2025年6月16日月曜日

近年最強

愛媛戦はジュビロの良い部分がほぼ出ていたゲームだったと思う
チーム全体がしっかりまとまって近年希にみる強さのスカッドになっている


攻撃面

倍井とクルークスの両翼が非常に良い、特にスピード+スタミナというのが非常に良く、背後狙いを「常に」選択肢として選べるというのが強い
この二人のどちらかが対角に背後を取ることでロングボールが非常に生きている
前半にこれを何度も行われると相手チームの守備はコンパクトを保つことが出来ない
結果、DFラインが下がり中盤に大きなスペースが生まれる
そして川合がこのスペースを使うことで相手を引きつけながら前線をサポートする、という連携が生まれより後半の攻撃が生きる
ペイショットは相手が引いた状態で非常に有効で遅いクロスに合わせることで高さを発揮する
川﨑も後半から出て来て相手を仕留めてくれる良い選手になった

ポゼッションにより相手の守備を前に釣り出して背後を狙う、これは基本戦術
相手が引くなら敵陣ポゼッションしながらポケット侵入、ミドルシュート、セットプレーでゴールを割る遅攻
相手がポゼッション潰しに前に前に来るなら即座に背後へ送る、ショートして前線に届かない場合は中盤ボランチやトップ下の強度を活かしてボール奪取から背後へ縦パス

きちんと場面を想定した動きがシンプルに決まっていて少ない選択肢から即座にプレーすることでプレースピードが上がっている
チーム内での戦術浸透がしっかり共有されていることとシンプルさ、場面切り替えによる相手の弱い所を突く攻撃が徹底されている


守備面

前線からのプレスで後方でのポゼッションとコントロールを奪う、中途半端なショートパスで繋ぐなら中盤ボランチトップ下が強度を活かしてボール回収、ロングボールで逃げても4バックが跳ね返し中盤が回収
前から限定し、辺りに行ってくれるので2CBに余裕があり中盤で刈り取れない場面でもカバーに出ていくことが出来ている、これは前線中盤が守備に動いていることで動きを限定しているのでピンポイントでCBがカバーに行けるので複数の選択肢を予測する必要が無いチーム全体で守備の動きが出来ている為に後方の余裕がカバーの能力を上げている
以前は前線中盤の守備がかなり薄くてCBがいきなりすべての守備責任を受けなければならないような状況が多く、失点するとすぐにCBが…と批判されがちだったが、その前の中盤や前線はどうだったかというと動かないことが多い酷い状況だった
さらに守備ボランチの移籍がずっと続いてやっと金子の必要性が理解されて守備ボランチが中盤でボールの限定と奪取に動いてくれることでCBがカバーしやすくなりGKも対応しやすいという守備が非常に安定した状況になりつつある
守備面の安定度はボールポゼッションにも大きく影響するのでどれだけ早くボール奪取することでポゼッション率を上げ、攻撃回数、シュート回数というチャレンジ回数を上げることで得点確率を上げている、試行回数をあげることは得点を挙げることと同じである、だから守備が強くポゼッション率を上げることが前提であり、それにより攻撃試行回数が多くなり結果として得点も上がる、ということである

全ては連動していて、やっと守備面を改良したことと攻撃方法のマルチ化により「ジュビロらしい強さ」が戻ってきつつある
愛媛戦の強さは自分達が見ていた黄金期のジュビロの強さに近いスタイル
強固な守備と攻撃回数が多く複数得点で相手を押し切る
「攻撃のチーム」ではあるが、攻撃だけじゃなく、しっかりした守備があるからこそのポゼッションの高さ、そして攻撃回数に繋がる、という全体の繋がりと戦術が明確になってきた

ジュビロの黄金期を辿るような時期を見ることが出来ている人々は幸せだ、何故ならこの状況は黄金期の再来に向かうからだ

大事なのは戦術論だけではなく、むしろ戦略面から繋がっている、つまりは資金と強化、スポンサーが多くなり強化部も良い選手を連れて来てくれている、更に戦術面でも攻守のマッチングが上手く行っている、結果としてJ2上位陣に食い込むことが出来ているし、後半戦この状況を継続できれば再昇格も夢じゃない
重要なのは敗退してしまったがカップ戦でJ1勢を潰している点、J1昇格が出来たら今の状況なら残留できる、守備面の更なる強化と攻撃への連携が深化していけば上位狙いも果たせるはずだ

