逆に左利きの選手を右に置くことも考える必要がある。
まずトラップからキックまでの流れ。
利き足でトラップし、利き足でキックすると仮定すると左足だけで二つのモーションを行わなければならない。
左サイドで中央からのボールを受ける時に左足を前にして受け、その後キックする為に一度戻してからキックしなければならない。この時体の向きは中央側を向いた状態からキック時にアウトサイド側に向き直ししなければならない。
この向き直し、踏み込みモーションがプレーを遅くする。
仮に左利きの伊藤が右サイドに入ったとすると、体を中央側に向けると効き足の左足が後ろ、軸足の右足が前になる。
中央からのボールを軸足の右足を前にしてトラップして止め、即、後ろにある利き足の左足でキックが出来る。
次にポゼッション時や守備時のボールキープ時。
相手を背中に背負ってボールを利き足でコントロールする場合、左サイドにいると体の向きがサイドライン側に向いてしまい、中央にいる味方の方向を向くことが出来ない。
逆に左サイドにいる場合、中央側を向くことで利き足の左足を後ろにし、軸足の右を前にすることができる。
身体の向きが中央に向いているので味方CBに対してパスが出しやすい。
身体が中央向きかつ利き足が後ろでボールを後ろに持つことができ味方とも連携しやすい。
ターンも簡単になるので先日の町田戦の1失点目の小川大貴のように安易にバックパスを出すのではなく、自分がキープ、ターンしてマーカーとの距離を取りつつチャンスを見てより安全に繋ぐ、という手段も取れたかもしれない。
両足の使える選手はどちらに置いても良いが、利き足が固定されている選手は体の向きが決まってしまう=ボールの出せるコースが限定されてしまうので攻守において敵がパスコースを切りやすい相手とされてしまう。
相手の利き足を理解してパスコースを消すという手段は良く使われる。だからこそどのポジションに置くのか、どの向き、どのスペースを使うのか、という事前の準備が非常に大切になる。
伊藤の場合は特に左利きで左サイドにいる為に中央への味方に出しにくい。前向きで敵と対面するとボールを自分の左前に置かざるを得ないので相手がボールにアクセスしやすい。
次に攻撃時
左利きが左サイドにいるとインサイド向きの横回転を蹴ると中央側によってしまう。
アーリークロスを考えるとコースが真っすぐでも斜めでもほぼゴール方向のみに向いてしまう。
右サイドに左利きを置いたとすると、ゴール方向より中央よりのコースに対してはゴール方向に向いたボールを、ゴール方向よりサイド寄りのコースはゴールから離れるボールを同じインサイド回転で蹴り分けることが出来る。蹴り方は同じでコースを変えるだけでいい。
これはGKとしては非常に判断しにくく対応しにくいボールになる。
左サイドにいる時はインサイド回転とアウトサイド回転を使い分ける必要があるが、右サイドにいる時はインサイド回転だけで良くなる。
右サイドの場合はゴール方向よりさらに遠い逆サイド方向のコースに蹴るとこれがゴール方向に曲がるので、GKはコースが外れたからと安心していると急に曲がってゴールに入るということになる。
利き足と逆側のポジションに置くことでクロスからシュートまでかなりのバリエーションが生まれるのでポジションを変えるというのは悪いことではない。
SBWBがサイドから中央攻撃する場合
左利きが右サイドにいてカットインしてきた場合、守備陣とボールの間に自分の体があるので相手はボールを取りにくく、自分は利き足でのシュートがゴール正面で撃つことが出来る。
対442で考えるとサイド展開からのサイド攻撃=突破後の深い位置からのクロスを上げようとするより、SBWBはサイド展開からバリエーションのあるアーリークロスを入れた方が守備スライドより速く蹴り込むことが出来るので有利になる。
特にトラップからのキックの時間がほぼ0に等しい+コースに寄ってボールがゴールに向かうか離れるかが異なるのでGKや守備が対応しにくい。
SBWBを起点に速攻を考えるなら利き足と逆サイドに置いて速いボールを蹴り込んで裏のスペースを使う攻撃の方が今の密集した守備を崩しやすい。
相手が中盤エリアに密集しているならゴール向きに曲がるコースを使って速攻、ゴール前PAに引きこもっているならゴールから離れるコースで密集エリアの外からヘディングやミドルシュートで攻撃する。
442は横スライドでサイド展開に対して簡単に対応できるのでワンプレー、ワンモーションでも時間を削って高速なフィードを入れる必要がある。
その為にはトラップからキックの時間を極限まで削る必要があり、かつインサイド回転のみに集約しコースだけで戦術の幅を広げることのできる利き足と逆ポジションの配置が有効になる。
利き足とポジションが同じ場合のメリットは深い位置からの正確で速いクロス。
しかしそれはSBWBのタスクというよりSHのタスクになる。
対442の場合SHの対応はWB、SBの対応はワイドに開いたOHがやった方が良い。
するとWBにはポジションと逆の利き足を持つ選手の方がやりやすいという事になる。
OHの選手でも深い位置のクロスを必要とせずカットインしてシュートすることをタスクとするならやはり逆ポジションの方が向いていることになる。この辺りは攻撃の戦術と選手のタスクに依存する。
こうした小さな積み重ねを経験知、集合知として継承しなければならない。
ジュビロにはそうした土台がない。
0 件のコメント:
コメントを投稿