とジュビロのWボランチの中間位置にいる

この中間位置のボランチがセカンドボールを拾い即サンタナにロブで繋げる

ジュビロは中間位置のボランチに1枚、サンタナに1枚が当たるが状況を見てから動いているので間に合わない

サンタナに当たったボランチが対面して遅らせる

ジュビロは4バックを揃える

清水はサンタナの前に1枚、左にタイミングをずらしてステイした乾

サンタナは縦選択するもリカルドが前に出て防ぐ

この時のジュビロのボランチ、2列目はスピード落としてみてるだけ

リカルドが跳ね返すがこぼれ球は乾のポジションの転がる

リカルドと槙人が縦関係で中央の選手を挟んでいたのでリカルドはそのまま流れて槙人と雄斗の中間に入ってコースを切る

雄斗も対応するがボール方向と背後にステイしていた乾とを同時に対応できず

乾はサンタナが切り替えした場面でステイして雄斗の背後に距離を置いてサンタナにボールをよこせと手を広げている

リカルドの読みは正確だった、その後の動きも間違っていない

ジャンプしたのも三浦の高さを考えればハイコースを切る意味で正解

雄斗がスライディングしているので下は雄斗、上はリカルドでどちらにしてもコースを塞ぐように動いている

それをかいくぐった乾のシュートが正確だった


局面の問題点はいくつも見られる

1.ビルドアップ選択とフィードの短さのミスマッチ

PA内に2CBが入りサンタナに対して誰もつけない状況を作ってしまった

必ず相手の「背後」を狙わないといけなかった

CBとボランチの作るボックス内に落としてしまった

2.2CBと2トップの対峙

2CBに対して清水が2トップを対峙させているので逃げる場所がない

ボランチが2CB間に落ちないといけないがWボランチは位置を変えていない

3.清水の高さに対してのミスマッチ

槙人のフィードが山田に入り、清水のボランチとCB2枚で付かれ山田は何もできず

4.ボランチのポジショニングと対応

状況を見てから鈍足で対応するので後手後手、1枚残ったボランチに頭の上を越され、サンタナにボールを収められる

5.ボランチ、2列目の鈍足とプレー放棄

サンタナに入った場面、ジュビロのボランチ1枚が下がってサンタナと対峙した時にもう1枚のボランチや2列目がプレスバックしきれていないので1対1で少しだけ時間を稼いでも意味がなかった

人数のいる中盤(鈍足)を無視する形でボールが動いたのでジュビロの中盤は完全無力化された

サンタナに入る前の時点でもっと早くプレスバックするべきで追い越して守備ラインに入っても良かった

6.乾への対策

「心配していない」どころか、全く対策されていなかった、ポジション的に雄斗が見なければならないがボール方向と逆の背後に乾は視界に入らないように消える位置を取るので距離感、対応は難しい

7.三浦の判断

リカルドがサンタナからの縦のボールを跳ね返して乾が拾う場面で空いている正面から左サイド狙いに対応しようと判断しリカルドの動きから次の対応へ移行できなかった、1秒程度の事なのでこれは仕方ないかもしれない



局面的にはほとんどの選手の判断が良くない、時間的に体力も落ちて判断力も落ちる場面だからかもしれないが悪い状況、悪い判断が全て重なっているような感じ

それに対して清水は乾のハイラインプレスで槙人のフィードを不正確にして距離を短くして背後へのボールでなく守備ラインより前のボールにした

落下地点の山田に対して高さの差のあるCBが飛び出して先に触った、ボランチとCB2枚で山田に触らせなかった

ボランチの並びが縦なので山田とWボランチの中間ポジションで繋ぐことが出来た

ジュビロがビルドアップ選択でCBがPA内、Wボランチがボール回収の為に高めの位置にいてバイタルのサンタナに対して大きなスペースを与えてしまった、これによりサンタナがフリーでポスト、前を向くことが出来た