やっとジュビロの時代がやってくる、闇の底から光が見え始めた…

2025年6月15日日曜日

2025 第19節 H愛媛戦

クルークスから渡邉へのクロス、枠を捉えず
愛媛は5-4-1ブロックで抵抗
愛媛はビルドアップでリスタート、ジュビロがハイラインプレスで奪い返して引き出す動きからロングボールで背後狙い

じっくりボールを回しながら愛媛の動きをコントロール
倍井が背後に入ってクロスも跳ね返される

クルークスが斜めに走ってGKと交錯、アクシデントのロストを狙う動き
愛媛を相手陣内に収めながら広い自陣を使っておびき寄せしつつ背後を狙うようにしている

愛媛はラインをコンパクトにするかサイド圧迫するかの密集ブロックで守備

為田がミドルを打ってGKがディフレクトして回避

クルークスのクロスもGKが弾き出す

ジュビロがかなりゴールに近い展開だが愛媛のGKの動きがよい

愛媛のスローインからクリアするように前線に蹴り出し、それを拾って佐藤が右サイド展開に縦に送る、CKゲット
かなりジュビロの攻撃時間が長い

GKを出し抜けるような攻撃が組めるか、という感じだなぁ、やはり守護神が良いと多少守備がスカスカでもピンチを救ってくれる

愛媛のミドルは川島がセーブ

速攻の繋ぎでクルークスに渡るが全体が上がるまで待つ選択、CKゲット
松原から江崎のボールに渡邉も飛び込んだが決められず

ジュビロは前4枚のラインでボールの入る場所を徹底して切っているのでショートパスでは繋げられない状況ジュビロはそこから奪いに行ってショートカウンター狙いで上手く行っている

渡邉が愛媛のバックパスにしっかり詰めることでパス強要して相手の選択肢を少なくしているのが良い

前線4枚でコース制御して相手が止まった時にしっかりSBやボランチがプレスに行ってボール奪取をチャレンジしている

倍井が走り込むがボールがゴールラインを割る
インターセプトを狙うが奪い切れず
為田がクロスをかき出してCKに
太陽方向からのCKで川島はやりずらそう

クルークスが削られて辛そう、少し前から足を気にもしているからもしかしたら早めに交代した方が良いかもしれない

愛媛のミドル、枠は捉えてないがジュビロを押し返そうという意図は見える

倍井のボールキープ、尻を差し込んでボールを保持するのはゴン中山のやっていたスタイル、しっかり身体をボールと相手との間に置いてボールを保持する

松原のミドルはバー直撃、惜しい
かなり強烈でミートしていただけに惜しい
得点まであと少しなんだがゴールに嫌われているな

CKはファールでゴールキックに、愛媛はビルドアップ選択
センターライン付近で回収してクルークスへ、為田が縦にインナーラップしてポケット受けの形
両SBがインサイドに入って攻撃を作っている

愛媛が回収したのでゾーン2までリトリート
倍井が収めたところにファールでFK

江崎がプレスされてクリアでサイドアウト

愛媛のビルドアップを中盤の押し返しでロングボールを蹴らせて回収

倍井のシュートをGKがファンブル気味にクリア

CKゲットだがCKの得点が無いようだ

クルークスの出すところにGKが飛び出してパンチで書き出し

ジュビロの攻撃は上手く行っているが最後の部分でGKにかなり排除されている印象、GKに2択を迫れるような仕組みを組めたらもっと得点力は上がると思うが、狙いが単一なのかGKが判断しやすい2択なのかもうちょっと工夫すると結果が出そうな感じはする

前半でゴール割ることが出来ないとちょっと微妙だな…
愛媛の前線と後ろの連携が切れてて中盤にスペースがあって上手く使えてはいるんだが…あともうちょっとだな…

AT+3
愛媛がワンタッチなら得点できそうな危ないクロスを入れてきたら触れず
愛媛ロングスローもジュビロ跳ね返し
2次攻撃のクロスがゴールラインを割りジュビロボールに

クルークスが背後狙いで守備ラインを引きつけて佐藤が収めて前線構築
倍井のシュートは決まらず、CKに
クルークスと松原がポジションを変更して左右入れ替え
GKに対して逃げるボールを入れることでGKの飛び出しに対抗するような動き

内容は良いし後は結果だけ、という前半

角/渡邉の交代
佐藤がトップに入り角がトップ下に入る形に
倍井が中央まで絞っていてインターセプトからカウンター、PAギリギロ外で倒されたがFKになるか
倍井の位置取りがかなり良かった

