サイド展開、遅攻、ポゼッション、というスタイルがJ2、特に5人交代の今年のレギュレーションにマッチしているのか。
①5人交代制
今年のレギュレーションは5人交代+水分補給がある。スタミナ切れを狙うスタイルはマッチしない。
②遅攻
ボール回して相手の守備が揃ってから崩そうとするのは時間と労力の無駄。
③ポゼッション
ボール保持率は高いがカウンター狙いの相手に対してネガティブトランジッションのプランが薄い。
④サイド展開
J2での定番フォーメーションは442と3421。どちらも横幅は4人で守るためにサイド攻撃に対してはスライドで対応できる。
大きな問題点は前述した個々の問題点が負のシナジーを作り出していること。
サイド展開しても相手フォーメーションはスライドだけで済むのでスタミナ切れは起こさない。しかも遅攻なので4人が必ず揃う。ボールポゼッションを第一とするためにチャンスに仕掛けずにボールキープに向かってしまいチャンスの逃す。ポゼッションが目的になっておりカウンターに対してのプランが薄い。CBがスイーパータイプでないのでカウンター時に追いつけずに失点してしまう。
サッカーの守備の基本はゴール前をブロックで固める事。得にJ2では失点が命取りなので守備を徹底する。その為にゴール前のブロック=グーを敷かれると容易に崩すことができない。
これに対して遅攻とサイド展開が負のシナジーを起こしている。遅攻はブロック形成を用意にしてしまい、サイド展開はブロックの外側にボールを置くだけなのでまったく意味がない。
相手がブロックを崩して守備に来るためにはブロックを突き崩すだけの脅威がなければならない。つまりブロックの中に放り込んでヘディングで競るか、ブロックの外からミドルシュートを打ち続けてブロックを崩してまで守備をせざるを得ない脅威を与え続ける事。
この脅威があることで相手はグーからパーに守備形態を変えざるを得ない。ブロックを崩してボールにプレスに来るということ。その時にスペースができるのですかさず縦パス=チョキを入れることでゴール前のFWにチャンスを与えることができる。
現代サッカーではどのエリアで守備する場合でもほぼ小さなエリアに区切って密になって守備ブロックを作る。この為に遅攻でボールを回すとこの守備ブロックがそのままスライドしてくるので全く隙のないままサイドが変わるだけになる。
サイドチェンジは左右で一本もしくは中央1回経由のみにすること。中央のCB二人経由でパスをつなぐと遅すぎてサイドチェンジの意味が全くない。この遅さは守備のスライド速度が遅くても問題ない状態を作るので結果的に守備側のスタミナ消費は少量で済む。これではポゼッションしている意味がかなり薄れてしまう。
ジュビロに必要なのは戦略的視点。レギュレーションの理解と戦術とがマッチしていないということは戦略的視点が欠けている。まず戦術ありきで考えすぎ。ジュビロスタイル、というものにこだわり過ぎて森を見ていない。
5人交代+給水という戦略的視点をどう戦術的に有効にするのか。そこを考えた方が
ジュビロはサイド展開とサイド攻撃の大きな戦術的な違いを誤認している感じがする。
サイド展開とは相手の守備ブロックを広げる為にサイドにボールを置いて守備を引き出してブロックの距離感を伸ばすことで中間にスペースを作り出しそこを攻める。つまりフィニッシュはサイドからではなく中央に縦パスが入ってこそ。
逆にサイド攻撃はブロックの外側のスペースを使った速攻。ブロックを崩さない相手に対してサイドのスペースを縦に使い深い位置まで侵入してディフェンスラインの裏を突く、クロスを入れることで高さ勝負をする。ブロックを崩すという時間を使わず、最初からあるサイドのスペースを活かした戦い方をする。
サイド展開とサイド攻撃は同じ包囲型の攻撃ではあるが戦術的な方向性は全く異なる。
ジュビロの試合を見ているとサイド展開はするが中央に縦パスを入れない。
唯一理解している感じに見えるのは大森。
大森と中野は理解している。
大森、中野の得点を見ると大森がサイドに位置してサイド展開を担当し、守備がサイドに流れているタイミングで中野が守備間を突いている。
大森中野の得点はサイド展開とサイド攻撃の両方のパターンをやっている。
大森が右サイドのハーフスペースにいた時にルキアンが中央に流れて守備を引っ張り中野が守備の中間で受けたサイド展開パターン。
大森が左サイドを突破して守備の外側、ゴールのニアに出して中野がワンタッチで流し込んだサイド攻撃。
他の選手はこのサイド展開とサイド攻撃の戦術的な違いをもう少し理解を深めればどう動けばよいのかがわかるようになるはず。
ブロックが崩れないならサイド攻撃で縦に突破して裏を狙う。
ブロックがスライド、プレスしてくるなら中間のスペースを狙う。
この切り替えができること。
サイドチェンジが速ければスライド、プレスはスタミナ消費を強制される。それを嫌うとブロックは動かなくなるのでサイド攻撃が可能になる。サイドチェンジが遅ければスライド、プレスがくるので中央のスペースを使って攻める。
ジュビロがやりたいのはサイド展開+遅攻+ポゼッション。フィニッシュは中央のボランチFWがメインになる。しかしその前段階部分として攻撃に繋がらないのはサイド展開して守備は広がっているのだが、中央にボールが入らず攻めるチャンスを逸しているということ。もしくはサイドチェンジが遅すぎるのでスライドとプレスが順調なままで中央にスペースが出来ないこと。
サイドチェンジの質を見直して速いスタイル、遅いスタイルを使い分ける事。それに対して相手の守備がどう対処しているのかを分析してそれに合った攻撃をしかけること。
今の状態を見るとサイド展開タイプのメンバーとサイド攻撃タイプのメンバーと質が分かれていて、両方をこなせる柔軟なタイプのメンバーがまだいないかもしれない。特に問題なのはサイド展開とサイド攻撃とで必要とされる技術が異なる点。
宮崎はサイド展開に必要なタイプ、逆にサイド攻撃に必要なのは縦に強い小川など。どちらもこなせるSB、SHタイプが必要だが、そもそもジュビロにはサイドができるタイプが少ない。そういう意味では育成含めてサイドのタイプをどうするのかは重要な戦略的課題。
サイドタイプが少ないのにサイド展開とサイド攻撃メインの戦術にするというチグハグさが未だに抜けない。
戦略戦術のマッチングがジュビロ首脳陣の中で明確になっていない気がする。
もしくはマッチしていると誤認、錯覚しているか…。
サイド展開が微妙なのは両サイドに2人いると中央の守備が薄くなるという点。サイド展開ではサイドはSBのみに絞りSHはハーフスペースに入って縦に攻撃参加するなど変化が必要。ジュビロにありがちなのは逆サイドで浮いてる選手。ボールがない時こそ裏から攻撃できるチャンスなのだが、ジュビロではボールサイドでどうするのかというのが戦術の基本になっている感じなので逆サイドはお休みになることが多い。
あとは走らない。足元でパスを受けるのでコースを消されるとお終い。走らないので守備もついてこないのでスペースも生まれない。スペースが出来ないので縦パスも入らない。負のシナジーが多い。
ムサエフがボールを持ちあがる事がよくあったが、あれが中央でドリブルすることは守備に対してポジションの変化を強要する。それにより中央を固く守っていてもスペースが少しだけ生まれる。サイド攻撃でサイドにドリブラーを置くのも一つだが、中央、ハーフスペースにドリブルできる選手を入れるとブロックを崩さない守備に対して有効。より中央のブロックを強要することでブロックの外のサイドのスペースが大きくなりサイド突破が効いてくる。
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