サンタナは縦選択でパスを出したがリカルドが防いだ、しかしリカルドの位置で防いだボールは乾のいる方向に転がる

サンタナが前を向いた時点で既に乾はステイして雄斗の視界外に離れ姿を消していた

そこにボールが転がって来て乾が決めた

清水としては高さ、強さの持ち味が出せたので得点になった

一方でジュビロは何も考えてないくらいスッカスカで清水にやりたいようにやらせてしまった



局面以外の問題点

戦術面

清水の掲示板で言われていたことは2つ

1.乾

2.放り込み

この2つの使い分け

乾はトップ下だがフリーマンでありリンクマンでありフィニッシャーでもある、ビルドアップでは守備ラインの前まで下がって受けに行き、サイドを変えて渡しつつ、自分は逆サイドに消えて姿をくらます

こういう動きなのでそもそもゾーンディフェンスでは乾の対策はできない、なのでマンツーマンで乾対策をするのが一つの課題だったはずだ

1枚が乾に取られてしまうが、逆に考えると1枚捨てるだけで乾を機能させなければビルドとフィニッシュの両方を抑えられるなら安いものである

同時にブロックを組んだ選手が消える乾に対して余計な気を遣わなくて良くなる

1枚少なくなるのは清水も同じなので乾の機能を奪えばかなりの戦力を潰せることになる

もう一つは放り込み、これはサンタナのポストを使った戦術

これについてはボールの出所を抑えるかサンタナ対策に2枚当てるか

本来なら大型FWには大型CBや大型ボランチが1対1で抑える、というのを期待したいが小粒のジュビロではほぼいない、戦略面での問題性になるので後で

出所を抑えようとすると前線からのハイラインプレスが必要になるので体力が奪われる

逆にサンタナに2枚つける場合どこかで1枚足りなくなる

サンタナを抑えるのにCB2枚かCB1枚ボランチ1枚で挟むなどの対策が必要だったがゾーンディフェンスを崩すことなく特にマークも見られず

いつもより乾とサンタナを気にする、という感じくらいにしかみられず、それが対策となったのかは結果をみれば良くわかる



戦略面での問題点

大型FWに対する対抗策である大型CBをレンタルに出してしまったこと

義道がいなくなったので大型CBがいなくなり対人対空への対抗策が余りない

他のチームの大型FWにもふっとばされているのでこの問題点は結構根深い

「実戦型サッカー」=フィジカル重視になっているのが近年のサッカーであり、速さ、高さ、強さはそれだけで有利になる

ジュビロは汎用タイプ、量産型を揃える傾向にあり、突出した能力がない無難な選手を揃えがち

アクセントや対抗策になるような、速さ、高さ、強さを持った選手がサブにもいない

汎用型の選手はある程度計算できる強みがあるが質の差を見せることはできない

これに合わせて横内監督の性格的に「様子見と対応」という部分があるがドラスティックに変更するタイプの人ではないようなのでずっと後手番になる

「戦力の逐次投入」という一番やってはいけないことを普通にやる

これは様子見と対応の部分から来ている、いわば状況に合わせていくタイプでデザインして自分からコントロールするタイプではない

しかしながら対応できる範囲は非常に狭くフォーメーション固定で対応力がないので選手の入れ替えでしか対応できない

するとスタメン、サブの範囲でしか戦術的な違いを生み出すことが出来ない

非常に狭い範囲でしか対応できないので選手の自力が弱いと何もできずに終わってしまう

良い駒を揃えないと何もできない

補強禁止のチームだとこれは厳し過ぎる

ペナルティが無くなったとしても対応力や判断力的に深みがなく上位戦をほぼ対策なしで落としてしまっているのは事実



自分達のやってはいけない事が整理されていない、禁則事項がない

4-2-3-1の問題点、選手の特性上の問題点などから発生する弱点、ウィークポイントに対しての保護策がない

陣形的に中盤の人数は多いが迂回されると全く戦力にならない、高さがないので空中戦に弱く対抗手段がない、鈍足なので即対応できない

こうした部分を考慮した上でやったらまずい事がわかっていない

失点の局面で質の差、スペース配分、など不利な側面が強調されている=清水には有利に働くことが証明されている



悪い所が煮詰まったような失点だったが改善はされるのだろうか…

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