松原からクルークスへの対角パスからCKゲット

敵陣押し込んだ状態だがボールを大きく回しているジュビロ

倍井のクロスに金子の飛び込み、あと少し
今日はホントに良い攻撃が出来ているが最後の最後ゴールを割れない状態
悪くはない、むしろ非常に良い、それだけに惜しい

愛媛のカウンター、ゴール正面からシュートを打たれて間一髪、これだけ攻めて先制されるような状況だけは避けてくれ

愛媛ショートコーナー選択だがファールあり、ハンドか

愛媛がショートカウンターする場面が多くなってきたか…

流れが愛媛になりつつあるか…

敵陣で相手ボールになることで低い位置から攻めさせる選択を取らせながら奪って裏に縦パス、角がシュート、セカンドを佐藤がシュートするがGKに防がれ続ける

愛媛背後にクロスからヘディングも流れる

お互いに撃ち合いの様相になりつつある、ガバガバになるのを避けるか、なってもいいので得点を取りに行くか…

今日のジャッジは判断は速くサクっと指示して無駄なコントロールをしない、プロフェッショナルジャッジだな

角が何度もチャンスを作ったが駄目

クロスをグラッサが決めきった!
1-0
やっと先制点!!
頼れるなグラッサ

ペイショット/佐藤の交代
ペイショットに集めてヘッド決めてもらう練習しよう

愛媛は攻撃的なハイラインプレスに
愛媛は4枚替えで一気に攻勢狙い

ジュビロはゆっくりつないで敵陣内に、攻め急がずにボールを回しつつキープ

ペイショットヘッドで決める!!
2-0
角のふんわりクロスにペイショットのヘッド

良い攻撃になってる

川﨑も入って左に入っているか

2点入れたことでジュビロも動きが良くなってきてるか

川合川口/松原クルークス交代

守りながらワンチャンカウンターの構成に切り替えてきたか
複数得点しているし無理せずチャンスがあれば狙うのは良し

愛媛のFKを凌いで角、川合のキープで押し上げ

まさかのペイショット2点目!!
3-0
マジかww!!
こりゃペイショットマジで得点王狙ってるんだなw

グラッサハイボール争いで肘打ちくらって痛む

今日のジュビロは典型的なケチャドバな展開だったな…
攻撃が凄く良くてあとはGKだけという状況で何度も何度もチャンスはあって…やっと割ったら連続得点、マジでいいねぇ♪

AT+5

川﨑のカットインからのミドル!!!
アウトサイドからセンターまで入り込んでファー狙い
良い判断!!

これで得失点差だいぶ回復したろ!

やっぱりジュビロはこうじゃないと!!
強力な守備陣とボール奪取能力によるポゼッション、速攻、遅攻を織り交ぜた攻撃主体のチーム戦術、まさに黄金期の再来だよ

4-0
複数得点+クリーンシート!
スタメンもサブもスタッフもチーム全体でしっかり奪い切った良いゲームだった!!

さすがジュビロだよ、ジュビロはこうじゃないと!!!!

2025年6月10日火曜日

4バックか3バックか

4バックと3バックではどちらの方が強いか

という議論は余り意味がなく

Wボランチ+トップ下と2シャドー+アンカーのどちらが強いか

と同じでこれも意味がない

大事なのは「相手は2トップ」「相手は4バック」という

「相手との相性」の方が重要になる

フォーメーションのマッチなのかミスマッチなのか

戦術のマッチなのかミスマッチなのか

と言う部分が重要であり

「固定された正解はない」 = 「相性による正解はある」

ということ

相性のマッチ、戦術のマッチ、とは

相手が2トップに対して4バックWボランチでWボランチが2トップの背後で消える、2CBが2トップと正対して前に運べない、などかみ合わせの悪さや

相手3トップに対して3バックで1v1でハイラインプレスをされてボールを逃がせない、など相手のトップ数+1の守備ラインを組まないなどの人数問題

相手ハイラインプレス+ゾーン制圧守備に対してビルドアップでボールを繋いでロングボールを蹴らない=ボールの逃がし所が無く詰められてロスト失点などという戦術のかみ合わせ

