何故ジュビロは迷走してしまったのか。
何故鹿島は強豪として残ったのか。
まずチームとしてではなく、サッカーというスポーツ自体の競技性から
1.サッカーはキックとヘディングだけでボールを扱うスポーツということから手を使う以上に技術的に難しいスポーツである。
2.正確なキックを望むほど止まって蹴る必要があるので機動性が失われる。
3.フィールドの大きさに対して人数が少ないのでフィールド全体を守ることはできない。
4.キックの正確性の低さから得点数が少ない為に複数得点は難しく攻撃側より守備側が有利な点が多い。
ジュビロの傾向を上記の項目に当てはめてみてみると
1.技術の高さ
2.パスサッカー指向
3.ショートパス重視
4.攻撃的ポゼッション的指向
とサッカーというスポーツの特徴の真逆を指向している。
逆に成績の良かった時の状況を顧みると
2017年J1 6位
1.体格差走力差など個人差を活かす(ジェイ、アダイウトン)
2.守備重視で全員の機動性を確保
3.ロングフィード、セットプレー、中央攻撃重視
4.守備的ロングカウンター的指向
2015年J2 2位
1.4231、中盤5枚+4バックの多人数守備
2.守備重視
3.ショート/ロングカウンターセットプレー中央攻撃重視
4.守備的ショートカウンター的指向
NBOXを使っていた時も
1.個人の能力にあったタスク分散
2.NBOXによる中盤プレス守備からのショートカウンター
3.プレスディフェンスで奪ってからサイドチェンジして前線にフィード
4.ショートカウンター指向
良い結果を出した時はサッカーの持つ特徴にマッチしたスタイルで戦えている。
やはり方向性、スタイルの部分でサッカーにマッチしていない戦術を目指しているからだと思う。
ポゼッション率と勝敗は全く関係ない。
ボールを保持していたところでカウンターで先制されればポゼッションの有利はゼロになる。
こちらが先制すればポゼッションは意味がある。相手が攻撃しなければ勝てない状況でボールを渡さない戦術と考えれば相手は無理にでもボールを取りに来る。そこにスペースが生まれて攻める為の足掛かりができる。0-0からポゼッションする必要性は全くない。
ジュビロが目指すべきなのはハイブリッドであってポゼッションではない。NBOXという現代サッカーに通じるスタイルを作り出したチームなのだからそれをスタイルとして持ってもよいはず。
中盤プレスでのショートカウンターサッカーで得点することと、先制した後にポゼッションスタイルでボールを保持してもいいし、攻めてくる相手にまたカウンターを当ててもいい。先制することが出来ればこちらがハイブリッドならば選択肢が広がる。相手がカウンターチームならわざとボールを持たせてポゼッションさせてミスを誘ってカウンターしてもいい。相手がポゼッションチームならプレスから奪ってこちらがポゼッションして時間を潰してもいい。
大事なのは選択肢があること。カウンターとポゼッションのどちらが強いのか、が問題なのではない。どのスタイルでも結果を出したチームが強い。
今のジュビロは個性より汎用性の高い選手やスタイルを選んでいる気がする。こうなると戦術はリアクションになる。60~70%の選手で80%~90%の選手と対峙しなければならないので自ずと弱点を突くスタイルしか選べない。レベルの低い勇者と同じである。得意分野のない選手は相手の弱い場所を突くしかない。しかしその為には相手のチームを分析してこちらがマッチさせて対策する必要がある。
ポゼッションも同じで、相手の守備形態を観察し、どこにボールがある時はついてくるのか、取りに来るのか、という分析をしながらスペースを見つけてそこを狙う必要がある。ポゼッション指向の場合はその分析ができないと前には進まない。
カウンターの場合は相手が攻撃的なシステムになるので守備が薄くなる。その為にカウンター発動時は通常の攻めよりより得点しやすい状況を得ることができる。ポゼッション側は攻撃時に守備が薄くなるのでカウンター対策が必須となる。
ポゼッションしていてもアタッキングサードで戦うのか、ミドルサードで戦うのかは全く異なる。アタッキングサードで戦う場合、守備側は54ブロックで引きこもることができ、裏のスペースがなくなる。ミドルサードだと相手はカウンターのチャンスもあるので守備と攻撃と両方を考えたシステムになる。さらに裏には大きなスペースができるので攻撃側はロングボールでの攻撃がしやすい。単純にポゼッションかカウンターではなく、どの場所で勝負するかでも駆け引きがある。よってポゼッションにもカウンターにもそれぞれ複数の作戦が必要。
ミドルサードで戦う場合はボールが収まらずにそのままオープンになる可能性が高い。お互いに裏を狙ったボールを入れて一発を狙える状況になる。逆にアタッキングサード、ディフェンシブサードでは攻守が固まるのでやるべきことが一つに固まる。
ポゼッションは相手がプレスしてくることが重要なのでミドルサードでの戦いで相手のプレスを待つ必要がある。逆にアタッキングサードでポゼッションしていても押し込み過ぎて54ブロックを作られるとボールを入れるスペースが無くなってしまう。こうなると個人の能力の高いドリブラーが相手のブロックを突く動きをする必要があるが、ビッグクラブでないとそれは難しい。ジュビロの場合はドリブラーをサイドに置くことが多いく直接点に絡みやすい中央で使わない。これらの問題が重なりポゼッションしているが打開できずに無得点、良くない場合はカウンターを食らって失点という事になってしまっている。
ポゼッションの場合サイド攻撃より中央攻撃の方が戦力を集中でき、かつそれが守備にも使われるのでサイド攻撃より中央攻撃の方がより効率的で守備面でも問題が少ないと考えられる。
カウンターサッカーで上位に行けない、という前にカウンターで中位以上を確保し、ゲーム展開に応じてポゼッションを組み込んだハイブリッドで対応する、もしくはカウンターで奪う制度をさらに高くしてよりカウンターの精度を高くする、という戦略の元にジュビロのスタイルを作り上げるべきだと感じる。
ジュビロの良さは家族的な部分があるが、ユースで育てながら一度は他チームにレンタルに出して外の厳しさを勉強させるハイブリッドでいいと思う。ジュビロファミリーで内部人事も仕方ないだろう。しかし、オフトやドゥンガのようにそのからの血があったからこそのジュビロというのも忘れてはいけない。ジェイアダイウトンカミンスキーが来て大きな成果を上げたこともそうだ。
強いジュビロを再建するためには、強かった時の状況をもう一度確認してそれを作り上げるしかない。強かった時に何をしていたのか。もう一度振り返って欲しい。まずはJ1復帰、そして中位に、その後上位に、上位定着を堅持すること。それがチャンピオンへの道。いきなりチャンピオンを狙っても得られるものではない。底から積み上げて上位定着することこそ最重要。若手もどんどん使って育てて欲しい。資金問題で補強できないと考えると若手の成長が一番の補強になるわけだから。
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