2020年8月23日 J2リーグ第14節 ツエーゲン金沢戦
ジュビロ磐田 6-0 ツエーゲン金沢
この試合だけは黄金期が復活したかのようなジュビロが見られた。
このとき何が起こっていたのか?
ジュビロ磐田は3-6-1をベースとしたやや変形したフォーメーションを採用していた。
名波浩監督が2017年に3-6-1を採用してJ1リーグ6位に食い込んだ。
3-6-1はショートカウンターを主体としたフォーメーションだ。
FW
OH OH
WB DH DH WB
CB CB CB
このフォーメーションでは前線左右に選手がいないので相手SBからのアーリークロスに対しての守備が弱い。3CBでサイドCBの選手が左右に分かれる為に中央を守るCBが1人のみとなってしまう為だ。これはサイドの選手がWBだけなのでそのカバーをサイドCBが行う為でもある。
2017年の失点パターンはこのSBを抑えられなかった部分にあった。
以前はボランチにゲームメイカー、パサーを置くことが多かったわけだが、3-6-1など中央に人を集めてコントローラーを潰す戦術が生まれた為にSBにコントローラーを置くパターンが増えている。
この流れは以前はトップ下にコントローラーを置くところから始まり、これに対抗する為にボランチにボール奪取に優れる選手を置いた流れから来ている。
近年ではさらに下がってCB、GKが積極的にビルドアップに関わる流れになって来ている。
ジュビロ磐田が黄金期に使用したフォーメーションN-BOX。
3バック、サイコロの5の目の中盤、2トップという構成で、戦術的には中央縦に布陣をして左右を分断する。FWがボールを左右どちらかに誘導し、中盤5人がサイドに寄せて奪い取る守備からカウンターを狙うショートカウンター戦術を目的としたフォーメーション。
20年前に現代サッカーに近い戦術で多くの勝利を得た革新的なフォーメーション。しかしその難易度は高く、サイドに人が少ないのでサイド攻撃に弱い部分があった。
ツエーゲン金沢戦で見せたのは中盤の構成がN-BOXに近いものだった。
FW
SH SH
CH CH
SB SB
CB CB CB
中盤のDHはやや前に置いて2センター化、WBがやや下がり気味で5バックにもなるSBに。OHは高めの位置でサイドを深く攻める形ができるSHに。
このフォーメーションでジュビロ磐田はツエーゲン金沢から6点を奪う勝利を挙げた。
N-BOXでは中盤は5人だったが、3-6-1では6人。中央に2センター、3バックがいることで中央を即座に抜かれることはなく、サイドに人数がいるのでN-BOXの弱点であるサイド攻撃に対する守備力もある。3-6-1の弱点であるSBからのアーリークロスに対してもSHの高い位置での攻撃と守備があるので即座に撃たれることはなく、SBがいることで3バックが左右に広がらず、中央に密集しているので相手SBからのアーリークロスが撃たれたとしても十分に壁として機能する。
3-6-1ヘキサは3-6-1とN-BOXの良い部分を組み合わせ、かつ両者の弱点を減らしたフォーメーションである。
さらに重要なのは、ショートカウンターだけではなく、このフォーメーションを基礎とした他のフォーメーションへのトランジション、可変の柔軟性である。
3-6-1ヘキサはサイドが下がれば5-4-1となり、両サイドまでしっかりと封鎖した守備型のフォーメーションが出来上がる。先制、逆転などした後、残り時間の少ない場面でしっかりと引いて守りたい時などにも使える。
サイドが上がれば3-4-3となりより攻撃的なフォーメーションへとシフトすることが可能である。
中央を守りたい場合は通常の3-6-1にシフトしても良い。
3-6-1の変形としても使われるのは5-2-3のフォーメーション。5バックがラインを形成してショートパスもドリブルも通させない。3トップにすることで相手SBからのアーリークロスも上げさせない。SBのドリブルに対してはサイドで囲んで奪い取ることもできる。3-6-1ヘキサからならSBを下げ、SHを上げ、全体のラインをコンパクトにすることで変形可能だ。
3-6-1ヘキサの構造は、守備型フォーメーション=ピラミッドと攻撃型フォーメーション=シザースの複合型。守備型は4-3-2-1などゴールを中心として等距離に守るようにピラミッド状にする。一方攻撃型は両サイド前方の攻撃+ゴール前中央守備の鋏状のフォーメーション。3-6-1ヘキサでは、守備は中央ラインの1トップ、2センター、3バック(5バック)、攻撃はSH、SBの両サイド攻撃+2センター、3バックの中央守備。結果、攻守両方に柔軟な変化が可能なフォーメーションとなった。
中央ラインを守備、サイドを攻撃としてみた場合
実は3-5-2と同じということ。3-5-2はジュビロ磐田が扱う基本的なフォーメーション。
2トップがSHになり、WBがSBになり、トップ下が1トップに、Wボランチが2CHになっている。
1トップには強靭なフィジカルを持つファビアンゴンザレス選手が良いかも。カウンター時に単騎で突破し得点が出来る選手は非常に有効。
SHにはサイドアタック+PAエリア内での仕事の出来る選手。大津選手は大型でクロスもあるので向いているかもしれない。ルキアン選手は1トップでもサイドに流れがちなのでこちらの方が向いているかも。藤川選手、吉長選手など若手も積極的に使いたいポジション。
CHは守備と攻撃の両方に絡める選手。大津選手はここもできそう。伊藤選手とのツインタワー2センターが出来たら面白いかも。守備貢献ならば鹿沼選手なども。遠藤選手が入るならもう一人は守備的な方が良い。
SBには加藤選手、鈴木雄斗選手が合いそう。サイドで奪ってからの速攻カウンターが戦術なのでその核になりそう。サイドに張り過ぎずに中に入ってボランチの仕事が出来ると2CHが中央攻撃に絡めるので、CHとSBの組み合わせは中央攻撃とサイド攻撃とで入れ替わりなどがあるとバリエーションが出て攻撃がさらに柔軟になる。
CBには多くのCB人材が揃ってきているので誰が入っても問題なさそう。
GKだけは補強が必要かもしれない。
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