このように「自分達のやり方」”だけ”を考えたものは強い弱い「以前」の問題であり、当然勝ちようがない、勝ったとしてもそれは偶然であり再現性の無いものに終わる

サッカーの最適解は「相手のスタイルを崩すスタイル」

相手の強みを消す、相手の弱みを突く、これができないと常勝チームにはならない

よってどの動きもできるどの戦術でもこなせる万能なタイプがいた方が良い

特化タイプを活かす形もあるが、特化しているだけに弱みも大きい、出来ない範囲を突かれるのはかなり効く

常に相手の対策を考えると同時に「相手の考えた対策を裏切る戦術」がなければならない

これがないと「対応されたら終わり」と言う事になる

なので「基本戦術」の背後に「応用戦術」「対応戦術」などをきちんと整備するのがよい

基本戦術を軸にして相手が対応して来たら応用戦術で無力化する

相手の基本戦術にはこちらが対応戦術で無効化する

じゃんけんでいえばどれかを基本として固め、相手があいこを狙うなら勝つ手を出す
相手が勝つ手を出すならそれに勝つ手を出す

ジュビロがパーを出すとして、パーであいこ狙いならチョキを出す
チョキを出してくるならグーを出す

ポゼッション、サイドチェンジ、遅攻に対してハイラインプレス、ゾーン制圧で守備するならロングボールで裏を狙う

CK、CB、ボランチのセンターラインを狙ってくるならワイドを中に絞り全体をコンパクトにして戦力を集中して局所に数的優位を作って突破

という風に相手の出方、バランスを常に見ながら全体の位置や密度を変化させて優位性を作り続ける必要がある

Wボランチかワンボランチ/アンカーか、というのも同じで、どちらが良いかではなく、相手の陣形、戦術とのかみ合わせで勝てるかどうか、が重要になる

ポジショニングの意味は

・局所における数的優位
・パスコースの数(攻撃なら前進しやすさ、守備ならコースの限定)
・マークまでの距離の長さ(短さ=反応の速さ)
・カバーの速さ

とオフザボールのポジショニングはオンザボールになった時に重要さがわかる
その為に逆サイドで歩いている、というのは結構厳しいし、中にいて寄せない、競らない、というのも同じ

人数、かみ合わせ、スペースやコースをどれだけ限定できるか、チャレンジ&カバーができるか、などポジショニングと人数=フォーメーション=4バック/3バック=トップの数…
と繋がっていくので、「これが最強」というものではない

常に変化してその都度最適解が変化する、それを理解して常に周りを見て位置を正すことができる、という選手が強いし、そういう選手が集まることが大事になる、もちろん強度、スタミナ、技術なども揃って

2025年6月5日木曜日

ビルドアップとロングボール

現在のジュビロの戦術はビルドアップ+ロングボールなわけだが、この意味がまだ理解できないビルドアップorロングボール派がいる

ジュビロの戦術上、ビルドアップとロングボールは「同じ戦術」である

やっていることが違うのに何が同じなのか、という疑問が出てくるわけだが

そもそもその前段階として「どのような状況なのか」という部分が抜けている

これは相手の戦術との駆け引きの中で高度に戦術化されたものなのでビルドアップとロングボールが戦術的に同じことだと理解できないのは過去の戦術論に意識が囚われてそれ以外の判断ができない状態である為

ビルドアップはショートパスを繋いで相手を崩して前身していく戦術、ロングボールは相手の守備の背後へとボールを送りそのボールを拾い前身していく戦術

これが攻撃側の基本戦術論なのだが、現在のJリーグの守備形式はオープンではゾーン制圧、サイドではレーン制圧が守備側の基本戦術論になっている

つまり、ビルドアップではレーン制圧に対しては対応できるが、ゾーン制圧に対して対応できない、という部分がある

ビルドアップ時にサイドチェンジすることでボールをサイドに寄せて相手をレーン制圧に変更させれば、逆サイドにスペースが空くので高速サイドチェンジ、対角パスなどで逆サイド展開し、スペースを突く、ということができるが、ゾーン制圧状態の場合、サイドチェンジしても逆サイドにも守備がいるのでサイドチェンジによる左右への展開と逆サイドを取る、中央を割る、というビルドアップ戦術の攻略方法が効かない

そもそもなぜゾーン制圧になるか、というと、その前段階の守備戦術としてハイラインプレスがある、前線の守備が相手の守備ライン=コントロールラインにプレスすることでボールロストを誘発してショートカウンターを狙うカウンターを主体とした守備戦術であるが、ビルドアップ側は守備側を「前から剥がす」ということをやっている、守備側の前線が剥がれれば、ライン間にボールを送り、前線ー中盤間のスペースを使って前進する

