2018年2月14日水曜日

なぜ磐田の4バックは機能しないのか

磐田の4バック、具体的には4231が機能しない理由はいくつもある

まず4231というフォーメーションの特徴は何か

・変幻自在のフォーメーション変化に対応

これは何を意味しているのか
相手のフォーメーションと戦術に応じて変化することができる
これには条件がある
相手のフォーメーションと戦術を即座に理解することだ
つまり高い戦術眼を持つメンバーが必要になる
サッカー脳、理解度の高い選手を起用する必要がある

そして、それに応じるフォーメーションに変化するということ
これは相手のフォーメーション、戦術の意図や弱点を知っている必要がある
意図を知っていればその起点を潰すか、狙い目を防ぐどちらかに変化できる
弱点を知っていれば、そこを攻めて得点につなげることができる

戦略的にはフォーメーションチェンジに適応できる高い戦術眼をもった選手が必要となるということ
これをさらに深く読み解くと4231でどこをどのように守るのか
ということになる
その文脈から、フォーメーションチェンジする時に誰が動くのか
これによってそのポジションの選手の戦術眼とマルチタレントの高さが重要になる

4231の初期ポジションを研究してみると
2CB、2SB、2DH、2SH、OH、CFの構成となっている

___CF___
SH__OH__SH
__DH_DH__
SB_CB_CB_SB

初期ポジションの弱点はSH、DH、SBに囲まれた広いスペース
ボランチ脇のスペースだ
ここからCBの裏にパスを出されるのが決定的なコース

初期ポジションは守備的に機能しているのか
これは「機能していない」というのが答え
4バックの対戦で機能しない場合が多いのは同じ4バック
相手のパサーのWボランチからこちらのボランチ脇のスペースのSHにパスを簡単に出されてしまう
これはWボランチに対してOH1人のみの守備では対応できないから
1対2でパス交換されてかわされる
その後ボランチ脇のスペースに配球されてしまう
4231の初期ポジションでは弱点をカバーできる状態ではない
中央の守備は2DH+OHの狭いトライアングルのみ
サイドは孤立したSHのみと中盤での守備がどっちつかず
中央もサイドも守備面ではほぼ機能してない
中央を固めたいならSHを内側に絞ってOH+2SHが3OHになり3OH+2DHのボックス、ペンタゴンを作ることで中央のスペースを制圧できる
サイドを固めたいなら2SHは下がってボランチ脇のスペースを消す、4411の形にすることでサイドのスペースを埋めて弱点を無くすことができる
相手のサイド攻撃を止めたい場合、SHが上がってCF+2SHがCF+WGの3トップ、433になることで相手SBを押し込んでサイドの連携を止めることができる
これはそれぞれに目的があって変化している
目的とあったフォーメーションにすることで高い効果を発揮するが、それがマッチしない場合にどのフォーメーションを取るべきかが定まらない

つまり、目的のある変化は効果があるが、中間形態である初期ポジションでは基本的な守備すらできないということである
トランジッションしてこそ力を発揮するが、目的が定まらない状態での運用は危険ということ
また、トランジッションで動くのはSHなので、SHに能力の高い選手を置くことが出来なければ機能しない

運用上の注意点として、初期ポジションでの守備はしないことが重要になる
またボールの位置によってSHが落ちるか、絞るか、上がるかを的確に判断して位置取りが必要になる
場合によってはSBが上がってケアする場合もあるので、その連動も含めてサイドの選手には適格な状況判断能力が必要となる。
ボールが定まらない時や相手が素早く動かしている時など、不確定の時にどのフォーメーションで守備をするかという規則が必要になる
安全策を取るならSHを下げた4411にするか、442にする
ボールを回させたくないならSHを絞って中央にボックスかペンタゴンを作って中央を制圧する
ゲームメイクするWボランチやトップ下を機能させない

4231は柔軟過ぎるがゆえにルールがないと初期ポジションに依存して弱点をあらわにする
指揮官だけでなくフィールドプレイヤーの高い戦術眼とマルチタレント性がなければ機能しない
むしろフォーメーション自体に攻撃や守備などの目的が込められている方が戦術がぶれないので機能しやすい

4231の守備面では42ラインの守備の脆弱性が現われる。
4バック+Wボランチは中央ボックス+サイドのスペースを消すことによって機能するが、SBの前、ボランチの脇の大きなスペースを使われるというデメリットがある
ここでフリーでCBの裏にクロスを上げられると失点というパターンがある
サイドに流れた時こそ、SBの上がり、SHのプレスバック、DHの寄せと3人で囲んで潰してカウンターにつなげる必要がある
SHがサイドに張り過ぎて孤立しているとスペースが大き過ぎる
SHが絞って中央を固めつつ、空いたサイドをわざと突かせて罠に嵌める必要がある
SHはハーフゾーンにいるのでDHやSBとの連携でボール奪取が可能になる

4231の運用には状態に応じてどう変化させるのかという約束をしっかりと覚えさせないと機能しない
柔軟過ぎるフォーメーションなので統一された動きでフォーメーションを決めないと弱点を晒してしまう
約束事がないと運用が難しくなる
多くのフォーメーションに変化させず、特定のフォーメーションにするだけでも機能は高まる
どの状態ならトランジットする、という明確なルールが必要
初期ポジションで高い機能を発揮するフォーメーションではない

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