2022年3月13日日曜日

戦術の幅とFW

1トップの特徴は小川航基のようにCFとしてポジションを変えずに決定力でどうにかするか、ルキアンのように左右に移動して受けるか、健勇のように下がって受けるか、タイプがあるが、それがチーム戦術の幅とマッチするかどうかが問題点。

小川航基がいまいちマッチしなかったのは中盤から長いボールが入らない為。ショートパス繋いで中盤を押し上げるというのが最優先されてしまい相手の守備が薄いタイミングでボールを入れてもらえない。

ルキアンは左右に移動して受けることでCBのマークは外れている。京都戦の大津大森がサイドで受けていたがこの仕事はルキアンが以前はやっていた。

健勇は身長があるがスピードがないのでポスト役としての役割をするがやはり中盤の押し上げの方がメインになってFWが単騎で仕事するのは難しい。

何回かチャンスはあったがCBがついていて1対1でも少し不利な感じだった。


ガンバ戦を見ればわかるがやはり中盤のプレスに対しての弱さ。ボールをキープできない、奪えないという部分が出てしまった。逆にガンバは中盤で1対3で囲んで奪うなどハイプレスでとにかく奪う事重視。ジュビロはポゼッション出来る時間はあったが余り効果的な攻撃は出来ていなかった。むしろガンバのサイド突破からいつ失点するか秒読みという時間ばかり。

FWがマッチするかどうかはチームの戦術とのマッチもある。FW一人が合う合わないという議論ではない。

チーム戦術とFWがマッチするか、チーム戦術が一つではなく幅のある戦術を取れるかというであって、ルキアンはボールの出口とポストの両方が出来たので重宝した。

同じ流れでラッソを使おうとしたがフィットしなかった。

チームの戦術面としては中盤を押し上げる必要性の問題。

京都戦のように「押し切る=決定率をあげる」という戦術だと中盤のプッシュアップは必須。

しかし、引いて裏を狙ってスピードのあるFWが1対1で勝てるというチャンスを捨てている事にもつながる。

これを捨てるという選択肢はポゼッションを上げて最終ラインでボールを回す時間が無駄ということでもある。

最終ラインで回して相手の守備を引き出しても裏一発狙いのボールが出なければ相手は背後のスペースがあっても怖くないのでどんどんと前にプレスしてくる。

健勇の1トップは偽9番で下がるので実質0トップ。ジュビロが速攻の選択肢を排除しているので余計に相手は最終ラインに余らせる必要性がないのでSBやCBが押し上げてくる。

ジュビロはプレスに弱いのだからむしろ1トップにスピードタイプを置いて常に背後狙いの牽制をしなければならず、それが機能しないと相手は背後のスペースを空けてもハイラインハイプレスにくる。ジュビロはそれに対してバイタルのサイドを出口に考えているが、最終ラインに余らせる必要のない相手はSBやRBLBを上げるのでバイタルのサイドが防がれやすくなる。結果ボールの出口が塞がれてしまい中盤のプッシュアップのタイミングを逸してしまう。

だから1トップにジャーメインやラッソなどを置いた方が良いということであって、健勇が得点できないからというだけではない。チーム戦術的に厚い攻撃をしたいのはわかるが、ジュビロは攻撃型チームで守備が弱い。守備が弱いのでプレスに弱い。それを防ぐには相手の最終ラインだけを押し下げたい。できれば中盤との距離を空けたい=バイタルを広げたい=バイタルサイドの出口を広く使える。ということでもある。

相手の最終ラインのサイドを守る選手が上がってしまうとバイタルサイドのボールの出口が塞がれてしまう。ガンバ戦で中盤サイドで抜こうとしていたがほぼ負けてカウンターでサイド突破されて中央でどうにか守るという流れが何度もあった。

0トップで中盤を厚くしても逆に相手も中盤を厚くする為に余った選手を中盤に上げてしまう=バイタルサイドが塞がれてしまう為に中盤プッシュアップが出来ずに終わる。

ジュビロ自身の戦術の幅の狭さとFWの適性との問題が解決できていない。

ジュビロは守備に回れば負ける確率が広がってしまう。相手に引かせる選択肢を用意できないと厚い中盤による押し切る攻撃が機能しない。

ロングボールと1トップにスピードタイプを入れて「裏への選択肢はあるんだぞ」というのを見せるというのは重要な点。

ジャーメインを置かなくてもいいけど、健勇が下がるタイミングで大津が上がって背後狙うとかそういう縦連携を見せないと相手はハイラインハイプレスで押し込んでくる。

ジュビロがゾーン2の低めでブロックを組む意味も「背後も狙う」という選択肢から。もし背後を狙わずにショートカウンターだけ狙うならガンバのようにブロックをゾーン2全体に置いた方が良い。

今のゾーン2の低め=自陣でのブロックだと中盤の押し上げに距離と時間がかかる。ゾーン2前目=敵陣も含んだブロックだと距離は詰めることが出来る。その代り自陣の後ろに大きなスペースが空くのでCBのスピードが必要になる。これはトレードオフなのでそれが出来るならブロックの位置を上げればよい。

もしCBが今のまま維持するならブロックの位置も同じ方が良い。無理に上げると守備しきれないスペースになる。それにGKの三浦の特性とも合わない。ハイボールが苦手な三浦にとっては広大なスペースから蹴られるシュートは防ぎようがない。三浦をチョイスする時点でブロックの位置はゴール前方にきちんと3バックの壁を作ることができ、三浦に有利な狭い範囲、短い距離でのシュートブロックへの誘導が出来ることが前提となる。

このような守備事情からブロック位置を維持しつつもハイプレスへの対抗策の一つの案としてはハイプレスへの人数を減らして中盤の密度を減らす=相手の最終ラインを中盤と引き離す=裏へのボールを蹴り込む=1トップにスピードタイプを置く。という結果になる。

相手も裏を狙われるなら最終ラインは低くしたい。そうなるとプレスに参加する人数は1人2人減る。それで中盤にスペースが出来始めるのでプレス回避がしやすくなる。

攻撃型チームほど守備に関してもっと気を使わなければならない。

攻撃チームはあらゆる攻撃の選択肢を持ち、相手の嫌がる形で攻撃をすること。

ハイプレスの弱点は背後のスペース。よってロングボールとスピードを活かした背後への突破はプレス対策への攻撃の選択肢としては最重要。それを放棄しているのでプレスで潰されて押し込まれるのは当たり前。合理的に考えて欲しい。ショートパスで体力消耗を狙うというのはショートパスの「副次的作用」に過ぎない。プレスにとってはショートパスは獲物に過ぎない。よってプレスに付き合わずにどんどん背後狙いで押すのが第一。

プレスにはロングカウンター。この攻撃の選択肢を捨ててはいけない。まずはロングカウンター。相手が嫌がって最終ラインを引けばこちらが中盤でボールを持ちやすくなって選択肢は広がる。

常に戦術ジャンケンで勝つ手を選ばなければならない。

例えサイドアウトしたとしても陣地を回復して相手をゴール前に押し込めるのでボールを持っていなくてもポゼッションxプレスのチームに対して自陣に押し込める選択肢はかなり有利な展開。だからロングボール戦術はプレスに対して有効。

ロングボールを蹴ることが出来ない脚力ってのはやめて欲しい。


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