これがビルドアップの「前から剥がす」という攻撃方法になる

しかし、ゾーン制圧の場合、前線ー中盤ー守備ラインの3ラインが1つのゾーン無いに配置されるので非常にコンパクトであり局面に強い構造になっている

この為にハイラインプレスを呼び込んで剥がす、ということができず、剥がしてもすぐに中盤や守備ラインが顔を出す、という状況になり、前進が不可能、相手の守備ブロックがこちらのゾーン1に密集している場面ではボールの逃がし所が存在しない、将棋で言えば「詰み」ということ

そこでロングボールで守備ラインの裏にあるスペースを使うことで守備ラインを後退させる「後ろを剥がす」ということをやっているのがビルドアップ+ロングボールの今のジュビロの戦術になる

ロングボールの利点としては、広いスペースがある、守備人数が少ない、1v1の場面を多く作ることが出来る、シュートコースが広い、など、攻撃側としては非常に利点の多い攻撃方法になる

1つ目の目的は速攻から得点、という一番シンプルな方法論
もしそれが防がれたとしても、守備ラインを剥がしたことで、守備側の中盤の戻りが遅ければ広いバイタルを得ることができ、ミドルシュートが打ちやすいという2次攻撃にも優位な状態が継続する

更に守備ライン、中盤、前線がそれぞれ離れることでライン間が開く為に後ろに戻ったとしても今度はビルドアップによる前進がやりやすくなる、というビルドアップがやりやすい状況を生む為にロングボールを使う、ということができる

ビルドアップか、ロングボールか、「ではなく」
ビルドアップも、ロングボールも、が「正解」

自陣ビルドアップは相手のハイラインプレスを誘発し、ロングボールによる背後への速攻に良い状況を生み出す
ロングボールに対応しようとして守備ラインを下げればライン間が空いてビルドアップがやりやすい状況が生まれる

どちらの戦術か、ではなく、両方が両方を上手く動かす為の手法

つまりビルドアップ+ロングボールは「表と裏」であって、二つで一つの戦術になっている

これが理解できないと、ロングボールは無駄だ、ビルドアップは引っかけられるだけ、とどちらも否定するはめになる

重要なのは監督や選手がこの戦術の意味を深く理解して相手の状況に応じて使い分けられるようになることだ

例えばGKからのリスタート時が特にそうで、相手がこちらのゾーン1、自陣深い位置まで全体を押し込んだゾーン制圧守備をしている状況でビルドアップでリスタートするようなことはしてはいけない、こういう時は迷わずにロングボールを背後に蹴る事、中途半端に自陣ビルドアップでリスタートするとスペースがないので蹴り出せない、少なくともゾーン2に相手がいるならゾーン3にスペースがあるので蹴り出せる

ロングボールで気を付けるのは常に回収を即座にできる状態にしておくこと、その為に中盤が走って回収に行く必要がある、またバックパスすることに否定的である必要はない、ロングボールを入れて相手の守備ラインを下げさせる、回収して一旦バックパスして前線を引きつける、などライン間を開かせて受けるスペースを作るならビルドアップに可変すればよい

ロングボールの速攻、回収後のミドル、が上手く行くなら得点するか、シュートが外れてゴールキックかCKなどセットプレーに移行する

相手の守備ラインだけでなく、全体がしっかり戻ってブロックを作るならバックパス、サイドチェンジで相手のブロックを広げるようにビルドアップに移行し、ポケット攻略、セットプレー狙いに変更する

この緩急、ロングボール、ミドルシュートは速攻、バックパス、サイドチェンジは遅攻、で使い分ける

相手の反応、対応に応じて自分達で使い分けること、大事になるのは全体がそのタイミングや選択をしっかり共有できること、アイデアではなく、この状況ではどちらを選択する、というルールがはっきりしていて無駄な判断なく全体が1つになって動ける事

サポはチームが何をやっているのかを理解した方が良い、どちらも使えなければJ2もJ1でも戦えない

2025年6月2日月曜日

戦術変化とゲームメイカー論

これはあくまで個人の考察レベルなんだが…

Jリーグの初期ではゲームメイカーはトップ下だったと思う

しかしジュビロの黄金期が強度重視のボランチを投入し駆逐した

これによりゲームメイカーはボランチに下がる

ボランチ=舵、と言われるのはこの時期だろう

それからトップ下に小林祐希のような強度のあるトップ下を置いたり、3-4-2-1などの中央ボックスや2シャドーが導入されボランチからも駆逐された

これによりSBにゲームメイカーが移る

偽SBなどがそれになり、より後方、側方でプレッシャーの少ないエリアに逃げることで組み立てるようになってきている気がする

これに対して4-3-3のようにWGを上げることでSBにプレッシャーをかけてSBの機能不全を作り出す形が採用されてきている

こうなるとSBでコントロールすることが難しくなり、また次の戦術に移行していくだろう

考えられるのは4-3-3のスペースがある中盤サイドに逃げること

4-3-3は4バックの跳ね返し、3トップのハイラインプレスの2つのラインと中盤3枚の回収で機能するように設計されている

ロングボールを蹴って4バックを下げさせて中盤により大きなスペースを作り出すことと、中盤3枚に対してより早い回収とスペースのあるサイド展開から守備ラインと中盤とのライン間のスペースを使った攻めを狙うか

対4-3-3だけを考えるのは良くないが、多くのチームが4-3-3、3-4-2-1、4-4-2やその派生を使っているのである程度絞って対応を決めておくのは悪くない

サイド1枚か2枚かで配置や対応は変わるのと、中央の枚数にも依存する

4-4-2だと中央2枚でサイド2枚なので中央3枚で+1の1枚がゲームメイカーはあり

4-3-3だと中央3枚、サイド2枚だが中盤サイドにスペースありなので中盤4枚で+1枚がゲームメイカーもしくは中盤同数でサイドにゲームメイカーを置けるなら4-5-1系もあり

3-4-2-1だと中央4枚、サイド1枚なのでサイドにスペースがありSBにゲームメイカーを置くか、3-4-2-1でも3-4-3のように3トップ気味に展開するならライン間であるボランチの方にゲームメイカーを置くのも良し

スペースにゲームメイカーを置くのは比較的安全地帯でボールを受けてからパスを出すまでに密集位置より時間を稼ぐことが出来るので冷静に全体を把握してパスを出せるというのが大きい

固定したポジションにゲームメイカーを置かずにフリーマンとしてゲームメイカーを局面ごとに移動させるというのもあり、ジュビロだと角のように中央から下がって守備ラインからの受け、ポケットに走って受け、など基本ポジションにいながらも局面を見て局面に参加したりスペースに走って受けるなど半固定型などのスタイルも考えられる、為田のように偽SB的なコントロールもあるし、中村の様に中央から散らし、配球するという場合もある

今のジュビロはトップ下ボランチSBとかなりの人数がコントロールタイプで占められている一方で、金子、レオ、佐藤、倍井、クルークス、など強度やスピードを活かすフィジカルタイプの選手も混ざっているのでそれぞれが上手く融合している時はかなり先手を取って動けている印象がある、ただ金子と同じように守備ボランチとしての機能を基盤にしながら+攻撃ボランチや+レジスタのようなタイプがいないというのがかなり致命的、レオが守備ボランチとして機能していただけに京都への完全移籍はかなりの痛手、江崎が1列上がることができればまだ手当てできる可能性はあるが、「まず守備ボランチでボールをポゼッションする」という感覚がジュビロには無さ過ぎる、上原は守備ボランチとしても攻撃ボランチとしてもレジスタとしても平均的な感じの汎用タイプで良い意味でも悪い意味でもCH的な動きの出来る選手で重宝するのだが、強みが無い、というのが痛い、相手の苦手な部分で勝負する、ということはできるが、それを活かすようなスピードや強度がない、万能タイプだが足りない部分が多め、中村はフィジカル面が弱すぎるレジスタタイプなのでセンターラインを任せられない、使い所がかなり限られてしまう

ジュビロはボランチの数はいる、と思っているだろうが、純粋にボランチ=守備ボランチ、と考えるとほぼいない、まず守備ボランチという軸がいないとボールポゼッションがないので戦術の基軸を失ってしまう、ここの理解度が非常に重要なのだが、金子1人にしてレオは移籍、ボールポゼッションを得られるボランチが皆無でこれからどうするんだ?というのが印象

相変わらず上原中村を並べる始末でこのままだとまた負け始めることになる

「守備ボランチを軸にしたボールポゼッション」=「攻撃の原点」=「0から1」

これが分からないといつまでもズルズルと守備する時間が増えて何もできないまま失点して後手を踏むことになる、以前のジュビロにまた戻ることになる

レオの移籍は鹿沼や今野などの移籍と同じで、何故フロントが許したのか意味不明

相変わらずジュビロのフロントが戦術の基本のキを理解していない模様

攻撃面を補強する前にきちんとボールポゼッションを維持できるボランチを常に置けよ


2025年6月1日日曜日

パワープレー

ジュビロの課題は0-1で負けている状況の打破
ボールを持たされてカウンターを喰らうような形にならないようにしつつ、どう得点するか

1つはオープン展開狙いで背後へのボールを使ったスピード重視の速攻、無理に繋がずにCBからワイド対角SB裏CB縦ギャップ狙いのボールを入れてWGかトップ下が背後を取る形にするか、そのボールを維持できなくても敵陣内に押し込んでリスタート、敵陣内でプレーすることでFKCKスローインなどセットプレーを狙う

基本は速攻、速攻で決めきれない状況なら即座に前線がプレスに切り替えて全体を押し上げて遅攻へと移行する

敵陣ポゼッションの状態になりやすいので後方から繋いで崩すより、SBが前線中央に上がって両サイドを下げたパワープレー用のオプションを作っておくのが良い、スピードタイプだが強度に劣る前線選手を下げてスイーパーやファーストディフェンス用に待ち構える、松原為田など高さのあるSBを前に上げて後方やサイドからどんどん放り込みして中央で押し切る、ペイショットや佐藤に加え松原為田のSBだけでなく金子やリカルドなどボランチCBが中央に集まってもいい、とにかくPA内ゴールマウス正面のゴールエリアに入らない位置で高さのある選手を並べて外からどんどん放り込むこと、クリアされてもスピードタイプの選手が回収に行くのでカウンターされにくいはず

相手が運んで押し返そうとしてもペイショット佐藤松原為田金子リカルドらが正面にいるのでがっちり阻んでくれるだろう、そうなるとクリアで逃げようとするので背後に控えたスピードタイプの選手が回収すれば良い

一時的に前後が入れ替わることになるが、敵陣内の深い位置のゾーン3ではむしろ強度や高さのある選手の方が攻撃に向いているので放り込みから押し切るなら位置の逆転はやっていいと思う

前後をキープするとなると強度のないスピードタイプの選手が狭いエリアでプレーすることになるので結局一度引いてゾーン2やゾーン1に戻らなければならなくなる、プレーする位置にこだわるのではなく、「状況」と「機能」とを合わせるようにする必要がある

SBがインナーラップで中央に来たときにはWGが下がって回収と外からの放り込みをやればよい、ゾーン3まで到達したなら中央の突破力が重要になる、その時は強度のある選手が一番重要になるし、後ろに控えている選手はミドルを打てることも大事、その為ボランチ、SB、CBが中央ゴール前に集結できるような形を作った方が良い

2025年5月31日土曜日

ボランチ

まずボランチの話しは何度もしているが、基本的にボランチとは守備ボランチ=第一ボランチが原型
ボランチをどうするか、っていうのはチームの核をどうするか、にほぼ近い
大事なのはまず「ハズレ」を置かないこと

では何が「ハズレ」で何が「アタリ」なのか

ボランチには大きく

1.守備ボランチ(第一ボランチ)
2.攻撃ボランチ(第二ボランチ)
3.レジスタ

の3種類に分かれる

守備ボランチはボールハンターであり、中盤の制圧の核、ゲーム全体をコントロールしたい場合、まずこのボランチを置く必要がある、中盤の底で相手を潰し、背後のCBがクリーンにボールをクリアできるように手前で潰せるストッパー役、強度とスタミナが必要

攻撃ボランチはBoxToBoxで敵陣に侵入して攻撃参加できる選手、自分でボールを持ち上がることもあれば、後方からのボールを受けて前線へと運ぶなど中盤から前線にかけて前目にプレーする、第一ボランチと共に中盤を支えるスタミナが必要

レジスタはいわゆるパサー、プレースキッカー、と呼ばれるタイプに近く、後方からサイドチェンジや縦パスを使って攻撃を組み立てるボールの出し手、一般的に強度もなく、スタミナもなく、テクニック一本のタイプが多く、リーグ全体の傾向やチームのスタイルなどに強く依存する、癖が強いので常時配置しておくのは難しい

ジュビロのボランチを分けるとすると
1.レオ、金子
2.上原、金子
3.中村、上原

まず「ハズレを置かない」「安定したゲームを作る」という意味で第一ボランチを置く事が大前提、よって金子を最初に外すというのが最悪手、ハッチ監督は最悪手を常に選んでいる

金子の良さは第一ボランチとしての機能と第二ボランチとしての機能の両方を持っている点、守備でボールを奪える、攻撃で飛び込める、というのがこれ

レオは第一ボランチタイプで第二ボランチ的な動きはできないが、ミドルがあるので遅攻の場面ではミドルを打つことで攻撃支援できるのが利点

上原は基本は攻撃ボランチで攻撃参加するタイプでプレースキッカー寄りな面もあり強度やスピードでは少し劣る、ボランチ陣の中では中間的で汎用性があるタイプ

中村はパサー、プレースキッカータイプで強度もスピードもスタミナも微妙でボランチとしての基本的な機能をしない特殊なタイプ、ジュビロは名波、上田、遠藤などこのタイプが好みでボランチに置きたがるが、実際に「ハズレを置かない」という選択肢を取る場合は一番置いてはいけないタイプ

レジスタでもボランチ置かれるタイプとサイドの置かれるタイプといるので、ボランチに置かれるのはピルロ、サイドに置かれるのはベッカム、と考えると分かりやすい、キック精度が良く展開することで一発で場面を転換できる逆転要素があるが、その代償として守備力の無さを他の選手が補わなければならない

レジスタタイプはギャンブル性が高く、安定したゲーム展開を考える場合では優先的には使えない

イタリアは1-0でゲームを終えるのが美しいとされる守備的なリーグであり、守備メイン、カウンターで決める、というのがスタイルとして存在する、つまり、自陣にブロックを引いて人数で守る、反撃はレジスタが2トップに配球して1v1、2v2など敵陣に守備が少ない状況で決めきる、という形を取りやすい、自陣に人数を置いたブロックを作ることで強度の無いレジスタでもラインの一部となるのでサポート、カバーの距離が近く生存率が上がる

イギリスではキック&ラッシュで敵陣に突っ込んでいく走るサッカーなのでこちらも一発で局面を変えるという意味ではレジスタを置きやすい、しかしお互いにそれをやるとオープンな展開になるので中央にレジスタを置くとセカンドボールが回収しにくいのでサイドに配置した方がより機能しやすい、中央は第一ボランチ第二ボランチで回収と攻撃をし、サイドにレジスタがいることでサイドチェンジやアーリークロスを入れる、という展開で局面を大きく変える戦術が取れる

どちらもリーグの特性とのマッチがあるが、日本では「常に動き続ける」というタフなリーグなのでレジスタをどう起用するか、というのはある程度状況が固まった状態でないと使いにくい、例えば2-0で勝っている、負けている、ような状況で勝っているならイタリア式の引いてブロックを作りロングカウンター一発狙いで相手を仕留める、負けているならイギリス式でオープン展開を作りボールを動かしてチャンスメイクをしていく、という感じになると思う

0-0や1-0/0-1のような状況では引き離すか、追い付くか、という鎬の削り合いの状況なのでボールの奪い合いがかなりの比重を占める、よってここでは第一ボランチ、第二ボランチが活躍するステージであり、この段階でレジスタタイプが活躍することは難しい

今のJリーグでは強度、スタミナなどアスリート能力の高さがぶつかり合っているので、レジスタタイプは「隠し玉」としての役割になりやすい、またセンターラインは強度、スタミナのどちらか、もしくは両方が必要なのでテクニック重視のレジスタタイプはあっという間に呑み込まれてしまう、中央でのボールロストは一番危険な場面なので、どうしても置きたいならサイドに置くことで少なくとも中央を崩されて失点するというリスクは避けることが出来る

ハッチ監督は上原を残すが、やはり守備力という面では金子、レオに及ばないのでボランチに残すべきなのは金子、レオ、の優先度が高いはずだ

これは守備的という意味ではなく、「ボール支配」「ゲームコントロール」という意味で非常に攻撃的な選択なのだが、まだジュビロはこの意味を理解できていない、結果として「守備的」な選手を外してしまう、という悪手をとり、かつ同点、1点差の状態でギャンブルとなるレジスタタイプを投入してしまうという「負け選択」をしている

ボランチのボール奪取は守備ではなく「ポゼッションの基点」なのでより攻撃的な選択という意味なのだが、それを理解していない

結果、ボール奪取できず、後手に回り決勝点を入れられた後にアタフタして頑張って得点しても同点に終わる、という勝ち点2を失うゲームを自分達で作っている

ボール奪取=ポゼッションであり、パス回し≠ポゼッションということ
この差が分からないうちは同じ間違いをし続けるし、打開するどころか自分達で勝ちを逃す選択をし続けることになる